4年間の沈黙、その理由

 ついに発表となった、シリーズ最新作『SDガンダム ジージェネレーション ジェネシス』。前作『オーバーワールド』から本作まで、4年もの年月をかけた理由や、気になる新要素など、ファンが知りたかった情報を、開発のキーマンたちが語り尽くす!
※本記事は、週刊ファミ通2015年12月31日号(2015年12月17日発売)に掲載された記事と同じものです。

『SDガンダム ジージェネレーション ジェネシス』シリーズ最新作が見せる新たな“起源”とは? 開発者にインタビュー!_01
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◆プロデューサー 伊藤翔平氏(写真右)
バンダイナムコエンターテインメント所属。本作ではプロデューサーを担当。
◆ディレクター 宮城嘉樹氏(写真中)
トムクリエイト所属。初代『ジージェネ』から開発に携わる。シナリオなど担当。
◆アートディレクター 上瀧圭一郎氏
トムクリエイト所属。グラフィックを含めたバトル全体を統括している。

『ジージェネレーション』の新たな出発点となる作品へ

――『ジェネシス』は『オーバーワールド』から4年ぶりの新作となりますが、このタイミングで発表となったのはなぜなのでしょうか?
伊藤 やはりお客様からの要望が強かったのが、いちばんの理由です。PS4など新世代のハードが登場する中で、『ジージェネ』を遊びたいという声が多数寄せられました。それから、ガンダムゲームが30周年という節目だったというのも大きいですね。

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――30周年ということで、内部からの機運の高まりもあったわけですね。
伊藤 はい。ですので、そういう意味でも、ただの新作ではない、特別な作品にしなければという思いがありました。「新しいハードで遊んでもらうには、どんな作品にしたらいいのか?」、「30周年にふさわしいものにするには?」など、企画構想の部分でかなり時間を費やしましたね。

――確かに、従来の作品は、1~2年に1本のペースでしたが、今回は時間が空きましたね。
伊藤 出し惜しみしていたわけではないですよ(笑)。今回は、『ジージェネ』史上初の3プラットフォームでのマルチタイトルであり、PS4で作ることにもなったので、開発にも相当時間がかかってしまったというのが、正直なところです。

――PS3でも出していなかったのに、いきなりPS4でも作ることになったわけですし、かなりたいへんだったのでしょうね。
伊藤 グラフィック面はエンジンから作り直して、これまでとは別次元のクオリティーを実現できました。おかげで、開発現場は死屍累々でしたね(笑)。
宮城 いや、まだ絶賛開発中ですし、現在進行形で地獄絵図です(苦笑)。

――ちなみに、タイトルの“ジェネシス”にはどんな意味が込められているのですか?
伊藤 今回、新しいハードで出すことが決まったときに、タイトルも“新しい『ジージェネ』の始まり”を象徴するものにしたい、と考えたんです。そこでいろいろ考えた中で、“創世記”や“起源”といった意味を持つ“ジェネシス”という言葉がピッタリだろう、ということで、このタイトルに決めました。

――念のためにお聞きしますが、『機動戦士ガンダムSEED』のザフトが開発した、某大量破壊兵器とは関係ないですよね?
伊藤 じつは私も、そのことには気付いてはいましたが、関係はないですよ(笑)。

――ですよね(笑)。『ジェネシス』ではグラフィックを一新したということですが、具体的にどう変わったのでしょうか?

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宮城 わかりやすいところでは、頭身が少し上がっています。そのほか、モビルスーツだと“ふともも”の部分などが、SDでありながらリアルに近いものに変わっていると思います。じつは、今回は機体のモデリングをすべて新たに描き起こしているんですよ。
上瀧 各機体のアクションをよりリアルに描こうとすると、従来のモデリングでは、どうしても動かせない部分が出てくるんです。
宮城 もちろん、戦艦なども描き直していて、戦闘ではその巨大さを実感してもらえますよ。
伊藤 『ジェネシス』では、登場作品を宇宙世紀100年に絞ったことで、登場機体数自体は約650と減ってはいますが、そのぶん1体ごとのクオリティーはものすごく向上しています。
上瀧 かなり時間はかかりましたが、『ジェネシス』以降の作品につながるベースは作ることができたと思いますね。

――一から作り直したのは、本作のクオリティーはもちろん、次作以降の土台を作ることも見据えての大プロジェクトだったわけですね。ちなみに、モデリングが変わったことで、アニメーションはどのように変化しているのでしょうか?
上瀧 これまでは、腕や脚、銃などパーツごとにアニメーションさせてアクションを描いていました。それが本作では、機体全体を動かすフルモーションに変更しています。また、背景も3Dにして、これまでの作品では固定されていたカメラアングルを、動かして演出できるようにしました。これにより、ダイナミックな見せかたができるようになっています。
宮城 背景については、たとえばア・バオア・クーのような巨大な要塞の近くにいるときなど、その迫力がより感じられるようになっています。また、支援シーンも見ものですよ。

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▲背景の3D化とカメラワークの向上により、バトル中に挿入されるカットインも、まるでアニメのワンシーンのよう。

プレイ中の選択肢を増やすさまざまな新要素の搭載

――物語の描きかたについては、今回はどのような形式になるのでしょうか?
宮城 今回は、宇宙世紀の物語を追体験してもらうことをメインテーマとしています。その中で、新たな試みとして“ユニバーサルリンク”というシステムを導入しました。
伊藤  まず前提として、『ジージェネ』を遊ぶ人は、各作品を知っている人が多いんですよね。ですから、単純にエピソードを並べるだけでは、「ああ、知ってる知ってる」となって、十分に楽しめるとは言い難い面があると思うんです。そこで今回は、作品ごとに物語を追っていくほかに、別軸で、歴史的に大きな出来事があった場所にフィーチャーして、物語を楽しめるようにしました。たとえばジャブローやア・バオア・クーなどの大きな戦場で起きたさまざまな出来事を、場所という切り口を通して、より深く追体験できるわけです。

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――過去作の“ジェネレーションブレイク”のような、ステージ中の仕掛けはありますか?
宮城 今回も、特定のチャレンジ条件を満たすと、「そのとき歴史が動いた」といった感じで、ストーリーが動いて、隠された敵軍が現れる、というシステムがあります。ただジェネレーションブレイクとは違って、別の作品からの勢力が登場したりするのではなく、そのステージに関連する軍勢が登場する形です。

――そのほかに、バトルシステム上の追加要素などはあるのでしょうか。
宮城 大きなところでは“グループ攻撃”という要素を追加しています。これは、編成したチームで、一斉に攻撃を仕掛けるというものですね。また、過去のシリーズで好評いただいていたシステムを復活させるなど、踏襲すべきものは残しています。

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上瀧 本作では、昔のシリーズ作品のように、ユーザー側の選択の幅が広がるようにしたいと考えています。久しぶりの『ジージェネ』になりますので、なるべく自由に遊んでもらえるようにしています。
伊藤 詳細なシステムについては、今後も情報をお伝えしていきますので、楽しみに待っていてください。

――先ほどお話しにあったグループ攻撃は、従来の支援攻撃とは違うのですか?
宮城 グループ攻撃は、戦艦を中心に仕掛ける攻撃です。具体的には、戦艦に搭載したグループのユニット数と同数まで、敵をロックオンして攻撃することができます。たとえばロックオン上限数が5なら、5機の敵をロックオンしてもいいですし、1機を5回ロックオンして集中攻撃することもできます。

――使いこなせれば、かなり強力そうですね。
宮城 はい。今回は戦艦の役割が広がっていて、前線に出して積極的に攻撃するか、後方に待機させて運用するか、というように、戦術次第で運用の幅が広がっています。
上瀧 ちなみに、戦艦もレベルアップするようになっています。戦艦は、いままでは運搬役としての役割が強かったのですが、今回はかなり見直しました。

――ユニットを集めるのも本シリーズの醍醐味だと思いますが、そのあたりは……?
宮城 開発や設計といった根幹部分は、従来の遊びをそのまま引き継いでいます。戦艦同様、通常の機体もレベルアップしますよ。
上瀧 一方で、パイロットに補助的な効果を発揮する“スキル”をつけています。これまで“マスタースキル”という形でマスターになったキャラクターが使うことができましたが、今回はマスター、リーダー、戦艦の艦長が使えるようにして運用の幅を広げました。

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――マップについてはいかがでしょうか?
上瀧 こちらも、基本的には手を加えていませんが、もちろん、ハードに合わせて解像度はアップしていますよ。また、ジャブローに代表されるような、地上と地下などの多層マップも用意しています。

――最後に、本作を楽しみにしているファンの皆様に、メッセージをお願いします!
伊藤 たいへん長らくお待たせしましたが、ようやく『ジージェネ』の新作をお披露目することができました。今回は新たな“起源”となる作品に仕上げているので、これまでずっと遊んでくれた人も、初めて遊ぼうという人もきっと楽しんでもらえるのになっていると思いますので、ぜひ手に取ってみてください。
宮城 本作をプレイしていただければ、「やっぱり『ガンダム』っていいお話なんだなぁ」と実感していただけると思います。ファーストから『UC』まで、時代を追ってプレイするととくにそう感じるはずですので、ぜひ発売を心待ちにしていただきたいと思います。
上瀧 まだ開発は終わっていないのですが、今回は新たな挑戦に取り組んでいるところが多く、かなりの意欲作になっているので、早く皆さんにお届けしたいと思っています。続報を楽しみにしていてください!


発売は2016年の早め……!?

 2016年発売予定となっているが、実際いつごろなのだろうか? 「年末ごろになってしまうのでは、と心配される方もいると思いますが、近いうちにより具体的な時期を発表できると思います。それほどお待たせしないはずですよ」(伊藤氏)。これは楽しみ!

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SDガンダム ジージェネレーション ジェネシス
メーカー バンダイナムコエンターテインメント
対応機種 PSVPlayStation Vita / PS4プレイステーション4 / PS3プレイステーション3
発売日 2016年発売予定
価格 価格未定
ジャンル シミュレーション
備考 プロデューサー:伊藤翔平、開発:トムクリエイト