“ブラ”という言葉が浮かぶが……
2015年12月某日。某所で、スクウェア・エニックスの新作CDのレコーディングが行われると聞いて、ファミ通.comの取材班は潜入取材を試みた。ちなみに、いきなりの余談だが、『BRA★BRA FINAL FANTASY / Brass de Bravo』というCDはご存じだろうか。2015年3月4日に『ファイナルファンタジー』シリーズ初の公式吹奏楽アルバムとして発売されたCDで、CDの発売後には全国ツアーも行われ、観客を交えた「マンボ de チョコボ」の演奏などが話題となっていた。……というのが、半年以上前の話であり、こういった前知識を踏まえたうえで、寛大な気持ちで本記事を読んでいただければ幸いだ。あくまで余談だが。
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大きなホールで行われていたレコーディングでは、大勢のスタッフが慌ただしく動いており、かなりの規模のレコーディングになっていることを予感させる。楽器を見る限りは、金管楽器、木管楽器、そしてピアノ、打楽器などが編成されているようだ。譜面を見ながら真剣に音に耳を傾けているのは、『ファイナルファンタジー』シリーズ楽曲の父・植松伸夫氏。会話の一端を聞いていると、“シエナ”、“ぶら”といった言葉が聞こえてくる。“シエナ”とは、プロの吹奏楽集団“シエナ・ウインド・オーケストラ”のことだろう。そして、シエナ・ウインド・オーケストラの演奏の前で指揮をするのは、ゲーム音楽のコンサートやレコーディングでおなじみの栗田博文氏。どこかで見たことのあるような組み合わせだが、いったい何のレコーディングをしているのだろうか。脳内に“ブラ”というキーワードが浮かぶが、これは“ブラブ”……うっ、頭が……。脳内で宇宙の法則が乱れる！
なぜだかわからないが、これ以上タイトルのことを考えると、頭が痛くなって考えられなくなってしまう。となれば、あとはそのあたりのスタッフに聞くしかない。
――そこの宣伝スタッフの方！ いまは何のレコーディングをしているんですか！
宣伝スタッフ 誰にも言ってはいけませんよ？ CDのタイトルは……“ブラ”。うっ！
“ブラ”まで言いかけた彼は、ほかのスタッフに急に連れ去られてしまった……。ちなみに、最後の“うっ！”という言葉に、マンボ的な何かを感じたのはなぜだろうか。これではラチがあかない。ここは意を決して、レコーディングを終えたばかりの植松伸夫氏に直接聞いてみよう！
――植松さん！
植松伸夫（以下、植松） ああ、ファミ通さん。お疲れ様でした。
――お疲れ様でした！ ……じゃなくて、今日のレコーディングについてお聞きしたくて。
植松 あー、言えないんだけどね。某ツアーに向けて、レコーディング中なんですよねー。
――某ツアー！
植松 そうそう。今日は「魔導士ケフカ」とかをやってね。
――「魔導士ケフカ」！ CDに収録されるんですか？
植松 入りませんけどね。
――えっ!? いやいや、収録したんですよね？
植松 あと、「シーモアバトル」とかね。早いフレーズがあるんだけど、“Distant Worlds”とかはちょっと省略している部分があるから、正式な譜面通りにアレンジして収録されるのは初めてなんじゃないかな。
――おお！ やっぱり収録されるんですね。
植松 まあ、入りませんけどね。
――“収録される”って言ったのに!?
植松 あとは、「The Man with the Machine Gun」とか、「FF I・II・III メインテーマメドレー」とか、「FFIV メインテーマ」とかね。……入りませんけど。
――どっちなんですか！
植松 スクエニの人が、「こう言って」ってさー。あと、「詳細はまもなく」だって。
……ものすごい宣伝くさい！ 何か手のひらの上で踊らされているようだが、とにかく詳細は間もなく判明するとのことなのと、これ以上悪乗りをすると読者にも怒られそうなので、おとなしく待っていよう。“某ツアー”という発言もあったし、これだけ大掛かりなプロジェクトなのだから、きっと全国ツアーなどもあるのだろう。しかし、これはいったい、何ブラファイナルファンタジーなんだ……。
※この記事はフィクションですが、一部ノンフィクションです。
