本物の刀匠が刀剣をつくってみた
2016年4月29日・30日、千葉県・幕張メッセにて開催されるニコニコ動画最大のイベント“ニコニコ超会議2016”。ここでは29日の超刀剣ブースの模様をリポートする。
刃物のまちとして知られる岐阜県関市の刀匠を招き、その場で古式日本刀鍛錬の実演をするという本企画。多くの来場者が見守る中、炭素量を調整しながら不純物を叩き出す“折り返し鍛錬”という工程が実演された。
火入れをして種火を起こし、鍛錬がスタート。“横座”という役割の刀匠がふいごを使って空気を送り込み、徐々に火床の温度を上げていく。屋外で風が強かったため、火は荒れに荒れたが、さすがはプロ中のプロ。多少の熱さは意に介さず、刀を打つ準備が進んでいった。
刀鍛冶になるには国家試験を受けて資格を取る必要がある。日本全国に150~200人しかいないが、関市周辺には15人くらいの刀鍛冶が集まっているため、集団での作業も行える。そもそも関市は、およそ700年前に刀鍛冶が集まってできた町なのだとか。
横座が巧みに動かす鋼を目掛けて、3人がかりで鎚を振るう。4人とも何も口に出さない。軽く鎚で合図をするだけで阿吽の呼吸が生まれる。キンッキンッという甲高い鎚の音が響く。その音に集中すると神経が研ぎ澄まされる。ひと振りごとに雑音が消えていくような、奇妙だけど心地いい感覚を味わった。
実演終了後、横座を務めた丹羽刀匠に話を伺った。屋外での鍛錬は初めてではないが、風が強くてさすがにたいへんだったとのこと。「火傷しましたよ」と言って見せてくれた腕には、無数の火傷の痕があった。「火が怖くて鍛冶屋が逃げるわけにはいかんでしょ」。うおお、かっこよすぎだろ!
ゲームやら何やらの影響で日本刀に興味を持つ若者も増えている。感想を聞くと「一過性のものじゃないの?」とばっさり。厳しいなーと思ったら、「でもね、たとえ1%でも本格的に刀を学んでみたいという人が出てくれれば、それでいいと思ってます。刀を作るのが文化とするとやね、その文化を守るためには、周りを取り巻く人がいるわけ。マンガとかゲームがきっかけだってね、それでいいの」と笑顔で答えてくれた。