Infinity Wardによる最新CoD

 今年のE3ではショーフロアでのブース出展をしなかった海外大手パブリッシャーのActivision。もちろんE3で何もしないというわけではもちろんなく、プラットフォーマーのカンファレンスでトレイラーや新情報を出したほか、E3会場内のミーティングルームでも、FPSシリーズ最新作『コール オブ デューティ インフィニット・ウォーフェア』のプレゼンテーションやインタビューなどを提供していた。

 というわけで本誌でも、メディア限定のプレゼンテーションに出席。すでにトレイラーとしてアップロードされている、敵の宇宙艦を襲撃するミッション“Ship Assault”以外に、スイスを舞台にした“Black Sky”というミッションを見ることができたので、まずはその内容をお伝えする。

 “Black Sky”では、スタート直後いきなりすさまじい爆風が街を包み、粉塵で一帯が闇に包まれた状態から始まる(これがミッション名の由来だろう)。そして空中から投下されるポッドから敵勢力のロボットが次々と出現する中、街中を進軍していくのが基本的な流れなのだが、やがて初出時のトレイラーなどに映っていた巨大な塔に向かって丘を登っていくシーンへと繋がっていく。

 未来設定ということで、クモ型の自爆ドローンを放ったり、ショットガン風の武器を構えているとサイト上に目標の体の各部を検出してターゲットしてくれたり、敵輸送機の中にいるロボットをハッキングして自爆させたりと、ハイテク兵器が目白押し。
 ちなみにチームメンバーにも“ETHAN”というロボットがおり、終盤では彼(?)に指示を出して戦闘機から機銃掃射を行わせる場面も。ラストではこの機体に乗り込み、離脱。そのまま大気圏を飛び越えて宇宙戦闘に移行し、敵艦を撃破するまでをシームレスに描いていた。

『コール オブ デューティ インフィニット・ウォーフェア』初公開ミッションやMWリマスターの映像を目撃。合同インタビューの内容とまとめてお届け【E3 2016】_01
▲Black Skyはこのシーンに繋がってくる。

 また本作のレガシーエディション以上に収録される『Call of Duty: Modern Warfare Remastered』の第2ミッション“Crew Expendable(消耗品のクルー)”のプレイ映像も見ることができた。内容については省略するが、海上の船舶を舞台にした雨の夜間作戦ということで、オリジナルのくすんだ色調を残しつつ、リマスターならではの複雑な反射や光源処理により、特殊部隊の渋いカッコ良さをふたたび実感した次第。

サイドミッションの存在、宇宙戦闘機のカスタマイズなど新要素判明

 日本メディア向けにInfinity Wardでコミュニケーションディレクターを務めるEric Monacelli氏への合同インタビューが行われたので、その模様もお届けしよう。

『コール オブ デューティ インフィニット・ウォーフェア』初公開ミッションやMWリマスターの映像を目撃。合同インタビューの内容とまとめてお届け【E3 2016】_09

――今日見たミッション“BlackSky”のデモでは残弾数などのHUDが映ってなかったが、あれはそういう設計になっているのか、それとも今たまたまそうなっているだけなのか?
Eric HUDについてはまだデザインを調整中で、シンプルで邪魔にならないものにしていこうという方針はあるが、それ(BlackSkyのE3デモ映像)については今たまたまそうなんだと理解してもらえればと思う。

――グラップリングフックはどう活用していくのか、マルチプレイでも使えるか。
Eric (今はシングルプレイの話しかできないけども、と前置きしてから)シングルプレイでは今回は宇宙でも戦うわけだが、これまでのCoDでは障害物などを探して敵の銃撃からカバーリングしていた所、無重力空間では平面だけでなく周囲360度を見回して、どう遮蔽物で身を守るか考えなければいけない。グラップリングフックはそうした時に(移動して)身を守るのに役立つ。

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――宇宙戦闘機が魅力的だったが、全体でどれぐらいの割合で出てくるのか?
Eric ジャッカル(戦闘機の名前)は新しい要素で、一連の流れがシームレスに繋がった体験にしたかったんだ。例えば母艦Retributionでミッションを選んで、ジャッカルに搭乗して、別のシップなり、別の惑星について、戦ってまたRetributionに帰ってくる。そういった中で割合というのはまちまちだけども、プレイのサイクルの中での連続性は大事にしている。

――今の話だと、シングルプレイはミッション選択制になるということか?
Eric メインストーリーは基本的に直線的に進んでいくが、その中でサイドミッションを選べる所もある。ソニーのカンファレンスで見せた艦隊襲撃シーンなんかはサイドミッションのひとつ。(サイドミッションは遊ばなければいけないのか?)ものによってはストーリーに深みを与えるためにプレイ必須になっていることもあるし、ものによってはやらなくてもいいけど、プレイすることで追加の何かを手に入れられるという性質のものもある。

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――インフィニット・ウォーフェアというタイトルはInfinity Wardと似ていて、リブート的な響きがあるが、そういった意図はあるか。
Eric というよりも、タイトルのコンセプトは人類の歴史に戦争というものが常にあるということと、今度は無限の宇宙に戦いが広がっていくというイメージを兼ねている。

――巨大ロボットがいたが、あれには乗れるか。
Eric ロボットはいろんなサイズがあり、ETHANのような人間のサイズのもあるし、C6、C8、C12といったバリエーションがあるけれども、それらがミッションにどう関わっていくかはまだ話せないが、いろいろと考えてはいる。

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――宇宙で銃撃戦があっても音が出ないと思うが……。
Eric ヘルメットの技術で弾や爆発の音を(衝撃などに応じて)再生してやるというフィクションの技術を設定しているんだ。だから宇宙に入った時はそのシミュレーション機能が起動するまで一瞬無音になるという演出が入っている。

――ジャッカルの装備はカスタマイズできるか。
Eric カスタマイズが可能で、30ミリキャノン、50ミリキャノン、フレア、ホーミングミサイルはスタンダードの装備で、サイドミッションなどで資源を取ってきたり、パーツを取ってきて強化するとか、あるいは(塗装などの)外見系のカスタマイズも考えている。

――『Call of Duty: Ghosts』で好きな要素が犬だった(「僕もだ」とコメント)。今回は……宇宙犬などはいるか?
Eric 残念ながら犬はいないんだ。ネットでは「ライリー(犬)がサイバー犬になるんじゃないか」っていうジョークもあったが、ライリーはサイバー犬にはならない。

『コール オブ デューティ インフィニット・ウォーフェア』初公開ミッションやMWリマスターの映像を目撃。合同インタビューの内容とまとめてお届け【E3 2016】_06
▲『CoD: Ghosts』より、ワンコ隊員のライリー。

――地球での銃撃戦シーンで弾の光跡が青白いものがあったが、ビーム系の兵器なのか。
Eric 今作は未来設定だけども、現在ある技術から真実味のある未来像にしたかった。BlackSkyでは、スナイパーライフルなどはエネルギー弾を撃っている。武器のメーカーによる特徴なども考えているので、いろんな方向性の武器がある。

――ジャッカルが宇宙に出る時に翼が変化するシーンがあったが、武器も地球用と宇宙用などがあるのか。
Eric ジャッカルはさまざまなシチュエーションに対応できるように、ホバーモード、高速飛行モードなどがある。地上のシーンでも、ジャッカルに支援攻撃を依頼するシーンがあったと思う。

――支援攻撃は副操縦士がやっているのか、AIが実行しているのか
Eric 副操縦士がやっているんだけども、あのシーンに出てきたジャッカルの場合はロボットのETHANがやっている。ちなみにETHANは軍隊に自然に溶け込めるようにミリタリージョークの機能なども入っている。だから彼はさまざまなジョークを言う。

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――モダン・ウォーフェア(MW1)は今でも最高のミリタリーFPSのひとつだと思うし、その後のミリタリーFPSはすべてMW1を追いかけていると言っても過言ではないと思うが、何がMW1を偉大にしていると思うか、そしてIWにも繋がってくる部分はあるか。
Eric IWは昔ながらの地に足の着いたミリタリーストーリーを描きたいと思っている。BlackSkyでも丘に向かって仲間たちが力を合わせて進んでいく、チームの一員として戦うわけだ(でも設定としては未来と?)その通り。そしてそれは真実味のある(完全な絵空事ではない、現実と地続きに感じられるような)未来というわけだ。本作の開発にあたっては、我々が誇りを持っているMW1や他のゲームからの成果を取りれていて、マップの配置などのレベルでも活かしている。

『コール オブ デューティ インフィニット・ウォーフェア』初公開ミッションやMWリマスターの映像を目撃。合同インタビューの内容とまとめてお届け【E3 2016】_07

Eric 今作に関して言うと、一兵卒で、ここで自分がなんとかしないと大きな被害が出るという所で奮闘する、皆がそれについてくるというところから、リーダーになっていく。誰も死なせないというところから、多少の犠牲を飲み込んででも決断するというポジションに変化していくのがポイントになる。

『コール オブ デューティ インフィニット・ウォーフェア』初公開ミッションやMWリマスターの映像を目撃。合同インタビューの内容とまとめてお届け【E3 2016】_02
▲主人公であるキャプテン・レイエス。彼の昇進による立場の変化などもストーリーのカギになるようだ。

――なぜSF設定にしたのか。
Eric SFというよりも、いろいろリサーチして現状の技術がどう伸びるか研究して、真実味のある未来を描いているつもりなんだ。単なる夢想ごとではなくて、こうなるに違いないというようなもの。これが未来の現実になるんだという発想でやっている。

――ジャッカルで飛べるところに限界は?
Eric ゲームに関係ないところまではいけないが、例えばその宙域に浮いているデブリや残骸の近くは行ける。一方でドッグファイトになったらそれに集中できるようにしているので、(飛行限界をシビアに意識しなくてもドッグファイトができるように)それができるだけのスペースはある。