オールドスクール魂が暗闇で燃える、タイムアタック系FPS

 メルボルンのゲームスタジオSorathのFPS『Devil Daggers』を紹介する。本作のプラットフォームはPCで、Steamで配信中。価格は498円。

 『Devil Daggers』を短く説明すると、「敵に触れられたら一発で死亡というシビアな条件で、円形の舞台の上で周囲から押し寄せる大量のクリーチャーをひたすら倒し、できるだけ長く生き残る」というタイムアタック形式のFPS。

 本当にそれだけの超シンプルな内容で、キャンペーンモードもマルチプレイ対戦もないのだが、「CD-ROMの墓場から90年代中盤の初期FPSを掘り返し、オカルティックな儀式とともに煮詰めて固めた悪魔的結晶」とでも言うべきデスいテイストと高い中毒性が強烈。荒々しいローポリゴンをワシャワシャと動かしながら迫る暗黒クリーチャーの大群をハイテンポに血祭りにあげていくという乾いた内容、悪魔が悲鳴をあげたかのようなノイズが突き刺さるSE&BGMには、オールドスクールなFPSプレイヤーにはどこか懐かしい禍々しさが漂っている。

『Devil Daggers』「あと一回だけ……」がやめられない、中毒必至な悪魔的タイムアタックFPS_01
▲粗いテクスチャーにエッジがガビガビのポリゴンモデル。こんな悪魔たちがヌルヌルと迫ってくるのを倒し続けるという、地獄からやってきたかのようなFPSです。

 ゲームを開始すると、まずはプレイヤーが魔法の“ダガー”を拾うオープニングが始まり、目の前のダガーをゲットすると、後はもうひたすらダガーの魔力で弾を撃って悪魔の軍団を倒していく本編がチュートリアルもなしでスタートする(リスタート時はオープニングは省略)。
 ダガーには2種類のショット攻撃があり、単発撃ちではショットガン風(一気に複数発を撃てるが少しバラける)、長押しではマシンガンのように連射で弾を撒き続けることができる。リロードや残弾などの概念はないので後者の方が便利そうだが、敵を倒すのに手間取ると囲まれて死ぬという状況下で、接近戦では敵の弱点に一気に弾を叩き込んで倒せる単発撃ちの方が効率が良くなるのがポイントだ。

 また、ロケットジャンプ(ジャンプに合わせて足元に単発ショットを撃つことでハイジャンプする)やバニーホップ(着地の直前にジャンプを入力して加速しながら跳ねまわる)といったオールドスクールな移動テクも利用可能。敵が弾を撃たない分、こちらを追尾してくる敵が多いので、囲まれそうになった時に切り抜けたり、早めに倒しておきたい敵を撃ち漏らした際に足を止めずに追撃するといったシチュエーションで役立つ(ただし勢い余って舞台から落下しても死亡)。

 そのほか、敵が落す赤いクリスタルを集めてダガーを強化したり、長時間生存すると(シューティングゲームのボム的な)ホーミングショットもアンロックされる。これらのテクを駆使して逃げ回りながら敵を倒し、1秒でも長い生存を目指すのが本作の基本で、コレがシンプルながら中毒性が高く、ついリトライを繰り返してしまう。

『Devil Daggers』「あと一回だけ……」がやめられない、中毒必至な悪魔的タイムアタックFPS_02
▲敵は全部で13種類。クモ型のクリーチャーや、ムカデのようなヤツなどいろいろ出てくるのだが、一定秒数生き残らないと出てこないので、最初はなかなか会えない。ムカデももちろんエッジがガビガビで気持ち悪い!

 一撃死が基本なためとにかくハードコアな内容で、最初は1分もたない人が大半だと思う。そこでタイム向上に役立つのがリプレイ機能。本作にはグローバルランキングがあり、全プレイヤーの各最長プレイの生存時間とそのリプレイを閲覧可能だ。
 グローバルランキングで開発者の“m4ttbush”ことMatt Bush氏が大人気なく(!?)1位を奪ったり、DraQuというプレイヤーがそれを上回る500秒超えのタイムをついに叩き出したり、熱い戦いを繰り広げているトッププレイヤーたちの戦法を見ていけば、「あと1秒」を伸ばすためのヒントになる動きがそこにきっとあるだろう(ちなみにこのふたりのリプレイでは、開発者として仕様をわかっているが故にトリッキーに立ちまわるm4ttbush氏よりも、オーソドックスかつ丁寧に敵を倒していくDraQu氏のプレイの方が最初は参考になるはず)。

『Devil Daggers』「あと一回だけ……」がやめられない、中毒必至な悪魔的タイムアタックFPS_03
▲コイツがラスボス的なクリーチャーらしいのだが、会えた時点で世界ランク上位間違いナシという悪魔的存在。上位プレイヤーのリプレイでその姿を拝むことができる。