注目を集める最新作の戦いに込められた思いとは?

 ユービーアイソフトのブースでもクローズドの試遊ブースに長蛇の列ができている『WATCH DOGS 2』。刷新されたデザインも好評で、期待値は高まるばかりの本作で、前作に引き続きクリエイティブディレクターを務めるUbisoft Montrealのジョナサン・モーリン氏に話を聞いた。サンフランシスコを舞台に駆け巡る若きハッカー、マーカス・ホロウェイの新たな“戦い”とは?

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『Watch Dogs 2』クリエイティブディレクターに直撃! サンフランシスコのハッカーが戦う理由とは?【E3 2016】_02
『Watch Dogs 2』クリエイティブディレクターに直撃! サンフランシスコのハッカーが戦う理由とは?【E3 2016】_01
▲本国のユービーアイソフトは30周年。ブースの中央には大きな30周年看板が!
▲完全クローズドの試遊ブースを飾る新しい主人公の姿がひときわ目を引いていた。
『Watch Dogs 2』クリエイティブディレクターに直撃! サンフランシスコのハッカーが戦う理由とは?【E3 2016】_03
▲Ubisoft Montrealのジョナサン・モーリン氏。前作を成功に導いたクリエイティブのキーパーソン。

情報をどう扱うのか、知ることで理解してほしい

――シカゴのつぎがサンフランシスコになったのは意外でした。

ジョナサン 本作の開発を始めるに当たって、まずは舞台となる都市を決めることにしました。それによって、どのような世界を作り出すのか、どのようなレンズで物を見るのか、決めることができます。サンフランシスコのベイエリアは、すべてが可能となる場所です。シリコンバレーにある企業はいずれも、規則や慣習に縛られない、ふつうとは違う考え方を持った人たちによってできたものです。そんな彼らによって世界は変わりました。今回、サンフランシスコを舞台に選んだのは、そのような場所こそ新たな舞台にふさわしいと思ったからですね。

――若きハッカーを主人公に選んだ理由は?

ジョナサン 何かを起こすパワーを持つ人物として、若いハッカーは主人公にふさわしいと思ったんです。コンピューターのスキルは必要ですが、可能性を持つこと、枠に囚われない姿勢を持つことを考えると、若さはとても重要でしたね。それに、仲間とブレインストーミングをしてワクワクしながら問題解決を考えている姿は、若者こそふさわしいでしょう?

――前作の主人公・エイデンはシステムを使って復讐することがテーマでしたが、本作のテーマは?

ジョナサン 世界の体制全体にフォーカスしています。マーカスはサンフランシスコで生まれました。しかし、サンフランシスコが中産階級化するうちに、彼の家族のような貧困層は押し出され、オークランドで育つことになります。ctOSを通して差別を受けたり、そこで不正が行われていることを知った彼は、何とかして状況を壊したいと思うようになります。いま、私たちは自分たちの情報が調査され、共有されていることはわかっています。でも、それがどう利用されているのかはわかりません。マーカスたちは、これを調べて社会を助けたいと考えています。

――情報に対する不信感がテーマであると。

ジョナサン 私は昔からコンピューターを触ってきたので、ファイルやフォルダがどのような意味を持つのか知っていますが、子どもたちはまったく知らないでしょう。画像を見ているだけで、ファイルがどういったものなのか、まったく知りません。DEDSECの目標は、そういった人たちがファイルやデータへの理解を深め、選択できるようにすることです。テクノロジーへの理解が深まれば、テクノロジーをどのようにコントロールすればいいのか、わかりますから。

――本作の開発でもっとも重視したことは?

ジョナサン 最大のチャレンジと言えば、ハッキングに深みを持たせることですね。前作のシンプルなハッキングは気に入っていたんです。何かにカーソルを合わせてボタンを押せば、それで解決できた。でも、プレイヤーはもっと自分がコントロールしているという感覚が欲しいものです。このふたつのバランスを取るのは難しかった。ガジェットが増えてできることが増えました。自然な感じで動かせるガジェットやツールを取り入れることで、そのあたりのバランスは取ったつもりです。クルマの機能はみんなが知っているので、どうしたら動くのかはすぐに理解できますよね。クレーンなども、日常的に目にしているので、リモートコントロールで動かすメカニックも理解できるでしょう。こういったすべての事象にコントロールパワーを与えれば、それだけたくさんのことを管理しなくてはなりません。

――本作のデモをプレイして気になったのは、警察の力です。プレイを進めるために、あまり彼らと絡めなかったんですよね(笑)。

ジョナサン プレイヤーが持つ新しいツールに対処するため、警察には手を加えています。警察はプレイヤーだけを気にしているわけではありません。警察を含めて、すべてのAIはそれぞれが目的を持って動いています。警察はプレイヤー以外の人たちの犯罪も認識するので、警察の動きはシミュレーションに近い感覚になるかもしれません。

――前作と本作の大きな違いはどこにありますか?

ジョナサン おもにふたつあります。まずは、ゲームのトーンです。前作よりも明るく、喜びを感じてもらえると思います。サンフランシスコはカラフルで前向きな姿勢を持っている街なので、軽快なトーンになるよう調整しました。これは、メインキャラクターたちの姿勢やアプローチに合っていると思います。ふたつ目は、プレイヤーが状況をより上手にコントロールできるようになったことです。ツールの数が増えただけでなく、自分を表現する手段にアナログなものが加わっていますよ。コンテンツへのアクセスも変わりますね。主人公はDedSecのハッカーなので、DedSecの各オペレーションがコンテンツを提供します。民主主義の権利を全面に出したソーシャルメディアの分析、AIの進歩、人々のプロファイリングなど、さまざまなコンテンツをもたらしてくれます。オペレーションが終了した際には、多くの知識を得ているので、その情報をどう使うかをプレイヤーはコントロールする必要があります。

――手触りについてですが、全体的にスピード感が増している印象を受けました。

ジョナサン そう感じてもらった理由は、ふたつあると思います。プレイヤーが前作よりもパワーを持っているので、AIの効率を上げて、周囲が状況にすぐ対処できるようにしたからでしょう。もうひとつは、ハッキングをより意味のあるものにしたからではないでしょうか。銃を撃つ感覚でハッキングができるようにしているので、プレイヤーはある程度のレベルに達すれば、ハッキングするスピードはとても速くなるでしょう。協力プレイでは、ミッションを難しくしてプレイヤーに多くを求めるようにしています。もしお互いのレベルが高ければ、よりスピーディでダイナミックな協力プレイが楽しめるので、皆さんもどんどんゲームを遊んでレベルを上げてほしいですね。