個性的な新規IP(知的財産)に挑戦し続ける……日本一ソフトウェア 代表取締役社長・新川宗平氏インタビュー【ゲームメーカー新時代戦略】

ゲームメーカーの舵取りを担うキーマンに、新時代の戦略を聞くシリーズ企画。今回は、『htoL#NiQ -ホタルノニッキ-』や『夜廻』といった社内公募から生まれた個性的な新規IPをヒットさせ、2016年もさらなる新規IP創出を追い求める日本一ソフトウェアで制作指揮を執る代表取締役社長・新川宗平氏とプロデューサーの菅沼元氏に話を聞いた。

●スタッフの高い熱量を武器に、新規IP(知的財産)に挑戦し続ける!

 日本一ソフトウェアと言えば、『魔界戦記ディスガイア』シリーズに代表されるやり込み要素満載のシミュレーションRPGや、職人芸とも言えるこだわりのドット絵を思い浮かべる人も多いだろう。また、同社は他メーカーに先駆けて、昨年発売された『魔界戦記ディスガイア5』から、据え置きゲーム機のプラットフォームを本格的にプレイステーション4に移行。一方では『htoL#NiQ -ホタルノニッキ-』や『夜廻』といった社内公募から生まれた新規IPを続けてヒットさせた。2016年発売タイトルの7割は、新たに発表された『ロゼと黄昏の古城』のように、新規IPにするという。どん欲なまでに新規IPを追い求める姿勢について、代表取締役社長・新川宗平氏とプロデューサーの菅沼元氏に聞いた。
※この記事は、週刊ファミ通2月4日号(2016年1月21日発売)に掲載されたものと同内容です。
【2016年2月1日 16:30】
ルフランの地下迷宮と魔女ノ旅団』、『ロゼと黄昏の古城』の発売日ですが、上記ファミ通掲載時とは異なっております。ここに修正のうえ、新しい発売日に訂正させていただきます。
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●PS4へのシフトを加速した2015年の日本一ソフトウェア

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▲日本一ソフトウェア
代表取締役社長
新川宗平氏

――2015年は日本一ソフトウェアにとってどんな年だったか、総括をお願いできますか。
新川宗平氏(以下、新川) 前半は3月に発売した『魔界戦記ディスガイア5』(以下、『ディスガイア5』)に集中しました。発売後も、夏ごろまで毎月、ダウンロードコンテンツの配信などを行っていました。また、『ディスガイア5』は海外展開も北米、欧州、日本以外のアジア地域でリリースさせていただきました。9月には、『魔女と百騎兵 Revival』も発売できましたし、据え置きゲーム機についてはプレイステーション4へのシフトに力を入れた年でしたね。

――『ディスガイア5』はPS4専用で発売したわけですが、手応えはいかがでしたか?
新川 正直に言うと、日本国内だけのセールスはきびしかったです。ただ北米と欧州、アジア地域においては、いいセールスを上げておりますので、現在巻き返しています(笑)。PS3との普及台数の違いは承知のうえで“PS4でやるべきだ”と判断したわけですが、それは将来を見据えてのことです。マルチプラットフォーム展開だと、下位ハードのスペックに合わせる必要が出てきます。我々のような小さいメーカーは、下位ハードでずっとゲームを作るよりは、早いタイミングで最新のゲーム機に向けて全力を出し切るほうが、2~3年後につながっていくのではないかと思います。

――前述の『魔女と百騎兵 Revival』も発売し、徐々にPS4へ移行している印象があります。
新川 作ったタイトルは日本国内だけではなく、海外でも売っていきたいと思っています。世界で売れているプラットフォームとなると、PS4は外せません。同様に、日本でまだまだ元気なPS Vitaも外せないハードですし、今後、PS4とPS Vitaというマルチタイトルも視野に入れ、展開を考えています。

――2015年後半には、新規IPの『夜廻』が発売され、スマッシュヒットとなりました。これは想定通りだったのでしょうか?
新川 「想定通りです」と言えばカッコイイのでしょうが、まったく予想していませんでした。「まったく」と言ったら、開発スタッフに怒られますね(笑)。発表時の反響も大きく、想定本数を上回ればいいと思っていたところ、実際は想定本数の倍以上売れています。

――ヒットの要因はどこにあると?
新川 正直に言うと、わからない部分もあります。それはいい意味で世代交代が始まっているのかもしれません。新しい世代のスタッフが開発したものがゲームファンの方々に受け入れられているというのは、弊社にとっても有益なことです。それから、“日本一ソフトウェアといえば○○”といういままでのイメージとは違った路線を打ち出すことができ、さらに受け入れられたことも大きいですね。 “ゲームは作品ではなく商品である”という弊社の創業理念に対して、『夜廻』や2014年発売の『htoL#NiQ -ホタルノニッキ-』(以下、『ホタル』)などは、非常に作品性の強い商品です。インディーゲームにも近い、作り手のこだわりがそのままゲームに反映されているタイトルがヒットしたのは、お客様が職人の世界観に関心を持っていらっしゃるということだろうな、と感じています。

――おっしゃる通り、『夜廻』や『ホタル』も、作り手の熱量が高いタイトルだと思いました。
新川 弊社は岐阜県にありますが、ゲーム業界では孤立した島国のようなものです。そこにわざわざ入りたいと思う人は、ふつうとは違う熱量を持っているはずです(笑)。それはファミ通さんにも取材してもらった“日本一企画祭”にも通じています。『ホタル』も『夜廻』もその中から選ばれた企画ですが、いい形で世の中に出せたのではないかと思っています。



TOPIC(1)
2015年の日本一ソフトウェアはどうだった?


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▲『夜廻』(PS Vita/2015年10月29日発売)

 2015年に日本一ソフトウェアから発売されたタイトルは、ベスト版を含めると9本。同社発表によると、3月に発売された主力シリーズの最新作『魔界戦記ディスガイア5』は、国内で約60000本、国外累計では約11.2万本が出荷された。また、特筆すべきは10月に発売された新規IPの『夜廻』。約4.8万本を出荷し、『ディスガイア5』に迫るスマッシュヒットとなった。11月発売の『クリミナルガールズ2』も、約2.9万本出荷と堅実な出荷本数となった。主力シリーズと新規IPが、つぎにつながる結果を残した2015年と言えるだろう。



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