「プレイヤーの選択肢を広げたい」

 2016年6月14日~16日(現地時間)、アメリカ・ロサンゼルスにて開催された世界最大のゲーム見本市E3(エレクトロニック・エンターテインメント・エキスポ)2016。会期中にマイクロソフトスタジオのゼネラルマネージャー、シャノン・ロフティス氏にインタビューする機会を得た。ロフティス氏は、1995年から20年以上にわたってマイクロソフトのゲーム事業に関わり、いまはマイクロソフトスタジオのゼネラルマネージャーとして、マイクロソフトタイトルをハンドリングする立場。“Xbox E3 2016 Breifing”を経ての手応えなどを聞いた。

マイクロソフトスタジオのゼネラルマネージャーを直撃 「“Project Scorpio”はクリエイターの要望から生まれた」【E3 2016】_02

――まずは、カンファレンスを終えての手応えを教えてください。

シャノン 来場者の皆さんには、とてもワクワクしていただいたようで大きな手応えを感じています。ゲームファンの皆さんに対しては、必ずしもシンプルなメッセージではなかったかと思いますが、選択肢が広がったことに対しては喜んでいただけたのではないでしょうか。いま買ったものが将来も遊べるということで、安心してゲームを選んでもらえるからです。カンファレンスでは、数多くのゲームタイトルを紹介しましたが、皆さんがそれぞれに好きなゲームを見つけてくださったようでよかったです。

――サービスやハードでも大きな発表がありましたね。

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▲“Xbox E3 2016 Breifing”でラインアップの豊富さをアピールするシャノン・ロフティス氏。

シャノン はい。カンファレンスでは、Xbox Liveのサービスの向上として、“Clubs”、“Looking for Group”、“Arena”を紹介しましたが、これはXbox Liveを通してゲームファンが形成している関係は、価値のあるものだということを示しています。そういったコミュニティーが、さらにつながる方法を提供するものです。
 一方で、ふたつの新しいコンソールを発表しました。Xbox One Sは(北米などでは)8月にローンチしますが、すでに予約を受け付けています。Xbox One Sは、オリジナルよりも小さく、キレイになったと思っています。4KビデオのストリーミングやHDR(ハイダイナミックレンジ)に対応することで、さらにハイクオリティーな映像をお楽しみいただけるかと。“Project Scorpio”は、少し先のリリースになってしまいますが、明確な理由があって発表しました。まさにモンスターボックスですね。4Kゲームに対応しており、6テラフロップスのグラフィック性能を誇っています。これまで私たちが作ったなかで、もっともパワフルなコンソールと言えるでしょう。ゲームファンに共鳴していただけているのは、“Project Scorpio”はXbox Oneでもプレイできるということです。Xbox OneのゲームはXbox One Sでも、“Project Scorpio”でもプレイできるんです。前後に互換性があるということは、ゲームファンにハードの決定権があるということです。ゲームソフトは、必ずその決断についてきます。

――“Project Scorpio”は、クリエイターにとってどんな意義を持つハードなのですか?

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シャノン “Project Scorpio”は、デベロッパーから刺激を受けて作られたハードです。彼らが求めているのはパワーです。4Kゲームに対応しており、これまで作ったハードの中でもっともパワフルであり、クリエイターの要望に応えてくれるんです。

――“Project Scorpio”は、“完全なVR体験を提供できる”とのことですが、マイクロソフトではVRにも注力していくのですか?

シャノン “Project Scorpio”は非常にパワフルなマシンなので、ハイクオリティーのVRに対応しますが、それ以上のお話はしていないですね。

――それでは、マイクロソフトスタジオのトップとしての今年のソフト戦略を教えてください。

シャノン ゴールは、ゲームファンにできるだけ選択肢を提供することです。ラインアップの選択肢はもとより、コントローラのカスタマイズ、さらにはひとつのゲームをXbox OneとWindows PCでプレイできる選択肢など、プレイヤーの決断にゲームはついていくと思っています。

――それは、とりも直さず幅広い層に訴求していくということですか?

シャノン その通りです。カンファレンスはそれを示していたように思います。あの場では多岐に渡るゲームを紹介させていただきました。『Gears of War 4』のようなAAAタイトルから、『Sea of Thieves』のようなほかとはまったく違うゲーム、さらには才気溢れるイノベーティブなID@Xboxのインディーゲームなどもあります。ラインアップは今後もさらにできるだけ広げていくつもりでいます。ポートフォリオを広げるということは、包括的になれるということです。包括的であるということは、より多くの方々がXboxゲーマーになるということです。

――とくに注力している層はあるのですか?

シャノン PCゲーマーが(Xbox Oneとの)クロスオーバーのゲームファンになっていただけるかには、非常に興味を持っています。PCゲーマーは北米では存在感がありますが、アジアでもコミュニティーを広げたいですね。あと、いまでもXbox 360をプレイしている方たちがいますが、彼らにXbox Oneのユーザーになっていただくいい機会だと思っています。Xbox 360は大きな成功を収めたすばらしいコンソールです。Xbox 360用ゲーム200タイトルは、Xbox Oneでプレイできます。そういった意味でも、Xbox 360ユーザーがアップグレードするいい機会かと。Xbox Oneでなくても、Windows PCでもクロスプレイができるわけですし。

――まさに、選択肢を広げるということにつながりますね。ところで、カンファレンスで発表されたタイトルで、とくにイチオシは?

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▲E3のマイクロソフトブースでも大人気だった『Sea of Thieves』。

シャノン カンファレンスの中で、私は5つのタイトルの責任者なのですが、その中から選ぶことはできません。私が担当する5タイトル以外では、『Forza Horizon 3』と『Sea of Thieves』が気に入っています。『Forza Horizon 3』はクルマが美しくレンダリングされていますし、新しいマルチプレイヤーモードもあります。『Sea of Thieves』はいままでとはまったく違うゲームですね。ゲームファンはつねに新しい経験を求めているので、喜んでいただけるのではないかと。

――最後に、日本のゲームファンに向けて今年の抱負をお願いします。

シャノン とてもワクワクしています。まずは『ReCore』。おなじみの稲船敬二氏が開発に関わっており、ゲームプレイは非常に練りこまれたものになっています。また、もう少し後になりますが、2017年にはプラチナゲームズさんの『Scalebound(スケイルバウンド)』もリリースされます。本作は、神谷さんがティーンエイジャーのころから作りたいと夢見ていたドラゴンの世界を描く作品になっています。美しいストーリーが私は大好きです! 日本のファンの皆さんにも喜んでいただけるタイトルがリリースされていきますので、今後にご期待ください。

[2016年6月20日修正]メーカー名の表記につき、一部誤りがありましたので、訂正させていただきました。お詫びして修正します。