新旧『ぷよぷよ』プロデューサーがガチンコ対談

 2016年2月25日に『ぷよぷよ』シリーズの25周年を記念して放送されたニコ生番組『ぷよにこテレビ』。番組内で告知された『ぷよぷよ』シリーズの現プロデューサー・細山田水紀氏と、かつて『ぷよぷよフィーバー』のプロデューサーを務めたゲームクリエイター・中裕司氏によるスペシャル対談の模様をお届けします。

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※写真は過去番組のもの。
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 “レジェンド”ともいえるゲームクリエイターの中氏による鋭い突っ込みを細山田プロデューサーはどう受けるのか!? 笑いの中にも緊張感のある内容に注目!!

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▲セガゲームス・『ぷよぷよ』シリーズプロデューサー/細山田水紀(ほそやまだ みずき)氏
▲プロぺ代表取締役社長/中裕司(なか ゆうじ)氏。かつてセガ(現セガゲームス)に所属していたゲームクリエイター。『ソニック』シリーズなど、多数の人気ゲームを手掛ける。

――中さんはいつごろから『ぷよぷよ』シリーズに関わっているのでしょうか?

中裕司氏(以下、中) ソニックチームで、“ソニックカフェ”というiモードのサイトを運営していたのですが、そこにiアプリとしてリリースしたのが、初めて『ぷよぷよ』に携わったタイミングだと思います。『ぷよぷよ』をセガが作ることになった状況の中で、少しでもうまく展開しようといろいろと準備して。それが2002年ぐらいだったと思います。

――ご自身が関わる以前の『ぷよぷよ』のイメージはどういったものでしたか。

 どちらかというと、ちょっと苦手だったんですよ(笑)。どの『ぷよぷよ』だったのかは忘れちゃいましたが、もちろん遊んだことはあるんですけど、3連鎖くらいが限界で、連鎖の折り返しができないんですね。それを理解した瞬間に「あ、自分はこのゲームは苦手なんだ」と。わりとゲームプレイは得意なほうなんですけれど、僕的にはやや苦手なゲーム。それが『ぷよぷよ』の印象ですかね。

細山田水紀氏(以下、細山田) 僕は『ぷよぷよ』と『ぷよぷよ通』などをプレイヤーとして遊んでいました。ただ、当時は近所にゲームセンターがなくて、ホテルとか温泉施設にある、ちっちゃいゲームコーナーで遊んでいました(笑)

――細山田さんは対戦も得意だったのでしょうか。

細山田 ぜんぜん得意じゃないです(笑)。中さんもそうですけど、歴代プロデューサーの皆さん、実はあんまりうまくないんですよね。湯田さんとか、西山さんもそうですし。むしろ得意じゃないからこそ、どうしようみたいな(笑)。

――『ぷよぷよ』といえば、対戦が盛り上がるゲームで、くまちょむさんなど、すごく上手いプレイヤーの方もいますが、そういった方々のプレイを見てどう思いますか。

 トッププレイヤーのプレイを間近で見たことはあまりないのですが、開発者スタッフでうまい人のプレイを見ていると、「すごい! どうやるの!?」ってなりますよね。じつは『ぷよぷよフィーバー』を作る時に、不得意ながらかなり練習して、連鎖を折り返せるようになったんです。でもそういう練習をしてみると、ゲームをしながらパッと頭の中で連鎖を考えられてしまう人は天才だなと実感しますね(笑)。

――確かに、自分でプレイするほど、うまい人のすごさがわかるようになりますよね。

 ええ。そういう超絶プレイというのは、実際にすごく楽しい部分で、もちろん連鎖ができるほうがいいんですけど、僕みたいに連鎖が苦手な人もたくさんいるだろう、とも思って。そういう仮定のもとで“連鎖が誰でも楽しめる『ぷよぷよ』”を作ろうとして生まれたのが『ぷよぷよフィーバー』なんです。『ぷよぷよ』を復活させるにあたって、どういう人に遊んでもらいたいかというと、いままでのファンはもちろん、逆に苦手だった人も、みんなが楽しめるものにしたいという想いがあったんですね。

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▲2003年~2004年にかけて多数のプラットフォームでリリースされた『ぷよぷよフィーバー』。

――『ぷよぷよフィーバー』では、フィーバーモードの導入などのシステム面に始まり、キャラクターデザインなどでも大きな変化がありましたが、シリーズに新しいものを導入していくことへの葛藤などはありましたか。

 そうですね、シリーズのナンバリングでいうと、4つめの『ぷよぷよ〜ん』までがコンパイルさんが作っていて、『ぷよぷよフィーバー』は5つめに当たるわけです。そこで、いままでのシリーズを見ると、『ぷよぷよSUN』では“太陽ぷよ”が追加されたりと、作品ごとにそれぞれ変化を遂げているじゃないですか。ですので、「5つめの変化は何だろうか?」 という問題を任されているようなものだったですね。そこで、“フィーバーモード”の追加などは、わりと早い段階で決まっていたんですが、それだけでは僕的には物足りないなと感じていて、まだ何かやりたかったんです。そんなときに、L字の3つ組みのぷよを増やそうと思ったんです。実際にテストをしてみたところ、早く積めるようになったり、上手い人ならはじに寄せたりして上手く利用できて、ただ積んでいくだけではない、新しい遊びが生まれそうだと感じました。ちなみに、そのときの思惑のひとつに、ゲーム画面を見た瞬間に“ぷよぷよが新しくなった!”と感じられるようにしたい、というのもありました。そして、それを作り込んでいく中で、もうひとつ4つ組みのぷよも増やして『ぷよぷよフィーバー』の形ができあがったんです。

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――なるほど。確かに、見てわかりやすい変化ですね。

 ただ、新しい組ぷよは、もしかしたら入れなかったほうがよかったのかな、と思う部分もありましたね。発売してからお客さんの反応を見たりすると、ちょっとやりすぎたかも、という感覚がありました。新しい遊びを楽しんでいただけるお客さんもいらしたんですけど、それまでの『ぷよぷよ』が好きだった人たちは、ほぼ全員がアルルしか使わないという状況だったんです。

――アルルを使うと、ふたつ組みのぷよしか出てこないですよね。

 『ぷよぷよフィーバー』は最初にアーケード版を出しているんですが、ロケテストを含めて、何度もゲームセンターの様子を見に行ったのですが、使われているのは本当にアルルばかりで。ゲームセンターで大会を開いてもらったりもしたんですが、そこでもアルルばかりだったんですね。それを見て正直がっかりしました……。アルルも使えますが、新主人公としてアミティがいて、キャラクターデザインも一新しているわけじゃないですか。遊びもデザインも新しくなったところで、僕としてはやっぱり進化した『ぷよぷよ』を遊んでほしいな、という想いが強かったですね。

細山田 『ぷよぷよフィーバー』がリリースされた当初は、組ぷよが2個じゃないと組みづらい、という人は当然いて。とくにこれまでのファンやコアなプレイヤーの方に多かったです。ただ、実は時間が経つにつれて、アミティの組ぷよパターンにある3個組みがよいとか、カーバンクルの4個組みがよいっていう声も出ているんです。カーバンクルの4個組みは色を変えられて、そのまま置けば消えるし、自分の好きな色が置けるっていう状態になるので、その後のさまざまなバラエティルールの変化にすごく大きな影響を与えているんですよね。それで、さっきも名前が出たくまちょむさんがアミティを使うんですよ。プレイを見ていて、2個組みだと当然最大2個のぷよしか設置できないけど、3個組みなら一度に3個設置できるので、純粋に相手より早く組めるなーということに気づきました。

 そう、それは作ったときに開発側が想定していたことだったんですよ。「上手い人なら極めれば一度に多く置けるほうが強いはずだ!」と。

細山田 それが浸透するまで時間がかかったってことなんですね(笑)

 なるほど。それが浸透したことを実感する前に、僕は『ぷよぷよ』の開発から外れちゃったんですね(笑)

細山田 そうですね、中さんはセガから独立されたので。僕はそのあとを引きついだので、それを実感してます。いまの上級者の方々は、アミティなどの新しいキャラクターを使っていて、しかも強いんです。

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▲『ぷよぷよフィーバー』の主人公、アミティ(左)とラフィーナ(右)。

 あ、じゃあ『ぷよぷよフィーバー』ときの思い切りはよかったんだ。

細山田 はい、結果すごくよかったと思います!

 たぶんコンパイルさんだけで作っていてもあの変化にはならなかったと思うんです。実際『ぷよぷよフィーバー』を作るときは、プロデューサーの湯田もあまり『ぷよぷよ』が得意ではないし、僕も得意じゃない。でも、そうなるとすごく心配になるじゃないですか。なので、当時コンパイルで『ぷよぷよ』を作っていた人を見つけてですね、お願いして来ていただいて、手伝ってもらったんですね。その人からもいろいろと意見を聞きながら、僕らなりの新しさを提示するとうまく消化して『ぷよぷよ』のバランスの中に落とし込んでくれたんですよね。そういった作りかたが出来たので『ぷよぷよフィーバー』はすごくよいゲームになったんだなと。僕らだけでは見た目の印象とか、プロモーションとか、周辺の部分でしか押せていなかったと思うんです。コンパイルさんが持っていた『ぷよぷよ』の遺伝子をしっかりと受け継ぎつつ、セガの中で作り上げたものになったので、血筋的にはちゃんとした『ぷよぷよ』なんですよね。

細山田 コンパイルさんの経験値と、湯田さんや中さんの新しい風が混じり合って生まれたわけですね。

 そうですね、セガに『ぷよぷよ』が来て、『ぷよぷよフィーバー』になったわけですけど、僕はいい感じに進化させられたんじゃないかなと思います。その当時は、話した通り以前からのファンは戸惑いもあったかもしれませんが(笑)。ていうのが、2003年から2004年にかけて、ですよね? ちょっとあやふやなんですけど、2004年は“ぷよ”の年だから『ぷよぷよ』を作るか、というきっかけだったと記憶しているんですよ。

細山田 そうだったと思います(笑)

 そんな話をしてたら、ついでに“『ぷよぷよ』の日”も制定しちゃいますかって話になったんですよね(笑)。で、2004年中の24日ごとに毎月別のプラットフォームで発売していったんですよ。アーケード版だけちょっと先行して2003年のリリースなんですけど。

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▲マルチプラットフォーム展開のひとつ、マック版のロゴ。

細山田 当時湯田さんと席が隣だったんで、頭を抱えているのを見ていました(笑)。ずーっとチェックと開発に追われていましたから。PALM版とかPocket PC版とかもありましたからね。

 よく出したよね(笑)。そういえば、単一のゲームでの最大プラットフォーム数ってどれくらいなんですかね? 『ぷよぷよフィーバー』でギネスとか取れないのかな(笑)。

細山田 海外版などもあるんで、もしかしたらいけるかもしれませんね(笑)。

 当時も2004年のぷよの年の中で記録狙っちゃう? みたいな感じで、毎月発売したゲームとかでいけないかなと思って(笑)。その後で忙しくて調べられてないんだけど、そろそろ調べてみたらどうですかね?

細山田 そうですね(笑)。

 当時の、調整がカチッとできたら、それを多くの機種で発売して、より多くの人に遊んでもらうやりかたは、すごくよかったなと思いますね。

細山田 当時開発をしていたソニックチームがマルチプラットフォーム戦略を展開していて、たとえば当時の最新作『ソニック ヒーローズ』が3機種で出ていたりするなどの流れが強かったこともありますね。少しでも多くの人に遊んでもらいたいので、ぜひやろうと。ただ、作り手としてはやっぱりたいへんなんですよね。機種ごとにハードの特色がありますし。……そういえば、ドリームキャスト版『ぷよぷよフィーバー』はセガから発売した最後のドリームキャストソフトだったりしますね。

 またドリームキャストで出せばいいのに。

細山田 え、いまですか!?

 そう、いま(笑)。『ぷよぷよ』25周年でドリキャス出しました! って。

細山田 うわ、コメントしづらい(笑)。

――12ヵ月連続リリースのお話が出ましたが、プロモーションなどに関することで、当時の印象的なエピソードなどはありますか?

 いちばん覚えているのは松浦亜弥さんに会えたことですね。

細山田 すごい個人的ですね(笑)

 本当に個人的な趣味で、「テレビCMで起用するとしたら誰がいいですか」って聞かれたときに、「松浦亜弥さんがいいなぁ、好きなんだよね」って言ったら、実現したんです。いまでも僕のオフィスに写真が飾ってありますよ(笑)。『ソニック』とか、いろいろなゲーム作ってますけど、タレントさんとプロモーションを作っていくっていうことが、それまで一度もなかったんですよね。その後、15周年で蛯原友里さんを起用してましたね。で、最近は戸田恵梨香さんだよね?

細山田 そうですね。

 で、『ぷよぷよ7』では自分がCMに出てたよね? テレビを見てて、「あれ? 細山田がCM出てるぞ!」って。電話しようかと思いましたよ(笑)。

細山田 あれは僕も1週間前まで聞いてなくて、もともと出る予定じゃなかったんですよ!

 でも、蛯原さんと戸田さんを選んだのは細山田の個人的な趣味だよね?

細山田 いやいや、違いますよ(苦笑)。ちゃんと会議で話し合いをして決めたんですよ。でも、その流れを作ったのは中さんじゃないですか(笑)

 確かに(笑)

細山田 蛯原さんと戸田さんは、おふたりとも『ぷよぷよ』が好きだと以前からおっしゃっていただいてたんですよね。

 いいね。よいプロモーションですね、うらやましい。撮影だけ行きたかったな。なんで呼んでくれないんだ(笑)。

細山田 さらに最近では『ぷよぷよ!!クエスト』でAAAさんにご協力いただいているんですけど、これもメンバーの西島さんが『ぷよぷよ』が好きということなんですよね。

 タレントさんの起用については、当時はセガとしても思い切った発想だったと思うんです。パズルゲームでそこまで大きなプロモーションをするというのは、難しい部分もあるので。なので、“ぷよの年”という部分とか、毎月発売するとか、そういうところをすべて含めての大々的なプロモーションだったんですね。

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――そこからシリーズは絶えることなく続き、ついに25周年を迎えるわけですね。

細山田 そういえば『ソニック』と同い年なんですよね。

 そうなんだよね。『ソニック』が25周年なんで、いろいろとプロモーションで協力してくださいねと、現プロデューサーの飯塚さんに頼まれているんですが、『ぷよぷよ』も25周年なんだよね。『ぷよぷよ』は25周年といっても、僕が関わっていたのは4年くらいなんですよ。ただ、先ほど話した大きな変革のタイミングに立ち会えたんですよね。

――25周年というと、かなりの期間ですよね。『ぷよぷよ』はパズルゲームなので、根底はしっかりと固まっているタイトルだと思うのですが、そういった中でシリーズごとの変化をつけるたいへんさはありませんか。

細山田 25周年といっても作っているメンバーは固定じゃなくて、中さんからアドバイスをもらったりすることを含めて、いろんな人が関わっているんですね。その関わっている人たちがもともとなにをやっていたかといえば、『ソニック』を作っていた人とか、『ファンタシースターオンライン』を作っていた人たちなどがいるわけです。それぞれ、各ゲームタイトルでいろいろな経験値を積んだ人が入ってきて、かつ『ぷよぷよ』を昔から知っている人たちもきちっと見てくれるという、うまい融合があるんですね。スマホやアーケードに進出する際にスムーズに動けるのはそこが理由だと思います。もちろん毎作ごとに作るのはたいへんですけれど。でも、完成したあとはみんな苦労を忘れちゃって、作れてよかったっていう、良い記憶しか残ってないんですよね。

 25周年はなにやるんですか? 何か新作が出るんですか?

細山田 ……えーと、がんばります(笑)。

 言えないですか(笑)。でもなんか作ってるんでしょ?

細山田 運営タイトルだと『ぷよぷよ!!タッチ』とか、『ぷよぷよ!!クエスト』とか、『 ぷよぷよ!!クエスト アーケード』とか。『ぷよぷよテトリス』も絶賛販売中です!

 いやいや、そうじゃなくてさ(笑)。

細山田 それでいうと、いつの発売かは言えませんが、つねに何かは作ってますよ!

 15周年の『ぷよぷよ!』とか20周年で出した『ぷよぷよ!!』みたいな感じのやつは?

細山田 どうですかね(笑)。去年は24周年で“ぷよ周年”というのをやっていて、スマホとかアーケードをがんばっていたんですけれど。そういえば、『ぷよぷよテトリス』は24周年記念企画ですね。

 やっぱりPS4とかで出るんですよね? ぷよな感じじゃないですか。

細山田 あぁー、そういう発想はなかったですね。

 あ、違うんだ(笑)

細山田 でも、そうですね。『ぷよぷよテトリス』は当初PS4とかXbox Oneでの発売予定はなかったんですけど、作りましたね。

――去年は舞台化もされました。

 舞台ね、行きたかったんですよ。招待してもらったんですけど、ゴールデンウィークだったから海外に遊びに行っていて見にいけなかったんですよ。もう見られないと思うと本当に残念。

細山田 大丈夫です! セルDVDがあります!

 あ、DVDが出ているんだ! それにしても、よく舞台化まで行きましたね。それだけ『ぷよぷよ』が盛り上がっているっていうことですもんね。

細山田 そのきっかけは、やっぱり『ぷよぷよフィーバー』ですよね。

 そういうところもあるかもね。でも、25周年まで来てるっていうのは、すごくよかったと思います。『ぷよぷよフィーバー』がなかったら、もしかしたら『ぷよぷよ』がなかったかもしれないわけですもんね。

細山田 そうですね。

 いろいろ波乱はあったかもしれないけど(笑)、ひとつの会社で作っているシリーズでも、なかなか25周年っていうのはないわけですよ。『ソニック』なんかもようやく25周年なんですから。セガでもたくさんのタイトルを作っているけど、『バーチャファイター』なんかですら、まだまだ短いわけで。そんななかで『ぷよぷよ』も25年がんばってるよね。

細山田 やっぱり、おもしろいですからね(笑)。

――つぎの区切りは50周年とかでしょうか?

 たぶん30周年とかですよね(笑)。で、そのつぎに2024年が来ると思うので、その辺りでまたなにか。8年後なら、まだ細山田が担当してるんじゃないですか。

細山田 そうですね、8年ならまだ担当しているかもしれませんね(笑)。

 昔のセガって、何周年みたいなことはあまりやらない会社だったんですけど、僕がそういうのが好きで。最近だとユーザー側が言ってくれるようになりましたよね。「今日はドリームキャストの誕生日ですよ」とか、「今日は『NiGHTS』の誕生日ですよ」とか。SNSでは、いろいろなメッセージを送っていただいていて、まぁ、毎日いろいろありますよね(笑)。

細山田 そうですね(笑)。海外版の発売日なんかもありますし。

 でも、そういうことを言ってくれるっていうのは、すごく愛されているっていうことなので。うれしいよね。そういえば最近は、2月4日とか24日とか、『ぷよぷよ』の日付を守ってないでしょ?

細山田 2月4日から「ぷよの日キャンペーン」をやっていますよ!

 キャンペーンでしょ? それもいいけど、ゲームを出さなきゃ!

細山田 ゲームの発売はなかなかタイミングが……(笑)。でも『ぷよぷよテトリス』は2月6日発売ですね。

 ぜんぜんダメ! まったくもってダメ! 25周年をもってして、ダメ出ししておきます。ちゃんと24日に売りなさい! 24日か、2月4日か、2時4分とか、時間でもなんでもいいから、こだわらないと(笑)。

細山田 がんばります(笑)。

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▲2014年秋にアニマックスほかで放送されたアニメ番組『Hi☆sCoool! セハガール』。セガハードが萌え擬人化したキャラクターたちが活躍する。

――せっかくなので、中さんに『Hi☆sCoool! セハガール』のお話を聞いてみたいのですが。

 あっ、初めてメディアでセハガールのことを聞かれたかもしれない。

細山田 あ、そうなんですか?

 セハガールのライブ以外でしゃべったことないですよ。

細山田 でも、アニメに声優役でご出演されてますよね?

 もともと一回しか出ないはずだったんですよね。ボイスチェンジがかかった声でしゃべって、僕のシルエットが出るタイミングがあって、生声でしゃべって顔が出る、みたいなことをやりたいという話を監督からいただいたんですけれど。「どうせやるなら、ぜんぶしゃべりたい」って僕からお願いしたんです(笑)。

一同(笑)。

 ボイスチェンジがかかっているので、あんまり僕だとはわからないと思います。でも、一度、声優の体験をしたかったんですね。あれももう一昨年ですよね。懐かしい。

――“センター先生”という役名のキャラが中さんだったんですよね。

 そうなんですけど、気づいた人ってなかなかいないんですよね。放送中は意外と最後の最後までみんな気づかなかったんですよ。センター先生っていう名前もセンター試験も絡めた名前になっていたので。放送初日からツイッターなんかを見ていたんですけれど、意外とみんなわかってなくて、もうちょっとわかってくれよと(笑)。でも、おもしろかったですね。

――しかも、キャラクターの見た目がアソビン教授という。

 そうですね、かつての取扱説明書のキャラクターとしておなじみの(笑)。

細山田 5話目が『ぷよぷよ』の回で、企画書に『ぷよぷよ』使いますって書いてあったんですよね。で、声は誰がやるか聞いてみたら、中さんもやると聞いて。「おぉ!」と。

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 あ、そのときから知ってたんだ。

細山田 そうですね、楽しかったです。

 アニメのなかに“ぷよぷよウォータースライダー”というのが出てきましたけど。

細山田 ありましたね。

 ぜひあれを作っください。25周年ですし!

細山田 あれ地上1000mの施設ですよ(笑)!?

――VRなどで再現してみてはどうでしょう?

 いや、ちゃんとセガランドっていう遊園地を作って、その中の一施設に、ソニックランドとか、ぷよぷよランドとかがあって。そこにぷよぷよウォータースライダーがドンと! みんな乗りたいと思ったはずですし!

細山田 ウォータースライダーのぷよじゃないですけど、ぷよの日キャンペーンでぷよの120センチくらいあるクッション作りましたね。あれはセハガールの影響で決まった企画ですね。

 おぉ、いいじゃないですか。セハガールはよかったよね、いろいろと懐かしくて。『バーチャファイター』とか『ソニック』とか『ぷよぷよ』とかいろいろ出てきましたけど、ひとつひとつが懐かしいというか。

――いろいろなセガのゲームに『ぷよぷよ』を混ぜたりしていましたよね。

細山田 そうですね、『ファンタジーゾーン』とか。

 あーっ、“ぷよぷよファンタジーゾーン”。

細山田 ああいうノリはセガらしい感じがしましたね。あ、『Hi☆sCoool! セハガール』もDVD発売中です(笑)。

 皆さんぜひお求めください! 僕には1円も入ってきませんが(笑)。セルDVDが売れると続編を作るらしいですよ。

――話が脱線気味ですが(笑)、『ぷよぷよ』25周年というこで、最後にファンに向けてメッセージをいただけますか。

 よくここまで育ってくれたなと。これがここからどこまで続くかは、細山田君を始めとするスタッフと、なによりもファンの皆様にかかっていると思います。50年、100年、何百年となったときに、『ぷよぷよ』の遺跡が発掘されるくらいまで、がんばってほしいですね。「ぷよぷよ神殿がむかしここにあったらしいぜ?」みたいな(笑)。

細山田 何の神殿かよくわからないですけど(笑)。しかも4つ作ったら消えちゃいますね(笑)。

 いいね(笑)。それと、もう僕はあまり関われていませんが、ぜひ大きく長く続けてください。新しいルールを追加するとたいへんなことあると思うんですけど、『ぷよぷよ』の昔から続いているからこそのよさを生かして、楽しく育ててあげてください。

細山田 『ぷよぷよ』の根底にあるおもしろさは、コンパイルさんのころからずっと引き継がれています。そのうえで、ファンの皆さんの声を聞いてどんどんカスタマイズしていっています。じつは初めて『ぷよぷよ』に関わったときは、一回作ったら僕は終わりかな、と勝手に思っていたのですけれど、気がついたら10年経っていました。セガの中で、同じタイミングで25周年を迎える『ソニック』といっしょに、50年、100年と、今後も走り続けられたらなと思います。

 たしかに、どっちかが倒れちゃったら悲しいですからね。

細山田 そうですね、どっちもがんばらないといけない。そこは熱いファンがいるので、保っていけると思います。

 50周年は生きてるかなぁ。25年後ですもんね。

細山田 さっき話に出ていた2024年はけっこう近いですよ! 僕が担当しているかはわかりませんが(笑)。でも、皆さんに楽しいと思ってもらえるものを作り続ければ、きっとつぎの周年も迎えられると思います。今後とも「ぷよぷよ」をよろしくお願いします。

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中裕司 とは
 株式会社プロペ代表取締役社長。1984年に株式会社セガに入社し、プログラマ、プロデューサーとして活躍。2006年にセガのゲームクリエイター独立支援プログラムを受けて株式会社プロペを設立した。
 代表作に『ソニック・ザ・ヘッジホッグ』シリーズ、『ファンタシースター』シリーズなどの家庭用ゲームのほか、アーケードゲームの『サンバDEアミーゴ』、スマートフォン用ソーシャルRPGの『バディモンスター』などを手掛ける。最新作は、ニンテンドー3DSのすれちがい機能を使った『すれちがいフィッシング』。
 社名である“PROPE(プロペ)”とは、ラテン語で「すぐそばに/近い未来に」という意味。「もっと身近な、近い未来のエンターテインメントの創造」を目指し、現在もゲーム開発中。