奇想天外なVRコンテンツ、最新VR-HMDが一堂に会する
2016年2月20日~2月21日、VR-HMD(VR体験用ヘッドマウントディスプレイ)を使用したコンテンツを体験できる無料イベント“OcuFes Final~次回からJapan VR Festになります~”が、ベルサール秋葉原(東京都中央区)にて開催された。2日間で出展された、合計40以上のブースの中から、記者が注目したコンテンツを紹介。
VRコンテンツ開発者が自身の作品を披露する機会として、2013年から日本各地で開催されてきたOcuFes。昨年8月には、ゲーミング・ハイエンドPC ブランドG-Tune、大手PCパーツメーカーAMD(日本AMD)の協賛のもと、過去最大規模のイベント“G-Tune × AMD OcuFes 2015夏”を開催したが、今回は、NPO法人オキュフェスが“OcuFes”の名称で行う、最後のVRイベント。Oculus Riftの製品版をはじめ、各社からVR-HMDが一斉にリリースされる“VR元年”に際し、「“VR=ほぼ現実”を取り扱ったものなら、HMDでもロボットでもドローンでもなんでも出展できる、VR版のコミケのような場所」(※オキュフェス公式サイトより引用)としての性質をより強めるための名称変更……とのことだ。
出展コンテンツピックアップ
▼バカップルバスターズ(吉田薫人)
魔法学校の先生となって、授業中にいちゃつく生徒を魔法(目からビーム)で撃退する、密室型3Dシューティングゲーム。Oculus Riftのヘッドトラッキングで狙いを定めて、コントローラーのボタンで攻撃する。まじめに授業を受けている生徒を攻撃するとペナルティ……など、ゲーム性が思いのほか(?)しっかりしている。制作したのは、デジタルハリウッド大学大学院の学生。授業の課題で取り組んだVRコンテンツ開発経験を活かし、約1ヵ月半で制作したとのこと。
▼ハウジングVR(株式会社ファイン)
建築パース制作に特化したデジタルデータを提供するメーカーが、新たな試みとして制作中のシステム。任意に設定した添景素材が配置された部屋の居心地を、Oculus Riftによって疑似体験できる。ちなみ、ハウジングVRは、同社のエンジニアがひとりで開発しているとのこと。将来的には、Leap Motionによる操作への対応や、添景素材をリアルタイムで変更できるようになるというから、楽しみだ。
▼けのじばくだん(けのじ&れお)
プログラミングが趣味の現役大学生・けのじ氏は、過去にかみながれお氏とゲームジャムで制作したゲームをブラッシュアップして出展。Oculus Riftを装着したプレイヤーが、音声でのやりとりができるオペレーター役と協力して、目の前の時限爆弾を解除する……という内容で、出展時には ブーススタッフがオペレーター役を務めていた。暗示ゴーグルっぽくフィルタリングされた外部カメラ映像にテキスト表示を合成させたAR(拡張現 実)的な画面演出と、電子工作キットで作られた時限爆弾(レゴ製ケースの外装組み立ては、れお氏が担当)のインターフェイスを直接操作するゲーム 性が、目を惹いた。けのじ氏は今後も、物質的ギミックを直接操作し、複数人のプレイヤーが協力しながらひとつの目的を達成するタイプのVRゲームを制作していくとのこと。
▼アニュビスの仮面(下嶋健司)
2016年3月1日にギフトテンインダストリから発売予定の、VRを使用した新感覚ボードゲーム(共同開発・ハコスコ)。アニュビスの仮面(自前のスマホを装着して利用する、段ボール製VRゴークル)で一定時間覗ける景色をヒントに宝の地図を完成させる、2~7人用の協力型ゲーム。限定的な情報をいかにメンバーに伝え、迷路の構造を推理できるかがカギとなる。グループや、初対面の来場者たちでひっきりなしにプレイされ、おおいに盛り上がっていた。
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▼ぱられるダイバー(xtone)
インターネット関連のコンテンツおよびシステムの企画・製作を請け負うエクストーンの、オリジナルコンテンツ。ユニティちゃんや鷺宮カノなど、あらかじめ収録された3Dキャラクターの姿を360度好きな角度から自由自在に観賞できるアプリで、スマホ用VRヘッドセットの立体視モードにも対応している。ゲームモードでは、VRヘッドセットをつけたまま、3Dキャラクターと一緒に縄跳び=タイミングよくジャンプし続ける遊びも可能。開発者いわく「VRは物理現象です!」とのこと。
▼VR脱出ゲーム「デスノート」(ファンタジスタ)
テレビアニメ『アイカツ!』の3DCG制作などを手がける新潟県の映像制作会社は、昨年12月開催の“ジャンプフェスタ”で公開した、漫画『DEATH NOTE』のVR脱出ゲーム(Gear VR用)を出展。人気作品の世界に没入できるとのことで、ブースにはつねに長蛇の列ができていた。
▼HTC Viveデモンストレーション(AMD)
台湾HTCがValve社と提携して開発したVR-HMD“HTC Vive”。ふたつの外部モーショントラッキングセンサーを使用することで、3メートル四方の空間を使ったハイエンドなVR体験が可能……とのことで、事前予約制のデモンストレーション体験は、またたく間に定員に達していた(展示時は2メートル四方のスペースで行っていた)。
記者も実際に体験したが、空間内を歩き、しゃがんだりしながら、両手持ちのコントローラーを介して世界内の物体に干渉するリアリティーは、ただただ圧巻。手元から出した風船を打ち上げたり両手ではさんだり、空間内のPCを起動・操作したりといったことがごく自然にできることに、未来のVRエンターテインメントのあり方を実感させられた。
ちなみに、HTC Viveの販売予定価格は799ドル。今回出展されたデモンストレーションをストレスなく起動させるには、ツクモのBTOゲーミングPC“G-GEAR”の20万円クラスの性能が必要とのこと。
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