『ダライアスバースト クロニクルセイバーズ』発売記念座談会――開発スタッフがシリーズを振り返る

角川ゲームスより2016年1月14日に発売された『ダライアスバースト クロニクルセイバーズ』の開発スタッフ座談会をお届け。

●発売記念座談会!

 角川ゲームスより2016年1月14日に発売されたPS Vita、プレイステーション4、PC用ソフト『ダライアスバースト クロニクルセイバーズ』。今回は、本作の発売を記念して開発スタッフによる座談会を実施。その模様をお届けする。


■『ダライアスバースト クロニクルセイバーズ』とは?

 本作は、1986年にタイトーより発売された業務用シューティングゲーム『ダライアス』シリーズの最新作。2010年に稼動開始した『ダライアスバースト アナザークロニクル』のモードを基本に、新たなモード、ステージが追加される家庭用版。PS Vita版のみ、公式設定資料集とオリジナルアレンジアルバムCDを同梱したショップ限定版が発売される。


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■座談会参加者

柏木准一氏
ピラミッド 代表取締役副社長
ダライアスバースト』シリーズでは、ディレクション、レベルデザイン、エフェクトを担当。代表作は、『カオスシード』、『ダライアスバーストシリーズ』(文中は柏木)。

ジェームス・ラグ氏
ピラミッド
ダライアスバースト』シリーズでは、マネージメントと翻訳監修を担当。代表作は『パタポン3』、『ダライアスバースト』シリーズ(文中はジェームス)。

針谷 真氏
タイトー
ダライアスバースト アナザークロニクル』プロデューサー。『ダライアスバースト クロニクルセイバーズ』ディレクター(文中は針谷)。

石川勝久氏
タイトー
20年以上タイトーでゲームの効果音を作り続けている“職人”。ZUNTATAのスポークスマンとしてWEBやSNS の“中の人”としても活躍中。代表作は、『メタルブラック』、『ダライアス外伝』、『サイキックフォース』、『ダライアスバースト』シリーズ(文中は石川)。

土屋昇平氏
タイトー
ダライアスバースト』シリーズのメインコンポーザー。The world of spirit、組曲 光導、カンナンシンクなど、 毎回意欲的な作品を制作。近年はメーカーの枠を越えて楽曲を提供することも多い。代表作は、『ダライアスバースト』シリーズ、『グルーヴコースター』シリーズ(文中は土屋)。


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土屋昇平氏(左)
石川勝久氏(左から2番目)
針谷真氏(中央)
柏木准一氏(右から2番目)
ジェームス ラグ氏(右)

――1986年に初代『ダライアス』が登場し、2016年で30周年を迎えます。『ダライアスII』のエンディングで、来年は『ダライアスIII』と言いながらもう27年ですね(笑)。

針谷 「いつ来年がやってくるんだ」とよく言われますね(笑)。

――『ダライアスバースト』シリーズもかなり長いですよね?

針谷 そうですね。PSP版『ダライアスバースト』が2009年発売なので、もう6~7年経ちます。

石川 もしかしたら『ダライアス』のイチシリーズとしてはいちばん長いタイトルかもしれません。

――長年『ダライアス』シリーズに関わってきていかがですか?

石川 僕がシリーズに関わったのは『ダライアス外伝』からなので、このメンバーの中ではいちばん長いかもしれません。学生時代に初代『ダライアス』、『ダライアスII』を体験してタイトーに入社してサウンドを担当。そしてアーケード版『ダライアスバースト アナザークロニクル』(以下、『ダライアスバーストAC』)でみずからの手でボディソニック(初代『ダライアス』の筐体に取り入れられていたリスニングシステム。音に反応して筐体が振動する)を再現することになったのは感慨深いものがありました。

針谷 ボディソニックは当時の資料がしっかりと残っていなかったので、再現するのにかなり苦労しましたよね?

石川 そうですね。初代『ダライアス』のスタッフは社内に残っていませんし、詳細な資料も残っていませんでしたので、当時のスタッフと連絡を取りながらなんとか再現したんですよ。

針谷 そもそも『ダライアスバーストAC』で専用筐体(32:9比率の大型モニターを搭載した筐体。ボディソニックシートやヘッドホンジャックが採用されており、1筐体で4人同時プレイが可能)を作ることが決まったのはかなりギリギリのタイミングだったので、トライ&エラーの時間が限られていましたよね。


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初代『ダライアス』の専用筐体。

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『ダライアスバーストアナザークロニクル』の専用筐体。

石川 最終チェックが地獄だったのはいまでも覚えていますよ。アーケードゲームのサウンドチェックは音量をかなり大きくしないといけないんです。そういった事情があるので人気のない場所じゃないとできなくて、階段の踊り場みたいな所でやりましたね。そこは真夏だから気温が40度以上あるんですよ。そんなクソ暑い場所で朝から晩までゲームをやりながらサウンドチェックしなければならないという(笑)。

土屋 あれは死ぬかと思いましたね(笑)。『ダライアスバーストAC』の筐体は、一般的なアーケード筐体よりも圧倒的に音量を出せる仕様になっているので、フルボリュームにするともの凄いんですよ。

石川 コクピットのような作りの筐体だから、音がこもるんだよね。だから余計にボリュームがすごく聞こえる(笑)。

――4人掛け用ですから、初代『ダライアス』の専用筐体より大きいですよね?

針谷 そうなんです。僕は中学生のころにゲームセンターで初代の筐体に出会って「大きいなあ」と衝撃を受けたんですが、じつは『ダライアスバーストAC』に比べると小さいんですよね。

柏木 まあでもゲームセンターで『ダライアス』に魅せられてこの業界に入った人間としては、『ダライアス』シリーズ作品の専用筐体を作れる機会に出会えたのは本当に幸せでした。このご時世にシューティングゲームを作れること自体がないですからね。

土屋 『ダライアスバーストAC』をやったら、ゲームのサウンドクリエーターを始めとした業界の先輩方から「ありがとう」という言葉をたくさんいただいたんですよ。上の世代の先輩方がいかにシューティングゲームが好きかということが身に染みました。『ダライアスバースト』はそういった意味でも、とても稀有な経験ができたプロジェクトでした。

ジェームス うちの若いスタッフの場合、シューティングと言えばFPSを連想しちゃうんですよ。「シューティングはFPSだけじゃないんだよ!」と(笑)。海外はゲームセンターがほぼありませんから、こういった専用筐体は雑誌などでしか見たことがないんですよね。

――確かに海外はゲームセンター自体がありませんもんね。

ジェームス 当時のイギリスでは、ロンドンにあるような大きいゲームセンターにしかなかったので、数台しか稼動していなかったでしょう。それを遊ぶために地方から6時間くらいかけて行く人がいたようです(笑)。だからPCの海外版『ダライアスCS』が発売されたときは、「これで6時間もかけてゲームセンターに行かなくて済む」というような反響がありました(笑)。

――そうか、PCの海外版は昨年(2015年12月)に発売されているんでしたね。

ジェームス Steamで配信しています。海外でシューティングといえば“弾幕系”(敵が低速の弾を大量に放ち、それを避ける爽快感を重視したシューティングゲーム)が主流なのですが、本作を出すことで弾幕以外のシューティングゲームもまだ生きていることを示せたのでうれしいですね。

――それにしても初代『ダライアス』のときに、筐体をつなげて横長にしてしまうという発想はどこから出てきたんですかね?

針谷 確かそういった技術がさきにあったはずですね。その技術を活かしたゲームを作れないか? ということで開発が始まったと聞いたことがあります。

土屋 多画面の発想も凄いですけど、魚を題材にするという発想もなかなかですよね。

針谷 確か横スクロールで見栄えのするデザインということで魚になったんじゃないかな? いろいろな動物をメカ化して試したらしいですけど、魚がいちばんマッチしたと先輩方から聞いたことがあります。魚は横長だし、比較的アニメーションパターンも少なく済むといった理由があったはずです。

――初代『ダライアス』のキングフォスル(シーラカンスをモチーフにした、最初のゾーンのボスキャラクター)のインパクトはすごかったですよ。

柏木 あの衝撃はすごかったですね。巨大なキングフォスルを見て遊んでみたいと思いましたもん。それでプレイ待ちがすごかったじゃないですか。コインを並べて(笑)(当時のゲームセンターでは、順番待ちの人が筐体にお金を並べていた)。

ジェームス 海外からすると魚には違和感ありませんでしたね。日本のゲームは欧州の感覚からすると変わったものが多いので、「また日本的なへんなものだな」と思っていました。まさか20年後に自分が開発に関わることになるとは(笑)。

石川 『ダライアスバーストAC』のザコが大量に出現する“魚群”は発明だと思いますよ。弾ではないけど、弾幕に近い圧倒感を演出していたと思います。やっつけると気持ちいいですし。

柏木 当初の『ダライアスAC』はPSP版をリファインしたものだったんですよ。ですが、ロケテストの直前ぐらいにあんまりおもしろくないという指摘をされて、それなら専用筐体の大画面を活かしたものを入れようということで、魚群を追加したんです。

――アーケード版のスペックだからできたんですね。

柏木 はい。試しで入れてみたら問題なく動いたんです。4人でアルファバーストを出すと、もしかしたら処理落ちする可能性もありますけど(笑)。

――それだけたいへんな処理を行うということは、『ダライアスバーストCS』のPS Vita版は大丈夫なのでしょうか?

柏木 調子に乗ってたくさん出現させていたら、結構しんどかったんですよ。プログラマーが涙目になっていました。でも、カウンターバーストを決めた瞬間に気持ちよく処理落ちするんですよ、処理落ちを修正したバージョンも作ったのですが、比較していまの処理負荷具合でちょうど気持ちいい処理落ちになったので、ワザと残しました。この気持ちよさは携帯機ならではかもしれないですね。

――なるほど。PS Vita版は据え置き機に負けず劣らず、画面がキレイですよね。

柏木 そうなんですよ。ACモードでもきちんと弾も見えて、しっかり遊べるはずです。


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キングフォスル(『ダライアスCS』)