ベタ塗りも“アナザーカラー”も大胆に!
2016年5月4日、徳島で開催されたイベント“マチ★アソビ vol.16”にて、『世界樹の迷宮V 長き神話の果て』(以下、『世界樹V』)のスペシャルトークショーが行われた。その内容はこちらのリポート記事でご覧いただくとして、当記事では、トークショーを終えた直後のキャラクターデザイナー・日向悠二氏、ディレクター・小森成雄氏への単独インタビューをお届け。週刊ファミ通2016年5月12日発売号の最新記事(詳細はこちら)とあわせて、冒険者の方々はぜひ読んでほしい!
──トークショー、お疲れ様でした。今日(5月4日)は雨が降るかもしれない天気予報でしたが、イベント日和の快晴でよかったです。
小森 その代わり、風は強かったですね(笑)。こうして日向さんといっしょに、ユーザーの皆さんに向けてお話ししたのは『世界樹の迷宮III』のラジオ以来かと思いますが、『世界樹』シリーズのことを知ってくださっている方が多そうな雰囲気を壇上から感じ取ることができて、とてもありがたかったです。
日向 トークの進行台本が強風で飛ばされたあたりから、小森さんが吹っ切れたように良いノリで話していたように見えました(笑)。僕もこういうイベントに出るのは久しぶりですが、『世界樹V』はいつにも増して、“集大成”のナンバリングタイトルとして、ひとりでも多くの方にお届けしたい思いがあります。宣伝の面でも僕にお手伝いできることがあればと、今回参加させてもらいました。
小森 内心では緊張していたせいかもしれませんが、トークショーの中でひとつ、情報を間違えてしまいましたので、この場を借りて訂正させてください。職業“ネクロマンサー”の二つ名ですが、ひとつは“召喚した死霊をどんどん消費する”タイプで、もうひとつは、ベーシックスキルをそのまま伸ばすような“万能”タイプになります。“万能”タイプについて、トークショーでは「何となく召喚をしやすくなるんです」的な説明をしてしまいましたが、正確には、死霊を駆使して呪いや石化をかけたり、氷属性の攻撃を仕掛けたり、召喚枠にいる死霊に指示して一斉攻撃させたりと、使いこなすとまさに万能感溢れるタイプになります。
──なるほど。せっかくなので、死霊を“消費”するタイプについても改めてお聞かせください。
小森 死霊を召喚したままにせず“消費”するほうのタイプは、たとえば、召喚したすべての死霊を爆発(消滅)させて敵に大ダメージを与える“死霊大爆発”などのスキルがあり、こちらも強いです。ぜひ、皆さんのお好みで二つ名を選んでいただければと思います。
──わかりました。トークショーでの話題からさらに突っ込んで訊いてみたいのですが、プレイヤーキャラクターの頭身について、“『新・世界樹の迷宮 ミレニアムの少女』のときからNPCの頭身に合わせるというルールにした”と話していましたよね。『IV』までのナンバリングタイトルと比べると、『世界樹V』のプレイヤーキャラクターは頭身がやや上がっていますが、デザインするにあたって全体的に意識したことはありますか?
日向 頭身を上げるとなると、デザインの細かいところまで描き込みたくなりますし、実際、手足や武器などのディテールは当初描いてあったのですが、それをゲームの画面サイズで見ることを考慮したとき、描き込む必要がないところはシンプルにベタ(黒塗り)を乗せました。これは『世界樹』シリーズの第1作から意識していたことで、今回も踏襲しています。ゲーム画面で顔が小さくならないよう、イラストのポーズにも気をつけましたね。なおかつ、第一報で皆さんにイラストを見ていただくとき、その種族や職業への期待なり想像なりを膨らませてほしい思いもありましたから、イラストのどういうところに注目してほしいか、ベタをどのように乗せるかなど、笹津君(アートディレクターの笹津啓志氏)と話し合いを重ねました。
──週刊ファミ通(2016年5月12日発売号)のインタビューでご登場いただいた笹津さんも、“イラストのシルエットがより伝わる絵”を日向さんが模索してくださったと仰っていました。
日向 その点、たとえばフェンサーのイラストなどはわかりやすいと思います。ライティング(キャラクターに光が当たる方向)をひとつにして、影を一段階入れて、あとはすべてベタ塗りにするくらいの勢いで仕上げています。
──フェンサーといえば、女の子(※)のイラスト2種のどちらをメインにするか(第一報などで前面に出すか)の議論があったというお話も、笹津さんから聞きました。(※イラストの性別に公式設定はありません。こちらの記事を参照)
日向 どちらも“主人公”感が出るようにデザインしたので、僕としてはどちらがメインでも構わなかったのですが、デザインするにあたっては“90年代”と“00年代”らしさを意識しました。ポニーテールのほうは'90年代、前髪パッツンのほうはいまどきの女の子らしさが感じられるようにと。
小森 僕はどちらかというと“90年代”推しでしたが、若手の笹津はやはり“00年代”推しで、まさに世代の違いを感じたような気がしました(笑)。最終的には“00年代”のほうを第一報で先に公開することにしましたが、フェンサーに限らず、自分のパーティーでどのキャラクターをメインにするかは、もちろんプレイヤーの皆さん次第です。
──本作はキャラクターメイクも良い意味で悩ましいです。僕が試遊させてもらった段階のROMでは“アナザーカラー”(※)は収録されていませんでしたが、今回もバッチリ用意されているようなので、続報でのお披露目を楽しみにしています。(※アナザーカラー:各キャラクターのもうひとつのカラーリング。こちらの記事で一部を公開中)
日向 今回のアナザーカラーは、けっこう大胆に配色を変えつつ、そこにきちんとコンセプトを持たせています。通常カラーのほうは、フェンサーなら青、ウォーロックなら黒……といった具合に、各職業のテーマカラーで配色をまとめていますが、それに対してアナザーカラーは、たとえば通常が騎士っぽいものであれば白騎士や黒騎士のように深化させたり、学生服のような配色に変化しているアナザーカラーもあったりと、通常カラーとは異なる、キャラクターとしての個性と魅力をより引き出す意図を込めています。
小森 僕から見ても予想外のアナザーカラーもありましたが、日向さんと笹津がじつに楽しそうに検討していたので、そのあたりはアート面を手掛ける彼らの感性に任せています。個人的には、あんまり変わっていないよね、と感じるものもありましたが……(笑)。
日向 PCでイラストデータのカラーをいじりながら検討したときも、盛り上がりました。アナザーカラーは“アバター”というより、まさしく“キャラクター”然としているので、もしかしたら、キャラクターメイクでカラーリングをさらに変えようとは思わない方もいるかもしれません。
──あるいは、たとえば「褐色肌で白髪のキャラクターを作りたいんだけど、そうすると通常カラーの服装に似合わない気がする……そうだ、アナザーカラーの服装にしよう!」という風に考える人もいるでしょうね。
日向 個人的嗜好が感じられる例えですけれど(笑)、そういう選びかたもアリですね。僕も褐色肌のキャラクターは好きですし、“褐色”にも茶褐色とか赤褐色とか灰褐色とかいろいろありまして……とか語り始めたら僕は止まりません。キャラクターメイクでは、皆さんの好みをどうぞ存分に反映してほしいです。
──ゲームの完成を楽しみにしています。いずれの機会にまたお話を聞かせていただきたいと思いますが、今日はありがとうございました!
……というわけで、最初のパーティー編成を考えてキャラクター5名を作ったときは半日ほど費やした記者ですが、アナザーカラーが公開されたら再検討したくなる可能性を大いに感じたインタビューでした。あ、それから、ついでに宣伝しちゃいますが、ファミ通DXパック向けの描き下ろしも楽しみにしていますよ、日向さん!
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