賞金総額1000万円! 世界一の座をかけた戦い

 2015年12月20日、ゲームオンが運営するPC用オンラインFPS『Alliance of Valiant Arms』(以下、『AVA』)の世界大会“AWC2015(AVA WORLD CHAMPIONSHIP 2015)”の決勝トーナメントが開催された。

 本大会には世界各国から強豪11クランが参戦。12月18、19日に実施された予選リーグを突破したRequish(日本)、F4E(日本)、clanHeat White(韓国)、ahq e-Sports Club(台湾)が、決勝トーナメントで火花を散らした。激闘の模様をリポートする。

『AVA』日本代表F4Eが台湾プロチームを撃破して世界2位に! 世界大会“AWC2015”リポート_01
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▲会場は東京タワーのふもと、STAR RISE TOWER。多くのファンが詰めかけた。
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▲実況はmejika氏(中)、解説はクランDeToNatorに所属するYamatoN氏(左)と『AVA』日本運営プロデューサーの井上洋一郎氏(右)が務めた。
▲イベントの様子はニコニコ生放送で配信された。出演は声優の遠藤ゆりかさん(左)、クランSunSister所属のCherylNome氏(中)、同じくSunSister所属のもるちゃん氏。
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▲準決勝は2セット先取、決勝は3セット先取で勝利となる。

準決勝第1試合 日本トップクランが韓国王者に挑む

 準決勝第1試合は韓国の雄・clanHeat Whiteと日本代表Requishの対決。clanHeat Whiteは世界最高峰の個人技を誇る優勝候補の一角だ。対するRequishは日本勢の中でもトップの成績で本大会出場を決めた実力派。屈指の連携力で韓国の牙城を崩せるかに注目が集まった。

 第1セットの使用マップは守りが有利な“FOX HUNTING”。Requishが最初にキルを取ったものの、clanHeat Whiteはまったく動揺を見せなかった。チームとして洗練されたRequishの動きを個人の力で受け止めるclanHeat White。まさに剛腕。繊細な作戦を腕力でねじ伏せ、7-3でclanHeat Whiteの勝利。

 第2セットはもっとも研究が進んだマップ“DUAL SIGHT”での一戦。Requishも得意としており、取って取られてのシーソーゲーム展開になった。しかし、ここでもclanHeat Whiteの個人技が光る。敵と鉢合わせても撃ち勝てるという自信があるから、初動が早く思い切りがいいのだ。チャンスを見逃さず、一気に決める。Requishの粘りはあと一歩及ばず、7-6でclanHeat Whiteが勝利し、決勝進出を決めた。

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準決勝第2試合 日本代表F4Eはプロチームの壁を突破できるか?

 準決勝第2試合で日本代表F4Eとぶつかるahq e-Sports Clubは、台湾のプロチームだ。国際大会への出場・優勝経験も豊富で、まだチームとして若いF4Eは胸を貸してもらう形となった。

 第1セットの戦場は“AIRPLAIN”。遮蔽物が少なく、撃ち合いの腕が重要なこのマップで、F4Eは3本連続ラウンド取得という最高の立ち上がりを見せた。しかし、ここで崩れないのがプロチームの厚みだ。4本目以降は1本も落とすことなく第1セットを獲得。圧倒的な研究量からはじき出されるahq e-Sports Clubの動きは、『AVA』の戦術の結晶だ。段違いの総合力を持っている。

 だが、その実力を前にしてもF4Eは怯まなかった。第2セットの“ASLAN”ではahq e-Sports Club優位に進む場面は多いものの、がむしゃらに食らいつき、何と7-6でこのセットを獲得したのだ。

 筆者はプロの強みは逆境に負けない安定感にあると考えている。だからこそ若いチームには爆発力と意外性を期待するのだが、果たして第3セットでその期待は現実となった。
 日本が苦手とする“INDIA”で、F4Eは序盤から善戦。YamatoN氏がF4Eを「乱戦で長所が光っている」と評価する一方、ahq e-Sports ClubはF4Eの突破力を警戒するあまり、動きが硬くなっているようにも見えた。7-6の接戦を制したのは、F4E。日本のアマチュアチームが、世界の一角を落としたのだ。

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決勝戦 超絶個人技を持つ強敵との戦い

 この時点で、会場を訪れた観客とニコニコ生放送の視聴者の興味はひとつに集約されていただろう。「F4Eの勢いがclanHeat Whiteに通じるか否か」だ。試合開始前の会場内は、独特の緊張感に包まれていた。

 多くの観衆が見つめる中、戦いの火ぶたが切って落とされる。第1セットのマップは“HAMMER BLOW”。守りが有利なこのマップで、F4Eは攻め側でのスタートとなったが、第3ラウンドを終えた時点で2-1の優勢。その後は3本連続でやられたものの、不利な攻めでも互角に戦えた。これはいけるんじゃないか。観客の熱量が徐々に上がっていく。
 clanHeat Whiteが本領を発揮したのは攻守交代し、攻めに回ってからだった。攻めが不利だなんて常識は関係ない。彼らには相手の守りをこじ開けるだけの個人技があるのだ。YamatoN氏に「意味わかんないですよね」と言わせるほどの異次元の技でF4Eを蹂躙。第1セットは7-2でclanHeat Whiteの勝利となった。

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 続く第2セットのマップは“CANNON”。ここではF4Eの対策の早さが光った。clanHeat Whiteの苛烈な攻めを受けきる場面が目立ったのだ。clanHeat Whiteも同等以上の対応力を見せ、mejika氏に「世界最高峰の駆け引き」と言わしめる一戦となった。だが、引き出しの数で韓国王者を上回ることはできず、7-4でclanHeat Whiteが優勝に王手をかけた。

 運命の第3セット、マップは“DUAL SIGHT”。第1セットでは2本、第2セットでは4本と、取得ラウンド数を伸ばしているだけに、F4Eの爆発に期待がかかる。
 clanHeat Whiteに油断は見られなかった。使用武器を変えるなどして揺さぶりをかけ、徹底的にF4Eの得意な戦型を阻害する。印象的だったのは、無理をものともせず強引に突っ込んでいく場面。投げやりなわけではなく、自分のテリトリーに相手を呼び込んで主導権を握っているのだと思われる。この強引さこそが、彼らの強さの源なのだろう。
 第3セットの最終的なスコアは7-2。予選リーグから通して1セットも落とすことなく、clanHeat Whiteが世界王者の座を手に入れた。

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▲王者にはゴールドの輝きがよく似合う。
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▲優勝:clanHeat White(韓国)
▲準優勝:F4E(日本)
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▲3位:Requish(日本)
▲3位:ahq e-Sports Club(台湾)
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▲5位:Taipei Assassins(台湾)
▲6位:韓国代表:Sensation(韓国)
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▲▲MVP&Best PointMan Jun選手(clanHeat White)
▲Best RifleMan 0tan選手(clanHeat White)
▲Best Sniper AfteR選手(ahq e-Sports Club)
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2016年以降の日本『AVA』界の課題

 F4Eの大金星やRequishの善戦など、見どころの多い大会だった。そんななか、もっとも目を引いたのは韓国clanHeat Whiteの圧倒的な強さだろう。

 大会終了後、井上プロデューサーに率直な感想をうかがったところ、「ずっと韓国のトップチームの後を追いかけてきて、背中くらいは見えているつもりだったんですけど、まだまだ引き出しの多さを見せつけられました」と、世界の壁の分厚さに舌を巻いた様子。「日本全体の底上げを図るためには、トッププレイヤーどうしの対決を増やしていくしかないと思います」とのことなので、2016年以降も大会は白熱しそうだ。

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 F4Eは“Fight For Enjoy”の略。日本語訳すると「楽しむために戦う」。『AVA』が対戦ゲームである以上、やはりいちばん楽しいのは勝った瞬間だろう。誰よりも『AVA』を楽しむために、日本のプレイヤーよ、もっともっと強くなれ。

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▲試合後はお互いの健闘をたたえて握手。すっきりした笑顔の奥では、奥歯がすり減るほど歯を食いしばって悔しさに耐えているのかもしれない。誰よりも勝利に飢えたプレイヤーこそが、真の王者なのだ。
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▲物販スペースでは協賛各社の最新デバイス展示や販売も行われていた。イベント特別価格が設定されていることも。
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▲Realforceシリーズのゲーミングキーボードは絶賛準備中。「2016年のそんなに遅くない時期には発売したい」とのこと。
▲物販スペースには選手の姿もちらほら。こちらは韓国代表Sensationのみなさん。