あのころ熱くなれたゲームの最新作がここにある。

 アークシステムワークスから本日2016年5月26日に発売されたプレイステーション4・プレイステーション3用の対戦格闘ゲーム『GUILTY GEAR Xrd -REVELATOR-(ギルティギア イグザード レベレーター)』(以下、『GGXrdR』)。本稿では、ゲームセンターでも本作を遊んでいる格ゲー好きライターが、本作の魅力をお伝えするプレイインプレッションをお届けする。


 『GGXrdR』は、1998年に初代プレイステーション用ソフトとして世に送り出された2D対戦格闘ゲーム『ギルティギア』の流れを汲んだシリーズの最新作。機械文明と中世魔法ファンタジー的なテイストが絡み合った独特の世界観と、重厚なロックサウンドが流れる爽快なバトルが特徴のシリーズです。スピーディーで自由度の高いゲーム性はそのままに、かつ美麗なアニメーション調のグラフィックは3Dへと進化を遂げてなお健在。格闘ゲームとしては“前作”にあたる『GUILTY GEAR XX』シリーズからとんでもないパワーアップを果たして戻ってきたのが、『GUILTY GEAR Xrd』であり、本作はそのシリーズ2作目にあたります。

 先にも述べたとおり、15年を超える歴史のある『ギルティギア』は息の長いシリーズです。この記事を読んでいる皆さんの中にも、ゲームセンターや家庭用など、これまでシリーズのどこかで『ギルティ』に触れたことのある方は多いと思います。

 私事になってしまうのですが、いまやいい年したおっさんのぼくが最初に『ギルティギア』を遊んだのは、中学生のころ、デパートの中に設けられたゲームコーナーでした。当時は格闘ゲームに興味はなく、ゲームセンターは不良の集まる危ない場所、というイメージがまかり通っていた時代。実際にぼくの住んでいた片田舎では保護者の目が届きにくいゲームセンターに舎弟を呼びつけ、先輩のライブのチケットを売りさばく不良なんかがいたものです。そんな当時の地元のゲームセンターでは『ストリートファイター』や『ザ・キング・オブ・ファイターズ』が流行っていました。そんな硬派な画面が並んだ筐体の中に、ひとつだけ異彩を放っているゲームがありました。真っ白い中世ファンタジー風の衣装を身にまとった細面の剣士が、長剣を武器に、怪しげな森の中のステージで戦っているではありませんか。対戦相手のシスター服みたいな衣装の女の子(※重大な勘違い)はヨーヨーの紐を魔方陣みたいな形に編んで剣士の連撃から身を守っています。『ファイナルファンタジー』とか好きだった、ちょっと繊細な中学生のハートに、そのビジュアルはもうクリティカルにぶっ刺さりました。そこで財布の中から取り出した100円玉が、ぼくが格闘ゲームの未知へ踏み込む第一歩となりました。

『GUILTY GEAR Xrd -REVELATOR-(ギルティギア イグザード レベレーター)』誰もがビートを刻んで熱くなれる格闘ゲームの最新作_01
『GUILTY GEAR Xrd -REVELATOR-(ギルティギア イグザード レベレーター)』誰もがビートを刻んで熱くなれる格闘ゲームの最新作_03
▲特異な形状をした剣、炎や雷のエフェクト、キャラクターの持つ様々な戦闘スタイル。ひとつひとつ独自性を挙げていったらきりがないもの、その集合が『ギルティギア』というタイトルなのです。

 レバー操作で、いわゆる“波動拳”コマンドが入力できればヒーローで、ボタンをペシペシ叩いて相手キャラに攻撃を届かせることに必死だった時期、少ない小遣いをやりくりして友だちと勝ちを競い合う中で、しゃがみガードできない攻撃“ダストアタック”なる裏技的なものをこっそり発見したときは連勝を重ねてほくそ笑んだりしたものです。そこから格闘ゲーム攻略を取り扱う専門誌“アルカディア”を買い、そこに掲載されていた隣町にある“大会開催店舗”まで行って猛者からの洗礼を受け、自転車で片道50分の道のりを週3~4回隣町のゲーセンまで通う日々が僕の青春でした。当時の全国大会――“闘劇”の予選に出るため、県内でも強いといわれている兄ちゃんに30連敗するまで挑戦したり(いま思い返せばよくつき合ってくれたものでした)、現在でも交流のある友人ができたり、年の近い学生どうしでチームを作ってみたり。

 歴史の長いゲームには、それだけ多くの思い出が伴っているものです。友だちの家に行って1個しかないアーケードコントローラーの使用権を巡って対戦前から熱いじゃんけんバトルが始まったり(負けた方はゲームパッド使用)、インターネットで動画を置いてくれているサイトを探して、数少ないそれを参考に毎晩日課のように連続技の練習をしたり、先輩の車に乗せてもらって隣の県の流行っているゲームセンターまで集団で遠征したり――やり込みの量は関係なく、本作を通して“楽しかった”と思い返せるものは、人それぞれある。自分以外の誰かと遊べるゲームなので、他のジャンルよりもそういった記憶は強く焼きつきやすいのではないでしょうか。

 あのころ遊んだゲーム。2D対戦格闘ゲーム『ギルティギア』。そのシリーズ最新作が、最新のグラフィックと演出、サウンド、キャラクターで楽しめる、それが本作『GGXrdR』であり、ゲームを通してプレイヤーが得られる“熱”は、時代や技術の進歩によって、あのころよりもさらに確かな手応えを感じられるものになっているのです。もちろん、ここから『ギルティギア』ワールドに入り込むのだって全然オーケー。むしろ間口はずっと広く、入り込みやすい工夫がなされています。つい昔語りが熱くなってしまいましたが、さあここからはゲームの話をしていきましょう!

『GUILTY GEAR Xrd -REVELATOR-(ギルティギア イグザード レベレーター)』誰もがビートを刻んで熱くなれる格闘ゲームの最新作_04
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▲魅力的なキャラクターの顔ぶれは、最新作になってますます賑やかになっています。本作では“あの男”の側近であるレイヴンがついにプレイアブル化しました!

二段ジャンプ、空中ダッシュ、ガトリングコンビネーション、とにかく自由度の高い操作性とスピード感!

 「でも、お難しいんでしょう?」 見た目が変わっているから、タイトルが新しくなっているから、ゲームの内容も変わっているんじゃないか。昔の『ギルティギア』は遊んだことがあるけど、最近のは新しすぎてよくわからない。そんな方でも大丈夫。本作は、みんなが知っている『ギルティギア』でありながら、より幅広いプレイヤー層が楽しめるように“進化”を遂げたタイトルでもあるのです。

 格闘ゲームとしての『ギルティギア』最大の特徴は、なんといっても幅広いプレイスタイルを受け入れてくれる、その自由度の高さ。離れた相手の場所まですぐに移動したい! そんなときはスピーディーな地上ダッシュ、または一定距離を高速でガッと移動する空中ダッシュ。爽快に相手にかっこいい連続技を叩き込みたい! そんな時は“ガトリングコンビネーション”。パンチからキック、スラッシュ~と、ボタンを順番に押していくだけで攻撃がつぎつぎとつながって連続技になります。もしくはダストアタック。特殊な演出で相手を空高くふっ飛ばし、そこにボタン連打でつぎつぎと叩き込めるので連続技の構築が簡単。プレイヤーがこう動きたいと思ったらそれにスムーズに応えてくれる操作性の高さ、そして溜まったゲージを消費してすべての動作のスキをキャンセルできるシステム“ロマンキャンセル”が、より自由な戦術の組み立てを可能にしてくれます。「この行動から、あの攻撃を出したら強いんじゃないか?」。そんな閃きは、必ずプレイヤーの新しい力となって対戦にフィードバックされます。自分のキャラクターの攻撃の性能を調べ、戦術を組み立て、相手の防御を崩すネタを発見する、そんな試行錯誤を、本作の自由度は裏切らないものになっています。

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『GUILTY GEAR Xrd -REVELATOR-(ギルティギア イグザード レベレーター)』誰もがビートを刻んで熱くなれる格闘ゲームの最新作_07
▲“ロマンキャンセル”は『Xrd』になって性能が変わり、発動した瞬間に相手の動きがスローになる効果が付与されるように。発動するのは簡単に、そしてゲージさえあれば、好きな時に一方的に有利な状況を作り出せるようになっています。

 自由度の高さは、そのままプレイスタイルのバリエーションの高さにもつながってきます。たとえば、飛び道具や突進技、対空技といった格闘ゲームの基本的な技がそろったソルやカイなどは、お互いの間合いを測るようなじりじりとした“差し合い”のような戦いもできます。ポチョムキンは重厚な打撃力とダメージの高い投げ技を持った硬派なキャラですし、ボタンを押せば本体が、ボタンを離せば分身が行動する、“2体同時攻撃”を仕掛けるザトー=ONEのような特殊な操作性を持ったキャラクターもいます。パワー重視、スピード重視、テクニカル、かっこいい奴、かわいい女性キャラクター、さまざまなキャラクターがいるので、あなたが気に入るキャラクターがきっと見つかるでしょう。

『GUILTY GEAR Xrd -REVELATOR-(ギルティギア イグザード レベレーター)』誰もがビートを刻んで熱くなれる格闘ゲームの最新作_08
▲新キャラのジャック・オーは本体の攻撃力は低めな代わりに手下のサーヴァントを召喚していっしょに戦える、戦略性の高いキャラクターです。