『メビウス ファイナルファンタジー』の楽曲を手掛けるコンポーザー・鈴木光人氏にインタビュー!
『ファイナルファンタジー』のナンバリングタイトルを手掛けたスタッフが本気で挑む、超ハイクオリティーなスマートフォン向けタイトル『メビウス ファイナルファンタジー』(以下、『メビウスFF』)。2016年2月26日に発売された本作のサントラ『MOBIUS FINAL FANTASY Original Soundtrack』について、コンポーザーの鈴木光人氏にお話をうかがった。
【商品概要】
■商品名: MOBIUS FINAL FANTASY Original Soundtrack
■品番: SQEX-10534-5
■発売日: 2016 年2月26 日(金)(※SQUARE ENIX e-STORE他公式ショップ限定販売)
■価格: ¥2,800+税
■音楽: 鈴木 光人
■収録曲数:47曲収録(CD2枚組)
■発売元:株式会社スクウェア・エニックス
コンシューマータイトルとスマホタイトルの作曲の違い
――サントラのお話をうかがう前に、まず鈴木さんが『メビウスFF』のコンポーザーになった経緯を教えていただければと。『メビウスFF』は、鈴木さんがコンポーザーのひとりとして参加された『FFXIII-2』や『ライトニング リターンズ FFXIII』と開発チームが同じですから、その流れがあったのでしょうか。
鈴木 そうですね。『メビウスFF』についてはそういうプロジェクトがあるというのは知っていて、立ちあがって少ししてから会議に呼ばれ、コンポーザーとして参加しないかという打診を受けました。そこですぐに「喜んで!」と答えて担当することになったんです。
――そのひと言で、すんなりと決まったわけですね。では、『メビウスFF』の楽曲コンセプトについておうかがいします。どういったイメージで作曲をされていったのでしょうか。
鈴木 依頼を受けた際、ゲームの内容については“スマホで展開するFF”とだけ。それと、イメージビジュアルやストーリーの骨子というものはあって、そこからイメージを膨らませていきました。完全な新作で、新しい世界の物語ではあるけれど、それと同時に懐かしい要素があったりして。新しいものと懐かしいものが、同軸上に展開していくような感じで考えていました。
――キャラクターイラストなどから着想を得たりも?
鈴木 ええ、もちろん。イラストを見て、そのキャラが何を着ているか、また色などで曲調がパっと変わることもあったりして、イメージは重要ですね。
――そんなに影響があるものなのですね。曲について、開発チームからは具体的なオーダーがあったのでしょうか。
鈴木 必要な曲のリストが書かれた発注書があって、そこには歴代の『FF』の参考曲があったり、こういうテンションで、といった指示が書かれていました。押さえる部分は押さえつつ、大筋は任せてもらえるという感じでしたね。
――スマホのゲームだと、物語の追加によって楽曲が追加されることもありますよね。最初は、何曲ほど作られましたか?
鈴木 最初は40~50曲ほどでした。開発チームから“いつもより発注を抑えています”といったことを聞いたのですが、それでもこんなにあるじゃん! と思いましたね(笑)。
――『メビウスFF』はコンシューマーのタイトルと遜色ない作りですから、曲の数もすごかったと(笑)。ちなみに、コンシューマーとスマホ向けで、曲作りにおける違いはあるのでしょうか。
鈴木 ざっくり言うと、スマホ向けの場合は立ち上げてからが勝負になってきます。アップデートがくり返され、追加の曲が必要になってくるので。コンシューマーの多くは発売までという区切りがあるけれど、スマホの場合はずっとそのタイトルのことを考える状態が続く。締切の感覚が大きな違いかな。
――スケジュール的にも、曲作りにあてられる期間はかなり違う?
鈴木 そうですね。『メビウスFF』は最初に依頼を受けてからローンチまではある程度時間がありましたが、走り出してからは毎月、新曲を追加していく必要がありました……というか、いまもその最中。曲の発注が来たら、逆算するんですよ。たとえば4曲必要となれば、仕上げるまで1曲1週間として、月4曲がギリギリだなと。これが6曲とか8曲とかになってくるようであれば、どう期間を詰めていくかといった計画を立てて。ユーザーの反応などを見ながら曲のテイストを変えたり、バリエーションを増やしていけるのはいいのですが、やはりまぁ、それなりに大変です(苦笑)。
――ユーザーの曲についての意見を反映することもあるんですね。
鈴木 はい。自分でもプレイしたり、ユーザーの意見などを見て、次回のアップデートで実装する際の曲作りの参考にできるというのもスマホならではです。とくに実装後に自分でチェックして、ここはもうちょっとテンポが遅いほうがいいかなとか、そこで初めてわかることもある。なかなかおもしろいですよ、イントロ短くしようとか、サビ追加とか。