ついにE3主催自らが手掛けるファン参加型イベントが登場

 ゲーム業界を代表するイベントE3に変化が起きつつある。本日E3を主催するESA(Entertainment Software Association)が、ファン参加型の無料イベント“E3 LIVE”を、E3会期中に会場近くのイベントスペースL.A. Liveで行うことを発表した。すでに3日間のチケットはソールドアウトになっている。

 では、なぜわざわざE3と別にファン参加型イベントをやるのか? これは恐らく、今やファンによるゲーム配信やSNSを巻き込んだマーケティングが当然の時代にも関わらず、E3が基本的に小売店などのバイヤー向けの見本市(+メディア向けの発表会)としての姿勢を変えず、一般のゲームファンに門戸を開かないまま続いてきたことと関係している(実際にはゲーム系専攻の学生など、ほぼ一般のファンに近い人もたくさん入場するが)。

 というのも、現地のファンにしてみれば、E3は依然としてビッグイベントではあるものの、超有名なストリーマー(配信者)でもない限りは中に入れないし、重要なネタが発表されるカンファレンスはすべてストリーミングを見ることができる。
 ここまではE3時期の日本と同じだが、アメリカではPAX(ペニー・アーケード・エキスポ)やソニーが主催するPlayStation Experience(PSX)、ゲーム映像配信大手のTwitch主催のTwitchConのような、ファン参加型の大きなイベントが急成長している。自分が直接ゲームを遊べて、グッズを入手でき、憧れのクリエイターの話を間近に聞けるなら、ファンの注目がそっちに向かうのは当然のこと。2K Gamesなど、PAXでの出展や発表に力を入れるメーカーも増えてきている(これにはE3時期は情報が多すぎて埋もれやすく、あえて外すことで少しでも露出を得たいという目論見もある)。

 こうした時代の変化に対して近年ではゲームメーカーも手を打っていて、E3会場近くでイベントを行い、ファンを招待したりするのが一般的になってきている。昨年もベセスダ・ソフトワークスが、同社初のプレスカンファレンスをおみやげ付きの一般招待で大々的に行ったりしていたのはご存知の通り。
 そして今年はついにエレクトロニック・アーツがE3出展を取りやめて、代わりに独自イベント“EA Play”を主催することを決定したほか、例年デモはほぼクローズドながらブースを構えていたActivisionもE3にブース出展を行わないことを発表しており、こちらも恐らくなんらかのイベントを行うだろう。

 まさにこうした、E3会場の外に出て行く「メーカーとゲームコミュニティのE3離れ」への対抗策が、今回のESAによるE3 LIVEなのだろう。個人的にはリアルイベントで対抗してもE3が抱える本質的な問題は変わらないし、どっちみち人数をカバーしきれないんだから、クラウドゲーム技術でも使って発表されたばかりのゲームのデモをガンガン配信して、E3という名のブランド価値を上げた方がいいと思うけど。