アート・ディレクターがゲームの魅力をプレゼン
エレクトロニック・アーツのプレイステーション4、Xbox One、PC用レースゲーム『ニード・フォー・スピード』の発売開始に先立ち、2015年10月26日に都内でマスコミ向けのメディアイベントが開催された。イベントではアート・ディレクターの中村雄太氏によるプレゼンが行われたほか、ゲームに登場するカスタムカーが展示された会場で、臨場感を味わいながら試遊することもできた。その模様をお届けしよう。
なお、『ニード・フォー・スピード』の発売日は、プレイステーション4版とXbox One版が2015年11月12日、PC版が2016年春となっている。
イベントではまず、同作のアート・ディレクターを担当した中村雄太氏がステージに登場。最新のトレーラー映像をスクリーンに映しながら、ゲームの概要をプレゼンテーションした。また後半では、実際にゲームを操作しながら、カスタマイズやドライブシーンの紹介のほか、開発で用いた技術解説なども語られた。
シリーズ最新作となる本作『ニード・フォー・スピード』の特徴は、“スピード・スタイル・ビルド・クルー・アウトロー”という5つのプレイモードを備え、それぞれのモードで、実在する“カリスマ”たちとともに白熱のドライブ体験が可能なことだ。
もちろんグラフィックは、よりハイレベルなフォトリアルを実現。物理ベースのライティングにより、現実世界に限りなく近い照明表現がなされることで、夜間のドライブシーンなども臨場感あふれるものとなっている。またビジュアルでは、リアルタイムなCG合成にも注目だ。“カリスマ”たちが実演する実写シーンから、カスタマイズやドライブの画面へとシームレスに移行するので、ストレスなくゲームに集中できる。たとえばカスタマイズなら、実写のガレージ背景をバックに、CGモデルのカーのパーツをいろいろと変更していくのだが、高い合成技術によって、実際のガレージで実車をチューニングしているような感覚を体験できるのだ。
そのカーカスタマイズのシステムもさらにパワーアップ。豊富なパーツにより、自車を自由自在に改造できる。もちろん外見だけでなく、ハンドリングその他、操作系統も細部までチューニングが可能だ。
ゲストの“カリスマ”とトークセッション
続いてはゲストコーナーとなり、ゲームに登場するカリスマのひとり、“アウトロー”モードの諸星伸一氏が登壇。中村氏とのトークセッションで、本人のカスタムカーやゲーム出演についてのエピソードを披露してくれた。
「自分のカスタマイズのスタイルを貫いているところが、このゲームにピッタリだと思いました」と中村氏は起用の理由をコメント。受けた諸星氏は、ゲーム出演を依頼されたことに関しては「最初はぜんぜんピンとこなかった」らしいが、実際に撮影に立ち会ってみて「ハリウッド映画並みに本格的だったので驚いた」そうだ。「ストーリー部分は、それこそ映画並みのスタッフと予算をかけて力を入れたので、ぜひ期待してください」(中村氏)。
ちなみに諸星氏の愛車であるアヴェンタドールも、追加コンテンツの配信で、諸星氏のカスタマイズ同様にチューンナップできるようになるとのこと。ファンは期待大だ。
最後におふたりは、イベントの締めとして、発売に向けてファンにメッセージを語ってくれた。
「すごくリアルなゲームですし、いままでのドライブゲームの常識を変えるくらい素晴らしい内容なので、ぜひ挑戦してみてください」(諸星氏)。
「今回の『ニード・フォー・スピード』は、原点回帰ということはもちろん、シリーズの新時代の幕開けともなる作品に仕上がっていると思います。発売となる11月12日、オンラインのストリートでお会いしましょう」(中村氏)。
ステージイベントはこれにて無事に終了。最後はフォトセッションが行われたのち、フリーの試遊タイムに。会場では設置されたマシンでプレイが楽しめたほか、実車の運転席にマシンを用意して、大スクリーンを見ながら実際にドライブしている気分で遊ぶこともできた。
自分なりのドライブが楽しめるゲーム
なおイベント当日は、アート・デイレクターの中村雄太氏に、ミニインタビューでお話を伺うこともできた。最後にその内容を、一問一答の形で紹介しよう。
――今回、タイトルにはナンバリングもサブタイトルもなく、直球で『ニード・フォー・スピード』ですね。
中村雄太氏(以下、中村) シリーズは約20年の歴史がありますが、この最新作は過去の作品のよい部分を検証し、さらにファンの皆さまの要望も吸い上げて、まさに『ニード・フォー・スピード』シリーズの完成形と言っても過言ではないような仕上がりになっています。さらに新たな幕開け、シリーズの再起動という意味も含めての、このタイトルです。
――最大の見どころは、やはり5つのモード、プレイスタイルということになりますか?
中村 そうですね。5つのプレイスタイルというのは、ゲームを進めるうえでの大きな柱になります。“スピード”なら速く走る、“スタイル”ならドリフトで魅せるなど、自分なりのやりかたでプレイして、舞台のカリスマを目指すことになります。各モードには実在する伝説的な人物が登場して、物語に絡んできますので、そのあたりも注目ポイントだと思います。
――なかでもオススメの、プレイスタイルなどはありますか?
中村 僕が好きなのは、“アウトロー”ですね。警察車両の出現というのは、シリーズの特徴のひとつで、パトカーとの追いかけっこはシリーズならではの遊びかたなので。
――あとは今回も、カスタマイズに期待が高まります。
中村 かなり気合を入れましたよ。ファンの要望でも、カスタマイズは大きなポイントでしたので。外観のパーツやグラフィックはもちろんのこと、運転に直結するパフォーマンスの部分ですね。ドリフト走法、グリップ走法、どちらのハンドリングでも自在にチューニングできるのが、今回のウリです。また見た目についても、発売後はユーザーの方々が個性的なグラフィックのカーを作って、開発チームを驚かせてくれるんじゃないかなと、楽しみにしています。
――外観はパーツだけじゃなく、文字などもかなり選べますよね。
中村 既存のロゴマークなども豊富な種類を用意していますし、自分でデザインすることも可能です。無料のコンテンツアップデートも今後やっていく予定ですので、追加のテクスチャーもどんどん増えていきますよ。
――ユーザーの改造カーの、見た目のコンテストとかもあれば、おもしろそうですね。
中村 楽しいかもしれませんね。イマジネーションは無限の可能性があると思うので、どんなグラフィックが出てくるか、期待したいです。とくに日本のユーザーさんは、改造については職人肌の方が多いので(笑)。
――今回登場する実車、カーについてはいかがですか?
中村 シリーズならではの、幅広いラインアップになったと思います。旧車から新車まで、あとは日本車もかなり多く出ますので。個人的には、ハコスカとかフェアレディZが登場するのが、かなりうれしいですね。あと注目としては、最新カーのBMWのM2でしょうか。なおゲームにはトータルで、51台のカーが登場します。
――ストーリーから、そのままプレイ画面に移行するというのも、プレイヤーとしてはうれしい仕様ですね。
中村 自分のホームであるガレージで物語がくり広げられて、その実写からゲーム画面にシームレスでつながります。これは大きなセールスポイントですし、技術としても革新的だと思います。グラフィックの開発目標のひとつとして、現実とゲームの境目をぼやかしたいというコンセプトがあったのですが、そこはけっこう成功したかなと思っています。
――開発作業は、いまは一段落ついたという状況でしょうか。
中村 マスターアップはしていますが、追加コンテンツのアップを今後も続けていく予定なので、そのチームは開発を続行しています。発売後もゲームは進化していきますので、ぜひ楽しみにしていただければと思います。
――今回、開発に当たって苦労なされた部分などは?
中村 アート・ディレクターとして関わった部分に関してですと、市街地が舞台なので、街・夜・ライティングという要素をうまく表現するというところがやはり苦労しましたね。ただ、出来栄えには満足しています。
――夜のドライブシーンは、本当にキレイですよね。
中村 物理特性をベースにした、現実に近いライティングは、いちばんのセールスポイントでもあります。ゲーム中に存在する光はすべて、リアルタイムで表現されていますので。
――では最後に、発売を待っているファンへメッセージを。
中村 本作は、日本のカーカルチャーにリスペクトを持って作られたゲームです。日本人のカリスマも登場しますし、親しみを持っていただけると思います。ストーリーを追うだけではなく、仲間とつるんで街を走るだけでも楽しいですし、フォトモードで写真を撮ったりもできます。ぜひ広大なオープンワールドで、自分なりのドライブを自由に満喫していただければと思います。では、ストリートでお会いしましょう!