マイクロソフトがショーケースイベントを海外で開催。Xbox OneとPCを一元化したサービスの展開が今年のカギ【Xbox Spring Showcase】

マイクロソフトが海外で開催したプレス向けイベント“Xbox Spring Showcase”から、今年の方針を読み解く。

●Windows 10ローンチから続いてきた家庭用&PCの両取りを目指す

 2016年2月25日、アメリカのカリフォルニア州サンフランシスコで、海外でXbox OneおよびWindowsで今春に展開予定のタイトルを紹介するプレス向けイベント“Xbox Spring Showcase”が行われた。
 マイクロソフトでは、昨年ローンチした新OSのWindows 10で、Xboxアプリケーションの導入やXbox Oneと共通する機能の組み込みなどを行っており、今回のイベントでもXbox OneのゲームだけでなくWindows 10のゲームも並列に出展。発売を控える春タイトルの試遊がメインながら、Windows 10向けの新作レースゲーム『Forza Motorsport 6: Apex』も発表された。


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▲冒頭で挨拶を行ったフィル・スペンサー氏。Xbox部門を統括するプラットフォームの“顔”だ。

 このイベントではっきりと打ち出されていたのは、Xbox OneとWindows 10が動作する複数のプラットフォームをまたがった、横断的なゲームサービスとしてのXboxプラットフォームを展開していくというメッセージだ。
 それは出展タイトルだけでなく、Xbox部門を統括するフィル・スペンサー氏による冒頭のスピーチでも顕著で、同氏は“HoloLens”がお披露目された昨年1月のWindows 10の発表会にはじまり、PC用ヘッドマウントディスプレイのOculus Riftを展開するOculus VRとの提携や(RiftにはXbox Oneコントローラーが付属する)、Xbox OneとWindows 10の連動強化といった1年を振り返っていき、今年はそういった「ふたつのプラットフォームの一元化」(スペンサー氏)が結実する年になると表明した。


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▲Oculus Rift+Xbox Oneコントローラーで『Minecraft: Windows 10 Edition Beta』のVR対応版を遊ぶ筆者。

 同氏いわく「昼はPCでゲームをして、夜はコンソール(家庭用ゲーム機)でゲームする人もいるだろう」というのはその通りで、家庭用ゲーム機であるXbox OneとゲーミングPCのOS部分となるWindowsのどちらも持っているという強みを活かすのは、確かに合理的。しかし過去にもあまりうまく行かなかったGames for Windows LIVEなどの試みもあったわけで、ちゃんと完遂できるかが大事だ。

 スペンサー氏は「こうしたビジョンは一時的なものなのではないか、それとも長期的にやっていく意志があるのか、という懸念も耳にするが」と前置きした上で、「自分はXboxのトップとしてXbox Oneをこれまで最高のXboxコンソールにすると明言したが、これと同様、Windows 10をPCゲーマーにとって最高のゲームスペースにするため、チーム一丸となって全力で取り組むことを約束する。Windows の成功にはゲームが活発に動いて革新的なものであることが必要だ。Xboxチームはその中心にいる」と宣言。
 Xboxプラットフォームで展開されてきた人気レースゲーム「フォルツァ」シリーズをWindows 10向けに無料で提供する『Forza Motorsport 6: Apex』(海外では今春配信開始)や、『Quantum Break』の海外展開で予定されている、Xbox One版のダウンロード版やバンドル版の予約購入特典としてWindows 10版が付属するといった施策は、こういったハードウェアをまたいだ横断的な展開のための布石と言えるだろう。


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▲『Gears of War: Ultimate Edition』PC版や、『Halo』シリーズのアービターが新シリーズで参戦する格闘ゲーム『Killer Instinct』(PC版も配信予定)なども出展。こういったタイトルも広義のXboxプラットフォーム戦略と連動している。

●マーケティング担当に聞く、今後の展開

 では、日本向けのタイトル展開や、春以降の予定などはどうなってくるのだろうか? Xboxプラットフォームのマーケティングを担当するAaron Greenberg氏に話を聞いた。


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――Xbox Oneは現在日本では少し苦戦中ですが、一方で『Scalebound』や『ReCore』といった日本の有名クリエイターが関わる魅力的なタイトルも控えています。さらなるタイトル展開など、日本市場向けの戦略はいかがでしょうか?

Aaron Greenberg(以下、Greenberg) その通り、『Scalebound』や『ReCore』といったタイトルが控えていて、これからも継続的に世界の最も優れたデベロッパーと一緒に仕事をしていきたい。そこにはもちろん、日本で素晴らしいゲームを作っている人たちが含まれる。神谷さん(神谷英樹氏)と一緒に作る『Scalebound』のようなゲームは、日本だけでなく世界中で人気を博すだろう。『ReCore』はもう一つの良い例だね。メガマン(『ロックマン』シリーズ)や鬼武者などを作ってきた彼らの才能を活用したゲームを提供できる。自分はこういったゲームを子供の頃から楽しんできたけど、いま彼らと一緒に全く新しいIPを作れるということにとてもワクワクしているよ。

 一方で、Windows 10でも数多くのイノベーションを行っている。日本にはWindows 10でゲームをしている人がすでにたくさんいる。『Quantum Break』などもWindows 10で出せる。Xbox Oneでダウンロード版を予約すればWindows 10版が手に入るといった施策もやるんだが(編注:日本では未発表のため、日本での発表をお待ち頂きたい)、これによってエコシステムが成長していく。
 そして日本にはXbox 360のタイトルを多数買った人たちがいるので、互換性によって彼らをXbox Oneに呼び込むということもやっていきたい。(インディー向けの)ID@Xboxプログラムもサポートしている。先週も、日本のインディーデベロッパーのZenith Blueが『巫剣神威控』を出した。今後もさらにイノベーションが期待できるので、素晴らしいことが起こると思っている。


――『Quantum Break』のクロスバイ施策は非常に興味深いです。このような展開は他のタイトルでも続けていくんでしょうか?

Greenberg 検討中だ。ファンの皆さんからフィードバックをもらって、もっとやって欲しいということであれば前向きに検討していきたいと思う。『Quantum Break』はテストケースと言えるね。このタイトルの場合は発売日に差がなくローンチするのでフリーボーナスとして提供できた。(開発スタジオの)Remedyはこれまでも『アランウェイク』や『マックス・ペイン』シリーズなど、PCでも色々なゲームを出してきた。
 こういったことは前からやりたいことだったが、UWP(Universal Windows Platform)のいいところは、セーブ共有機能があるので、コンソールでプレイし終わったところから続きをPCでプレイできたりもするんだ。


――『Forza Motorsport 6: Apex』のようにメジャーなタイトルをPCでも出すことは思い切った決断だと思いますが、そこへ至った経緯は?

Greenberg フォルツァを持ってきたのは、Windows 10でどんなゲームを見せられるのか、ビジュアル・ショーケースとして使いたかったからだ。『Forza Motorsport 6』からコンテンツを厳選したサブセットで、DirectX 12を利用して4K解像度まで対応させた。
 レーシングゲームやクルマは、プラットフォームの素晴らしいビジュアル・ショーケースとなってくれることが多い。新しいコンソールは、トップ・レーシングゲームを使ってビジュアル面の秀逸性を提示する。これをWindows 10でもやろうというのが基本の考え方だね。フォルツァのようなタイトルを持ってきて、PCではこれまで見たこともないような驚異のビジュアルを見せたかった。無料にしたので多くの人が試して経験できるよ。


――ゲーミングプラットフォームとして、Windows 10への世代の移行については、どんな感触ですか? 今回は結構いいと聞いたのですぐに移行してみたら、本当にほとんどすべてスムーズに移行できました。全体的にはフィードバックはどうでしょうか?

Greenberg そうなってくれてうれしいよ。自分も同じような経験だった。Windows 10のチームはきちんとした仕事をしてくれたと思う。消費者にきちんとフォーカスしたデザインを実現するとともに、フリーアップグレードとして提供した。ちょっと最新の数字は忘れてしまったが、驚異的な数字の人々がアップグレードしてくれている。
 中でもゲーマーは非ゲーマーに比べ、より多くの人がWindows 10に移行していて、Windows 10搭載PCの約40%でゲームがプレイされている。ゲームの巨大なエコシステムができているわけだ。Xbox One とWindows 10という2つのエコシステムを利用する素晴らしい時期だと思う。

――今年のスプリングショーケースは会場も広く、例年よりも多くのゲームが展示されていますが、未発売タイトルとしては、まだ『Gears of War 4』などが控えています。E3で見せるものを残しても、まだこれだけあったということでいいでしょうか。

Greenberg その通りだ。今年はより多くのゲームを見せていて、昨年よりずっと大きいラインナップになっている。『Quantum Break』のようなAAAタイトルだけでなく、『Below』や『Pit People』といったインディースタジオによる素晴らしいタイトルもある。成長していることは確かだ。
 そして今回は春のゲームにフォーカスしたイベントなので、E3で見せるサプライズは取ってあるよ。ギアーズ4もここでは見せていないしね。さらなるホリデーシーズン向けの大型タイトルも控えている。さっき話した『ReCore』もある。これらはE3で見せる。


――Xbox Oneにおけるプレビュープログラム、PCで言うアーリーアクセスのような、未完成のゲームを有料で試してもらい、フィードバックしながら一緒に作り上げていくという方法は、5年前の業界ではあまり考えられませんでした。長く業界にいる中で、今の空気の流れをどう感じていますか?

Greenberg Xboxの歴史でこれほど顧客に近づけたことはなかった。彼らからXboxの機能についてだけでなく、ゲームについてもゲーム・プレビュー・プログラムでフィードバックをもらっている。フィルも自分もTwitterなどのソーシャル・メディアを使って意見を聞いているよ――自分は毎日、フィルは毎週のようにだ。彼はXboxを運営しなくちゃならないからね。我々が毎日やっていることを世界中の人たちに話せるというのはすばらしい。サービスモデルのように日々進化している。

 こういった空気の変化では、AAAタイトルである『Halo 5』はホリデーシーズンに出したけど、すべてのマルチプレイ・コンテンツは無料だ。ゲーマーを取り込んでコミュニティとしてまとまって欲しいと思っているからで、新しいコンテンツを毎月追加している。ファンの人気が高いFirefightも戻ってくる。このように、自分たちのやっていることに対してダイレクトにファンのリアクションがもらえるというのはとても特別なことだと思う。業界の成長とともに消費者がより大きな役割を果たし、我々がやることに協力してくれているのは素晴らしい。同じテーブルについて一緒に考えてもらうことにワクワクする。

――では最後に…… 今年のE3は期待していいですか?

Greenberg 誇大宣伝するのは好きではないが、人を驚かせるのは好きだ(ニヤリ)。多数のゲームが見られることは確かだよ。『Scalebound』、ギアーズ4、『ReCore』、『Crackdown 3』、『Halo Wars 2』など、すでに発表したゲームを含めたすごいラインナップが控えている。優れたインディーゲームもある。Rareの『Sea of Thieves』もある。コンテンツが豊富でゲーマーにはいい時期だ。E3では喜んでもらい、驚いてもらえるといいと思っている。