最大4組のドルー&トゥバンが入り乱れるマルチプレイ!

 E3会期に合わせ、2016年6月13日(現地時間)に、アメリカ・ロサンゼルスでマイクロソフトが主催する“Xbox E3 ブリーフィング”が開催。そこでマルチプレイを主軸に置いたプレゼンテーションを行った『Scalebound(スケイルバウンド)』(以下、『スケイルバウンド』)について、開発の中軸を担うおふたりに話をうかがった。

『Scalebound(スケイルバウンド)』神谷英樹氏とJP氏にマルチプレイと超巨大ボス戦について聞く!【E3 2016】_02
▲ディレクターの神谷英樹氏(右、文中は神谷)とクリエイティブ プロデューサーのジョーン・ピェール・ケラムス氏(左、文中はJP)。ちなみに、JP氏が首にかけているのは、ドルーのヘッドフォンのプロトタイプ。ちゃんと光る!
『Scalebound(スケイルバウンド)』神谷英樹氏とJP氏にマルチプレイと超巨大ボス戦について聞く!【E3 2016】_08
▲本作の主人公・ドルーは、ごくふつうの青年。相棒であり、巨大なドラゴンであるトゥバンとともに、異世界を冒険する。

――今回の発表で、新しいトレーラーが公開されましたね。4人のプレイヤーによるマルチプレイは大迫力でした。

神谷 トレーラーでは、ドルーが4人、ドラゴンも4体、同じ世界で戦っていましたよね。あれはゲーム的な都合ではなくて、そこにちゃんと理由があるんです。トレーラーで最後に4人が飛び上がって、一瞬ひとつになっているのも、設定的な意味があります。そこは丁寧に説明したいところで、今後紹介していきます。

――ドルーとトゥバンのペアが何組もいる、そういった世界だと。今回の発表内容を、マルチプレイを中心としたものにしたのには理由があったのでしょうか。

神谷 マルチは、企画を立ち上げたときから考えていた重要な要素です。とはいえ、順を追って紹介していかないとゲーム性を理解してもらえないので、これまではあまり出してこなかったんですね。今回ようやく、ボス戦とマルチプレイという組み合わせをお披露目することができました。ちなみにボス戦だけをピックアップしていますが、本来は広いフィールドを冒険して、ダンジョンを見つけて、そこに入るとモンスターがつぎつぎ出てきて、最後にはボスがいる。そういう構成になっています。

――マルチプレイは、どのような仕組みになっているのか気になります。ストーリーと切り離されたモードなのでしょうか?

神谷 ゲーム自体は、僕が手掛けた『大神』のように、ストーリーを追っていくスタイルなんですが、その冒険のすべてにおいて、ほかのプレイヤーとマルチプレイで協力できます。フィールドにはふつうにほかのプレイヤーがいて、その中から最大4組までのパーティーを組み、いつでもどこでもいっしょに戦えます。

――MMORPG(多人数同時参加型オンラインRPG)みたいですね。

JP ロビー式のマッチングにはしたくなかったんですよ。技術も進んでいるし、もっとシームレスな体験を提供したいんです。おもしろいのが、Xbox Liveは、ユーザーの状態を見られるところ。そのため、“このプレイヤーがあいているから、同じフィールドに送り出してマッチングさせよう”というのではなく、“どういうユーザーの組み合わせだったらおもしろいプレイになるか”を、システム側で考えられる。そういう研究もしているところです。今回、マイクロソフトとパートナーシップを組む理由のひとつは、プラットフォームレベルでそうした試みをいっしょにやっていけるからでもあります。

神谷 『スケイルバウンド』は、ドラゴンをカスタマイズできるのも大きな魅力なんですが、そういうところもマッチングの条件にしようと思っていて。

――似たタイプが同じサーバーに集まらないようにするとか?

神谷 こいつは守りが堅いとか、こっちはスピードタイプだとか、カスタマイズ次第でみんな能力が違うので、バランスを見たり、より冒険がおもしろくなるパーティーが組めるようにしていきたいなと。

――オンライン必須なのでしょうか。

神谷 いえ、ネットを止められちゃった人でも遊べます(笑)。やはり、プレイヤー個々のスタイルがあるので、ひとりでも遊べるように調整したいなと思って。ただ、4人で遊んだほうが、俺は尻尾を叩く、自分は弱点を攻める、といったように役割分担しながらの遊びが楽しめるので、そこを体験してほしいですけどね。4人でプレイすると、部位破壊が狙いやすくなって、その部位からアイテムが手に入ったりということもあります。

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――今回の発表では、あの巨大ボスも見どころでしたね。

JP gamescomでは、ドラゴンのサイズ感で展開される、カマキリ(※コードネーム)とのバトルをお見せしていました。そして今回、ドラゴン以上のサイズ感を体験できるバトルとして、スコーピオン(※コードネーム)戦を公開しました。

――スコーピオンというのは、トレーラーに出てきたあのカニっぽいヤツ……?

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JP そう、それが……自分たちはずっと、3本の尾を持つスコーピオンとして認識していたので、ユーザーからカニと言われ、衝撃を受けています。でも「ああ、確かにカニだなあ」って(笑)。

神谷 何の話だよ、いらんだろ!(笑)。いまの全部カットで。

JP まあまあ(笑)。

――(笑)。

JP トレーラーをじっくり見ると、ドルーたちもいろいろな武器を使っているし、ドラゴンも火や氷、雷など属性のブレスを放っています。そうしたところからも、カスタマイズの一端を見られるんじゃないかなと。

――そういえば、ドルーは弓で攻撃していました。効いているように見えなかったんですが、やはり変身してドラゴンフォームにならないと、人の身ではつらいんでしょうか。

神谷 じつはあれ、いちばん弱い弓を持ってきちゃって……。お金をかけていい弓を買えば、もうちょっとマシになります(苦笑)。ただやはり、ドルーは人間なので、ああいう場面ではトゥバンと力を合わせて戦うのがセオリーになります。『スケイルバウンド』は、いままで僕が作ってきたゲームのように、スーパーヒーローが主役なわけではなく、人間らしさ、人間くささを表現しようとしているゲーム。バトルは人間であるドルーには荷が重いので、ドラゴンと協力していくわけです。

――具体的には、どんな協力ができるんでしょうか。

神谷 まず、攻撃しろとか、ブレスを吐けといった命令を出せます。これは詳細なものではなく、比較的大雑把なんですが、それも味になっていて。ほかにもアイデアはいろいろとあります。

JP トゥバンに乗って敵を攻撃するドラゴンライドも、今回初めてお見せした要素です。また、ドルーがトゥバンに指示するだけでなく、トゥバンがドルーにコミュニケ―ションを取ってくる場面もあります。トレーラーでは、尻尾を使ってドルーを高所に跳ね上げていますが、あれはドラゴンのAIが状況を見ていて、そういう提案をしてくるということなんです。ふたりのあいだには絆があり、双方向のコミュニケーションが取れています。

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――ふたりの絆の強さが、システムにも落とし込まれているんですね。

JP ほかにもたくさんの魅力が詰まっているんですが、5分の映像ではとても伝えられませんでしたね。

神谷 今回のトレーラーも、ステージ用にだいぶはしょってるよね。本来なら、ボス戦が5分で終わるわけない(笑)。攻撃ももっと多彩だし、ちゃんとした形でみんなにわかってもらえる届けかたをしたいな。

JP すごくレスポンスのいいゲームになっているので、ユーザーに触れてもらう機会は必ず作ります。

――ユーザーが触れる機会があるんですね。それはいつですか?

JP それはまだ言えません(笑)。『スケイルバウンド』は、プラチナゲームズにとっていちばん大きなタイトルです。これまでもつねにそれを意識して、発表内容も検討してきています。アクションRPGというジャンル的に、短い時間でゲーム性を伝えるのは難しいこともあり、やりかたを含め検討しているところです。

神谷 そこは我々がいままでやってきたゲームと違うところだよね。アクションRPGの、RPGの部分は5分や10分じゃわからないから。そうそう、「プラチナゲームズと言えばアクションですが、なぜRPGを?」とよく聞かれるんです。『デビル メイ クライ』や『ベヨネッタ』が、印象としてもセールス的にも際立つから、そこのイメージがあると思うんだけど。でも僕のキャリアで言えば、『ビューティフル ジョー』や『The Wonderful 101(ザ・ワンダフル ワン・オー・ワン)』、それから『大神』と、“スタイリッシュアクションではないもの”も作ってるでしょと。『スケイルバウンド』は僕にとって“初の挑戦”と言われるけど、そういうことではないというのを、この狼(『大神』)Tシャツで主張してます(笑)。

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▲バアァーン!

――ぜんっぜん気づきませんでしたが……おっしゃりたいことはわかりました(笑)。

神谷 『スケイルバウンド』は、僕のキャリアの延長上にある、バラエティーに富んだ、新しいゲームになっているのでぜひ期待してもらえれば。いつも通り、高いクオリティーを目指して日々がんばっています。ひとつよしなに(笑)。

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