キャラクターのアニメーションなども初公開
2016年7月3日(日)に東京・秋葉原のベルサール秋葉原で開催された“5pb.祭り2016”。同イベントで行われた“『アノニマス・コード』トークステージ”を補足する、志倉千代丸氏(文中は志倉)のコメントが到着した。チヨマルスタジオの最新作として、プレイステーション Vitaとプレイステーション4でリリースされる『アノニマス・コード』。特徴的なゲームシステムと、E-moteを使ったアニメーションするキャラクターなど、見逃せない話題が満載!
志倉 まずは“5pb.祭り2016”に足を運んでくれた皆さん、そしてニコ生やツイキャスを試聴してくれた皆さん、とにかく参加してくれた皆さん全員に感謝! 今回はいつになく準備がバッタバタで「よりによって僕の誕生日にやらなくてもいいでしょ!」とかぼやきながら必死に準備していました。たいへんだったのは僕というより、主にスタッフですが(笑)。イベントとしての反省点を数え始めたらキリがないほどですが、とくに大きなトラブルもなく、皆さんのご協力のおかげで無事に終える事ができました。ありがとうございました。さて、今回はステージで話しきれなかった『アノニマス・コード』のシステム面について、追加で補足説明させてもらえればと思います。作品の世界観やストーリー、キャラクターなどについては以前にもご紹介させていただいていますので、まだご存知ないという方は公式サイトなどもぜひチェックしてみてくださいね。
◆セーブ&ロードについて
志倉 まず、本作の特徴的なシステムである“セーブ&ロード”について説明します。RPGやアドベンチャー(以下、ADV)などで、失敗したらセーブポイントまで戻ってやり直すという行動は、ふだん、皆さんもゲームの中ではおなじみだと思いますが、これがもしリアルな私たちの世界でできたら、すばらしいと思いませんか? 会社や学校、さまざまなシーンで嫌な予感がする直前に、人生をセーブしておけるなんて最高ですよね! 僕もできることなら青春時代にセーブデータを残しておけばよかったなぁと……(笑)。まぁ、簡単に言うとそれを登場人物であるポロンが、彼らにとってのリアルな世界で可能にしてしまうというものです。たとえば、主人公であるポロンが重要なハッキングに失敗し、誰かが不幸になってしまったり、時には命を落としてしまうような場面。もし事前にセーブデータを残しておけばやり直しが可能となるわけです。アドベンチャーゲームの中でも、僕は“ループもの”と呼ばれるジャンルが好きで、それもあって『シュタインズ・ゲート』という作品が生まれたのですが、『アノニマス・コード』の主人公・ポロンが持っている“セーブ&ロード”の能力は、タイムトラベルやタイムリープとは明らかに違うものです。「何が違うのか?」をひと言で言うと“セーブ&ロード”とは宇宙規模の巻き戻し機能なので、いわゆるタイムパラドックスが生じないのです。これは同じ“ループもの”でも、タイムトラベル系のそれとは、物語を作るうえでに大きな差が出てきます。
◆ハッキングトリガー
志倉 科学ADVシリーズでは毎回おなじみの“〇〇トリガー”ですが、本作シリーズでも踏襲しています。主人公であるポロンが“ハッカー”であるということもあって、今回は“ハッキングトリガー(仮)”を採用します。これはプレイヤーがある種の神となり、主人公に「ロードしますか?」や「セーブしますか?」などのシステム画面を、ゲームの世界に任意でインサートし、それを見た主人公がどうするかを決めるというものです。プレイヤーが“ハッキングトリガー”を使って「ロードしますか?」の画面を投げ込んでも、ポロンがそのセーブデータをロードするとは限りません。そこはポロンの判断によるところが大きいですね。逆にプレイヤーが意地悪をして「ロードしますか?」の画面を投げ込まなければBADエンドルートなんてこともあるでしょうし、タイミングが間に合わず、主人公が死んでしまいゲームオーバーということもあり得ます。ここはかなりゲーム性も高く、難易度の調整については現在、慎重に検討を重ねています。また、ポロンたちの世界にも私たち同様に“オートセーブ”という謎の機能が存在します。これは、プレイヤーではない“誰か”が何らかの意志でセーブしているポイントだと考えてもらえればいいと思います。ポロンたちの世界のセーブデータと、私たちプレイヤーのセーブデータは、同一のシステム画面で共有するのですが、このあたりの不思議な“仕様”は本作の大きな特徴を言えると思います。ゲーム中の登場人物が、そのゲーム自体のシステム画面に干渉してくるというのも、なかなか珍しいですよね? 詳しい話は避けますが、それ自体がギミックになったり、物語の一部になったりいろいろとおもしろい仕掛けを考えています。ハッキングトリガーについて最後にもうひとつ補足をすると“ロードカウント”というものが存在します。これは、ポロンが物語中に行ったロード回数と、プレイヤーがロードした回数の累計でカウントされています。この回数がどんな形で物語に関わってきて、どんなリスクにつながっていくのかはゲームをプレイしてからのお楽しみということで。
◆動くキャラクターについて
志倉 今回のキャラクターはただの立ち絵ではなく、“E-mote”というシステムを使ってアニメーションします。以前、僕らが作った『ロボティクス・ノーツ』というタイトルでは、ポリゴンキャラを使ってアニメーションをさせていたのですが、本作のイラストのテイストに合わせて、2Dのイラストをそのまま動かすことができるE-moteを選択しました。どんな感じで動くのかはこちらの動画をご覧ください。
■『アノニマス・コード』キャラクターアクションテスト
志倉 こちらはまだ制作中のものになりますが、こだわればこだわるほどかわいく動くので、まだまだ作りこんでいきますよ!
◆最後に
志倉 本作は科学ADVとは違うシリーズという位置付けですが、現状社内では“サイエンスビジュアルノベルシリーズ”と呼称しています。つまり科学のビジュアルノベル……方向性としては科学ADVと大差ないということです(笑)。じつにさまざまな、気になるキーワードが絡み合っていて情報量はとても多いのですが、最終的には地球規模のもっとも大きなテーマへと物語が収束していきます。システムまわりやユーザーインターフェイスも、より直感的でわかりやすく、またゲームとしての難易度調整も物語のスピード感やおもしろさの邪魔にならないよう、細心の注意を払って調整しています。とはいえ、これまでのADVゲームよりは、もしかしたら難易度高めかも知れませんが……。とにかく発売予定の“冬”まで、息切れしないようにスタッフ一同がんばっています。少なくとも、科学ADVシリーズのファンの皆さんの趣味には間違いなくヒットすると思いますので、引き続きご期待ください!
アノニマス・コード
メーカー | 5pb. |
---|---|
対応機種 | PSVPlayStation Vita / PS4プレイステーション4 |
発売日 | 2016年今冬発売予定 |
価格 | 各7800円[税抜](各8424円[税込]) |
ジャンル | アドベンチャー |
備考 | ダウンロード版は各7000円[税抜](7560円[税込]) 企画・原作:志倉千代丸、プロデューサー:松原達也、ディレクター:梶岡俊彦、ストーリー監修:林直孝、演出:若林漢二、アートディレクター:北原史尋、サウンドプロデューサー:村上純 |