セットプレイの仕様変更や新シュートの追加も
E3よりひと足先に開幕した、エレクトロニック・アーツの独自イベント“EA Play”。その会場で同社のサッカーゲームシリーズ最新作『FIFA 17』を遊んできた。
PS4/Xbox One/PC版では、EAのFPS『バトルフィールド』シリーズ用に開発されたFrostbiteエンジンを採用した本作。EA社内のさまざまなジャンルのゲームでFrostbite活用が進んでいて、スポーツ部門でも日本未発売のゴルフゲーム『Rory McIlroy PGA TOUR』で昨年採用しているとはいえ、長年の蓄積の上に出来上がっているゲームをスムーズに移行できるものなのかと一瞬不安になったりもしたのだが、遊んだ感触は紛うことなきFIFAシリーズそのもの。3回プレイしたが、違和感を感じる部分などはなかった。
新機能の部分では、セットプレイの中でも、特にコーナーキックの仕様変更にすぐに気がついた。(オプションで切り替えられるのかもしれないが、少なくともデフォルトでは)本作ではボールの落下点をカーソルで指定して、そこに向かって蹴るという形式になっていて、個人的にはこちらの方がわかりやすくていい感じ。叩きつけるようなヘディングを打つこともできるようになったので、コーナーからのプレイは堀りがいがありそうだ。
なおセットプレイではその他にも、フリーキックやPKで蹴るまでのアプローチに変化がつけられるようになっていたり、カウンター時に欲しい低弾道なゴールキックや、スローイン時に歩いて投げる場所を少し調整するとか、投げるフェイントをかけるといった新アクションが登場している。
また、プレイしていて気持ちよかったのは、新たな派生シュートの“低弾道フィニッシュ”。弱めに調整して蹴らなくても、この操作(シュートボタン2回)では意図的に低く抑えたボールを蹴ることができる。
AIの向上でスペースへの走り込みが進化していたり、新アクションとして通常のスルーとは異なる“精密スルーパス”が追加されていたりもするので、裏に抜け出してキーパーが前に出てきた時に、距離の調整が難しいループシュートや角度がないと辛いコントロールシュートではなく、低弾道フィニッシュでキーパーの脇をシュッと抜くように狙っていくのはいかがだろうか(ちなみにコントロールシュートやボレーの低弾道化も可能)。
デビューからスターダムを駆け上がるまでを描くストーリーモード
新モードである”The Journey”についても遊ぶことができた(ちなみにFrostbiteエンジンの描写力を活用しているのでPS4/Xbox One/PC版限定)。これは”アレックス・ハンター”という架空のルーキーとして、プレミアリーグのトップチームに入団し、スターダムを駆け上がっていく様子をストーリーモード的に仕立てたもの。
だから試合中に操作できるのはアレックスのみ。パスを要求したり、地道にスペースに走り込んだりしながら、活躍のチャンスを狙っていくことになる。試合ごとに目標が提示されており、会場でプレイできたデモ(マンチェスター・ユナイテッドでのデビュー戦。ちなみにユナイテッド以外のプレミア所属チームでも遊べる)では、「監督の評価7.0以上」、「パスを10本以上通す」、「(途中出場で)ゴールを決める」の3種類がお題。
ゴールやアシストはもちろん、ナイスなパスの積み重ねでも評価は上がっていくのだが、一方で「中盤がスカスカじゃねぇか!」と勝手に下がり過ぎると、ポジション取りが不適切ということで評価が下がったりするのがチームスポーツの難しいところ(ちなみに位置取りすべき方向は画面上で示されているので、わからないうちはそれに合わせていけば大減点は避けられる)。
ここまでのプレイ要素としてはシリーズでおなじみのキャリアモードを選手としてプレイした場合と少し近いが、よりストーリー要素が強くなっているのが特徴的。試合後のインタビュースペースや監督室での面談などでいい感じの受け答えを選ぶことで、ファンが増えたり、監督の信頼度が上がったりもする。
ちなみにストーリー面の構築は、デヴィッド・ベッカムの自伝「ベッカム:マイ・サイド」の共著者であるトム・ワットがメインで執筆し、トッテナム・ホットスパー所属のハリー・ケイン(今シーズン得点王)がストーリーコンサルタントとして協力。そのほか、ハメス・ロドリゲス、アントニー・マルシャル、マルコ・ルイス、エデン・アザールらも助言を行い、架空の若手選手をリアルに描き出そうとしている。
あくまで実在の選手でプレイしたい人、どうせやるなら従来のキャリアモードのように完全に自分だけのキャラを作りたいという人にとってはイマイチかもしれないが、本モードの副産物として、プレミア全チームの監督がキャプチャーされて超リアルに描かれるようになったことは知っておくといいだろう。とりあえず記者は現リバプール監督のユルゲン・クロップに激励されたり、愛がゆえに怒られたりしたいです、ハイ。