植松さんが語る、学生時代の思い出とは

 それは3月の末、ようやく春らしくなってきたなぁと感じていたころのこと。スクウェア・エニックスの音楽出版担当の方から、1本の電話がありました。「植松伸夫さんといっしょに、植松さんの故郷の高知県に行きませんか?」

 話を聞けば、この4月から始まる『ファイナルファンタジー』吹奏楽コンサートツアー第2弾“BRA★BRA FINAL FANTASY BRASS de BRAVO 2016 with Siena Wind Orchestra”の告知を兼ねて、植松さんが母校を訪問すると言うのです。

 これまで、高知県に行ったことがなかった私。ちょっと観光気分で「いいですよー。カツオ食べたいですし」と引き受け、出発日の朝、羽田空港に向かったのでした。で、渡された行程表がこちら。

植松伸夫氏が『FF』吹奏楽ツアー“BRA★BRA FINAL FANTASY”をアピール! 懐かしの母校で吹奏楽部員と交流【高知編】_09

 「え、なんですか、これ」
 SQEX Yさん「今日明日の行程表です」
 「高松とか岡山って文字が見えるんですけど」
 SQEX Yさん「いやー、高知、香川、岡山と巡ることになったので、嵯峨さんにもぜひいっしょに来ていただきたいと思いまして」
 「えっ、私、今晩は土佐のカツオを食べる気まんまんだったんですけど」
 SQEX Yさん「大丈夫、高松にはうどんがありますよ!」
 「いや、そもそもそれじゃ高知出張じゃない……って、えっ、えー!?」

 と驚いている間もなく飛行機は飛び立ち、高知龍馬空港に到着。ほどなくして、前日は大阪を巡っていたという植松さんと合流し、植松さんの母校である高知学芸中学校・高等学校へ。

植松伸夫氏が『FF』吹奏楽ツアー“BRA★BRA FINAL FANTASY”をアピール! 懐かしの母校で吹奏楽部員と交流【高知編】_08
植松伸夫氏が『FF』吹奏楽ツアー“BRA★BRA FINAL FANTASY”をアピール! 懐かしの母校で吹奏楽部員と交流【高知編】_01
▲カツオを食べるならいましかない、と、空港で植松さんを待っているあいだにカツオを食べました。
▲高知空港に降り立った植松さん。

 高知学芸中学校・高等学校では、吹奏楽部の生徒たちが、back numberの「ヒロイン」と、B.B.クィーンズの「おどるポンポコリン」(E-girlsやゴールデンボンバーがカバーしたことでもおなじみですね)を演奏して植松さんをお出迎え。「おどるポンポコリン」の演奏時は、女子生徒たちによるダンスも披露されました。

植松伸夫氏が『FF』吹奏楽ツアー“BRA★BRA FINAL FANTASY”をアピール! 懐かしの母校で吹奏楽部員と交流【高知編】_02
植松伸夫氏が『FF』吹奏楽ツアー“BRA★BRA FINAL FANTASY”をアピール! 懐かしの母校で吹奏楽部員と交流【高知編】_03
▲キレッキレのダンスで植松さんを歓迎!

 演奏の後は、植松さんを囲んでのトークタイム。植松さんは高校のころに何をしていたか? という話題では、「かわいい子がいたから」という理由でコーラス部に入ったものの、部活動ではなく、バンド活動に精を出していた、という思い出が語られました。

 じつは、先ほど演奏された「おどるポンポコリン」を作曲した織田哲郎さんも高知学芸高等学校出身で、植松さんとは同学年。織田さんは“ポテトーズ”というバンドで活動していたものの、織田さんが転校したので、その代わりに植松さんがポテトーズに入ったというエピソードが明らかに。ちなみに織田さんとは、いまでも交流があるとのこと。

 高校のころから音楽に夢中で、音楽の仕事をするために、高校卒業後に上京した植松さん。とはいえ、すぐに音楽の仕事で食べていけるようになるわけではなく、バイトをしながら仕事を模索する日々が、5年ほど続いたと言います。そのころ、“夢はあるけど、食べていけない”という仲間たちが、夜な夜な植松さんの部屋で集まって飲んでいたそうで、その飲み会に、スクウェア(当時)に勤めている女性が参加するように。その女性に誘われてスクウェアに顔を出すようになり、やがてスクウェアで働くようになったのだとか。

 食べていけない5年間を過ごすうえで役立ったのは、高知学芸高等学校で教わった“我慢の哲学”だ、と植松さん(当時の高知学芸高等学校の教育はとても厳しかった模様)。「何事も、楽しむだけではダメ」、「楽しむことだけを考えていると、楽しいと思えなくなったら止めてしまうから。楽しむことと我慢すること、両方が必要」と生徒に向かって語りました。

植松伸夫氏が『FF』吹奏楽ツアー“BRA★BRA FINAL FANTASY”をアピール! 懐かしの母校で吹奏楽部員と交流【高知編】_04

 植松さんと話すうちに、緊張が解けてきた生徒たちからは、「どうすれば、きれいなメロディーを作れるの?」という質問が。これは、植松さんがよく聞かれる質問のひとつとのことで、植松さんは“先週思いついた答え”として、「人に手紙を書きたくなるような曲を作ることを目標にする。メールではなくて、手紙」と答えました。また、「これは売れるな、と思った曲は?」という質問には、「「ザナルカンドにて」(FFX)を作ったとき、「これは、しめたな」と思った」と回答。ちなみに、高知学芸高等学校では、夏休みに“好きな曲を練習して、2学期に披露する”という音楽の宿題を出しているとのことですが、「ザナルカンドにて」はとても人気があるそうです。

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 生徒とのトークを終えた植松さんは、その後、新聞社の取材を受けたり、地元のラジオの収録をしたりと、休む間もなく行動して“BRA★BRA FINAL FANTASY BRASS de BRAVO 2016 with Siena Wind Orchestra”をアピール。そして高知での告知を終えて、高松行きのクルマに乗り込みました。

植松伸夫氏が『FF』吹奏楽ツアー“BRA★BRA FINAL FANTASY”をアピール! 懐かしの母校で吹奏楽部員と交流【高知編】_06
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 あっ、本当に高松に行くんですね……。今朝、SQEX Yさんに渡された行程表がホンモノだったということをようやく実感し、私も植松さんとともに高松へ。新たな出会い(と、うどん)への期待を胸に出発です。

(まさかの、高松編へ続く! ※高松編は明日公開予定です)

BRABRA FINAL FANTASY BRASS de BRAVO 2016 with Siena Wind Orchestra 公演概要

■制作総指揮
植松伸夫
■演奏
シエナ・ウインド・オーケストラ
■指揮
栗田博文

■公演日程
4月29日(金・祝)【和歌山】和歌山市民会館 大ホール
4月30日(土)【大阪】ザ・シンフォニーホール

5月7日(土)【東京】東京文化会館 大ホール
5月8日(日)【静岡】静岡市民文化会館 大ホール
5月14日(土)【広島】広島上野学園ホール
5月15日(日)【岡山】岡山シンフォニーホール
5月21日(土)【長崎】アルカスSASEBO 大ホール
5月22日(日)【福岡】福岡シンフォニーホール

6月4日(土)【東京】東京文化会館 大ホール
6月5日(日)【愛知】日本特殊陶業市民会館 フォレストホール
6月11日(土)【秋田】秋田県民会館
6月12日(日)【青森】リンクステーションホール青森 大ホール
6月18日(土)【香川】レクザムホール(香川県県民ホール)
6月19日(日)【高知】高知県立県民文化ホール オレンジホール
6月24日(金)【北海道】札幌コンサートホールKitara 大ホール
6月26日(日)【北海道】函館市民会館 大ホール

7月3日(日)【石川】本多の森ホール
7月15日(金)【台湾】國家表演藝術中心國家音樂廳 (Taiwan National Concert Hall)
7月18日(月・祝)【福島】郡山市民文化センター 大ホール
7月23日(土)【兵庫】神戸国際会館 こくさいホール
7月30日(土)【宮城】東京エレクトロンホール宮城 大ホール

■料金(税込)
全席指定 6800円 / 学生シート 4800円
※学生シートの先行抽選でのお取扱いはございません。
※3歳以下のお子様のご入場はお断りいたします。チケットはお1人様1枚必要です。

チケット購入は→こちら

■主催
スクウェア・エニックス/一般社団法人ジャパン・シンフォニック・ウインズ/WOWOW/ローソンチケット
■制作
プロマックス
■制作協力
ハーモニクス・インターナショナル
■協力
スマイル・プリーズ/ドッグイヤー・レコーズ