闘いの時がついに来た!

 カプコンから発売されたプレイステーション4・PC用ソフト『ストリートファイターV』のプレイインプレッションを、年間100本以上のゲームをプレイするライターの浅葉たいががお届けする。


 ついに超大型格闘ゲーム・『ストリートファイターV』が発売!と、いうことで、格闘ゲームコレクターの浅葉たいががインプレッション記事を書かせていただきます。アーケードスティックとゲームモニターを新調し、ベータテストのたびにひたすらプレイステーション4前に張り付いて、どのキャラクターを使うか悩みまくり、かりんか、ケンか、ラシードかというところまで絞って、発売日を迎えてしまいました。後半のベータテストは、これだけ多くのキャラクターを遊べて大丈夫なのかと心配するくらい豪華なものでしたが、そこで得たプレイフィールと、ひと足先に少しだけ触ることができた製品版の触り心地を合わせて紹介させていただきますね。

『ストリートファイターV』プレイインプレッション――すべては“闘い”のために研ぎ澄まされた対戦格闘ゲーム_03
『ストリートファイターV』プレイインプレッション――すべては“闘い”のために研ぎ澄まされた対戦格闘ゲーム_01
『ストリートファイター』シリーズ最新作となる本作には、リュウやケン、春麗といったおなじみのキャラクターに加えて、ラシードやファンといった完全新規のキャラクターも。多彩なバトルスタイルをぶつけ合うのだ。

対戦のための“すべて”が詰まっている

 いきなりですが、本作は“対戦”という部分にトコトンこだわった作品です。ストーリーモードなどについてももちろん語りたいことはたくさんあるのですが、本作起動時に始まるチュートリアルモードや、上達をサポートするために作られたゲームモードや機能などを見ていると、“対戦”がいちばん力の入った部分であり、見どころであるのはまず間違いありません。
 そして、対戦というと、まず最初に気になるのはオンライン対戦のレスポンスです。発売前に行われるレビューなどでは、検証できる環境がないこともあり、あまり評価軸として盛り込まれない部分ですが、本作については、発売前に何度かベータテストが行われたこともあり、オンライン対戦の出来栄えを何度か確認できました。前半のベータテストでは、混雑からか、サーバーにつながりにくかったのですが、後半のベータテストでは、驚くほど快適に対戦を楽しむことができました。ベータテストを遊んだ限りでは、有線接続でゲーミング環境を整えているプレイヤーどうしであれば、遅延を感じることはまずないと思います。
 また、ベータテスト中、国外のプレイヤーともマッチングする機会が何度もあったのですが、アジア圏の一部の国に関しては、日本のプレイヤーと対戦しているのとほぼ同じくらい快適に対戦ができたのも印象的でした。前作『ウルトラストリートファイターIV』のオンライン対戦もかなりクオリティーの高いものでしたが、本作はさらに進化しているといって間違いないでしょう。

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オンライン対戦は驚くほど快適です。筆者の環境は、表示遅延の少ないゲーミングディスプレイと、有線接続のプレイステーション4ですが、トレーニングモードの感覚そのままに遊ぶことができました。

 バトルのおもしろさを支えるのは、本作ならではのVシステムと呼ばれるシステム群です。試合に変化をつけるVスキル、ガード状態からの切り返しを狙えるVリバーサル、一発逆転の可能性を持つ強力なVスキルといった、3つのVシステムが試合にメリハリを出してくれます。Vゲージはダメージを受けるか、Vスキルを“成功”させることで増加するのですが、このVスキルについては、対戦相手によって使いどころが異なるため、効率よくVゲージを溜める戦術が試合によって変わってくるのです。この試合の組み合わせによって、Vシステムを絡めた攻防がガラリと変わる仕組みは、相手によってさまざまな戦いを体験できるという魅力につながっています。

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画面下部の赤い”Vゲージ”を全消費することで繰り出せるVトリガーは、試合をひっくり返すほど強力な性能を持つものばかり。溜まった瞬間から、試合の緊張感が高まる。
一部の技でカウンターヒットをとると、大ダメージを狙える“クラッシュカウンター”システムも本作ならではの要素。成功時は、Vゲージも増加するのだ。

 また、今回レビューを書くにあたって、製品版のトレーニングモードのほうも触らせてもらったのですが、こちらの出来栄えもさすが『ストリートファイター』と納得できる仕上がりになっています。防御の練習に役立つレコーディング機能や、各種ゲージの調整機能を活かしたシステムまわりの反復練習など、格闘ゲーマーから見て、過不足ない機能が揃っています。CPUに動きを覚えさせて、ランダム再生する機能ももちろんあるので、筆者も発売日には、本作の肝となりそうな投げ抜けの練習に励みたいと思います。

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CPUのガードや受け身をランダムに設定すれば、実戦的な練習がはかどります。

 トレーニングモード中のリスタートなどは、“ショートカット”機能を使うことで、より快適に実行することができます。このショートカット機能には、バトルでは使わないアナログキーやボタンに”位置を決めてリスタート”などいろいろなショートカットを割り当てることができるんです。アナログスティックにショートカットを割り当てるとたいへん便利なのですが、操作デバイスがアーケードスティックの場合は、機種によってアナログキーやタッチパネル機能の有無が異なるので、ショートカット機能を使いこなしたい場合は、スティック選びまでこだわるといいかもしれませんね。

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ショートカット機能を使えば、リスタートの位置なども指定できるのだ。

ストーリーモードは今後の展開にも期待!

 『ストリートファイターIV』からつながるストーリーも本作の見どころのひとつです。発売時に収録されているストーリーモードについては、キャラクターごとのストーリーを楽しむことができます。ナッシュが戦いに復帰することになった経緯や、リュウの殺意の波動についての物語など、気になる要素が満載です。C.ヴァイパーやユーニーなど、過去作に登場したキャラクターたちの姿もチラリと出てきます。
 また、このストーリーモードは、何枚かのイラストと合間にあるバトルで構成されており、作りとしてはシンプルなものになっていますが、今後ゲームの追加アップデートで“ゼネラルストーリーモード”が解放されると発表されています。こちらは、レンダリングされたムービーで描かれるシーンもあるとのことなので、表現としても非常に楽しみですね。
 少し話は飛んでしまうのですが、表現のほうでは、筆者は実写映画として発表されている『ストリートファイター リザレクション』も楽しみにしています。『ストリートファイター 暗殺拳』もシリーズのファンとして、楽しく鑑賞することができました。リュウとケンの師匠である“剛拳”の立ち位置や、リュウが長年苦しめられる“殺意の波動”の解釈、波動拳、昇龍拳、竜巻旋風脚といった必殺技の再現などなど、随所から制作側の“わかっている”感が伝わってきて、見ていて幸せな気分になりました。まだ見ていないという方はぜひ、『ストリートファイター』仲間と観賞してみてください。役者さんたちが真剣にバトルしていく中、実写表現の必殺技が飛んできて、思わず笑ってしまうかもしれません(笑)。『ストリートファイター リザレクション』でもこうした方向性の表現に期待したいですね。

※【動画追加】“カプコンプロツアー2016”の開催が発表、賞金は50万ドルで種目は『ストリートファイターV』 さらに映画作品『ストリートファイター リザレクション』の制作も発表

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ストーリーモード中に登場するコスチュームも、バトル中に使用することが可能だ。
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ストーリーモードには、物語に深く関わってきそうな新たな人物たちも登場する。筆者は豪鬼が大好きなので、一刻も早くストーリーモードに、いや、バトルキャラクターとして追加してほしいです(笑)。