作り手と演者が褒め合う現場!?

 2016年2月25日に発売を予定している、日本一ソフトウェアのプレイステーション Vita用ソフト『勇者死す。』。鬼才・桝田省治氏が手掛けた同作は、魔王を倒して平和が訪れたはずの世界を舞台に、勇者(=プレイヤー)が5日間の余命をくり返し過ごすRPGだ。本作は、ケータイアプリとしてリリースされ、コアな人気を獲得したRPGのリメイク版で、グラフィックの一新、キャラクターボイスの追加など、新要素が多く追加されている。

 今回、先日の“東京ゲームショウ 2015”で行われた『勇者死す。』のイベント後に、イベントに出演された声優の五十嵐裕美さん、松井恵理子さん、そして、生みの親の桝田省治さんにインタビューをする機会を得た。イベントの感想に加え、新たにボイスが付いて生まれ変わったふたりのキャラクターについて、皆さんに語っていただいたので、ぜひお読みいただきたい。なお、記事の最後にはプレゼントもあるので、お見逃しなく。

 ちなみに、イベント直後のインタビューということで、イベントの内容に触れる部分も多い。まずは、下記のイベントリポートやステージの録画動画をご覧になってからお読みいただけると、わかりやすいはずだ。

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『勇者死す。』五十嵐裕美さん、松井恵理子さんに聞くアフレコ秘話。桝田省治氏の音響ディレクション術にも迫る!【プレゼントあり】_01
▲写真左から、松井恵理子さん、桝田省治さん、五十嵐裕美さん。
『勇者死す。』五十嵐裕美さん、松井恵理子さんに聞くアフレコ秘話。桝田省治氏の音響ディレクション術にも迫る!【プレゼントあり】_02

――イベントお疲れ様でした。
松井 お疲れ様でした! えーん、惜しい人を……。
五十嵐 「惜しい人を」っていう言葉が、(ニコ生の)コメントでみんな「おかしい人を」ってなってたよ(笑)。

――(笑)。今回のイベントは、当初から桝田さんの生前葬という趣旨だったんですか?
松井 そうです。
五十嵐 最初からそういう台本でした(笑)。

――それで、おふたりとも衣装も喪服のようなイメージなんですね。
五十嵐 そうですね。ちょっとそれっぽく。でも、あまり本格的にはなりすぎないように。
桝田 最初は、勇者の葬式だったんだよ。でも、それだとインパクトがないから、「僕の葬式にしちゃったほうが簡単でいいんじゃない?」って。

――週刊ファミ通のコラムのタイトルも、“桝田省治死す。”(→最新回は週刊ファミ通で、過去の回はコチラで読めます)ですし、桝田さんの命がどんどんと……。
桝田 タイトルの認知を上げるのは重要だからさ。

――とはいえ、イベントで生前葬をやるというのは初耳です(笑)。
桝田 ファミ通がこのイベントの記事を書くとしたら、記事の中身として3つのポイントは欲しいよなって思ったのよ。でも数えたら、声優とキャラクターのふたつしかなかったから、“桝田省治の生前葬で”っていう体でひとつ頭に入れれば、3つになるなと。

――記事構成まで考えていただいて! ありがとうございます!
桝田 もちろんだよ(笑)。

――では、五十嵐さんと松井さんにうかがいます。今回発表されたサラとメリーアンは演じてみていかがでしたか? まずはサラのほうから。
松井 ボイス的には大人でしたよね。
桝田 わりとふつうに、滞りなくやってたよね
五十嵐 そうですね。とくによどみなく、と思います……。
桝田 いや、五十嵐さんの準備がすばらしかったから。

『勇者死す。』五十嵐裕美さん、松井恵理子さんに聞くアフレコ秘話。桝田省治氏の音響ディレクション術にも迫る!【プレゼントあり】_04
▲サラ。

――おお。さすが!
五十嵐 さっきのイベントから褒められすぎてて、怖いんですよ!
松井 この後、私たちの身に何かありそうですよ(笑)。
桝田 いや、バーターで、僕をもっと褒めてくれればいいよ(笑)。
五十嵐 褒め合い! この現場、怖いよー!

――(笑)。
五十嵐 でも、本当に桝田さんのディレクションがわかりやすかったので、とてもやりやすく、いい時間で終わりましたよ。
桝田 いまのコメントだと、後藤くん(編注:後藤ヒロキさん。なお、コラム“桝田省治死す。”第6回で後藤さんへのインタビューが掲載されている→コチラ)に負けちゃうよ。
五十嵐 え! 後藤さん、何言ったんですか!? でも、アフレコは本当にスムーズに進んだので、「これ終わったら、飲みに行こう」って言ってた記憶しかない(笑)。

――それだけスムーズだったってことですよね。
五十嵐 台本が本当におもしろくて、一気に読んじゃうんですよね。
松井 そうそう。遺言のつぎ(編注:五十嵐さんと松井さんは、『俺の屍を越えてゆけ2』で遺言を読んでいる)は、弔辞かーと。こんな台本、なかなかないですから(笑)。
五十嵐 あと、恋愛要素の部分も強くて、自分のキャラクターの好感度が低いとすごくそっけなかったりするのに、逆に好感度が高いと、すごいデレてて。私、恋愛シミュレーションゲームが大好きなので、ニヤニヤしちゃうんですよね。
桝田 恋愛シミュレーションゲーム好きなの? 
五十嵐 はい。ギャルゲーに出たい。
桝田 女の子を落とす恋愛シミュレーションゲーム? それに出たいってことは、自分のキャラを落としたいの?
五十嵐 落とします! むしろ、そのために声優になったっていうくらいの目標です。でも、まだバリバリの恋愛シミュレーションゲームには出たことないんですよね。ただ、『勇者死す。』にはそういう要素もちょっとあって、デレたセリフもあるので、ニヤッと。
松井 ありましたねー。
五十嵐 あと、生まれたり死んだりして、桝田さんらしいなって。
松井 また、命を継いでいく話ですからね。
五十嵐 最初、りえしょん(編注:村川梨衣さん)のキャストが発表されたときに、「こいつ怪しい」って思って(笑)。ミンゴス(編注:今井麻美さん)のキャラが思わせぶりじゃないですか。見た目から天使で。そのキャラといっしょに発表されるってことは、何かあるんだろうなと。桝田さんのことだから、何周かしてると闇堕ちとかすんのかなーって。
松井 ヤンデレみたいなね。
五十嵐 皆さんに、何周もしていただきたい。

――かなり先読みしますね(笑)。では、続いて、松井さんにおうかがいします。メリーアンを演じた感想はいかがでしたか?
松井 順調だったというサラと対称的に、すごく悩んだキャラですね。かなりぶっ飛んでいるので、その雰囲気をどれだけ出すか。抜きの芝居と言いますか、相手を突き放しているようなところや、心ここにあらずという芝居がちょこちょこ入っていたりと、セリフの緩急がジェットコースターみたいなんです。そのあたりのさじ加減が難しく、行きすぎるとウザすぎるし、やりすぎると冷たすぎるしと、バランスが難しいキャラクターでした。
桝田 実際には、あいだに代永くん(編注:主人公役の代永翼さん)の返事が入ってくるんだけど、ぜんぜん噛み合ってないから、掛け合いで聴くともっとおもしろくなるよ。
五十嵐松井 あー。
松井 確かに、メリーアンは人の話を聞かずに、勝手にやってるから。
桝田 “本当に人の話聞いてないな”ってイメージが強くなると思う。
松井 “誰のセリフもほとんど聞いてない、私が主役”みたいな子なので、そのちぐはぐ感が楽しめますね。桝田さんの現場は毎回トリッキーなキャラクターをいただくので、メリーアンのときも、「またやったことがないキャラだ!」って思いました(笑)。

『勇者死す。』五十嵐裕美さん、松井恵理子さんに聞くアフレコ秘話。桝田省治氏の音響ディレクション術にも迫る!【プレゼントあり】_05
▲メリーアン。

――先ほどのイベントで録り直しをされたというお話をしていましたが、最初のバージョンはもっとテンションが高いような演技だったのでしょうか?
松井 もっと甲高くて、ともすれば耳障りになる音になっていたんですね。セリフ自体も一個一個がやりすぎなトーンになっていて、聞く側が辛くなるようなものだったので、録り直してよかったです。

――なるほど。桝田さんの作品は、桝田さんがアフレコのディレクションを直接担当されていますよね。
五十嵐 やりやすい。
松井 わかりやすいですね。
五十嵐 私たちが演じるものに対して、「これは違う」っていう否定をされるのではなく、「こういうのもやってみて」というご提案をいただけるので、すごくやりやすいです。
松井 それまでに演じたところを使った応用を求められるディレクションなので、わかりやすいんです。「ああ、そういうことか」と、納得しやすい。
桝田 (ニヤニヤ笑いながら)もっと盛っていいよ?
五十嵐松井 ちょっ(笑)。
五十嵐 いや、もっといろいろあるんですけどね! 私、口下手で……。
松井 私も私も!(笑)
五十嵐 皆さんにゲームをプレイしていただければ、すべてわかると思います!
桝田 今回さ、りえしょんがよかったんだよ。何がよかったかって、スタジオのレイアウトがよかった。
五十嵐 どういうことですか(笑)。
桝田 あの人、いつもひと言しゃべっては、僕の顔をじーっと見て、オーケーかどうかを判断してくるんだけど、今回は僕に背中を向けて座るレイアウトだったので、あのプレッシャーがなかった(笑)。
松井 やりそー。りえしょん、やりそー。
五十嵐 確かに(笑)。

――(笑)。ちなみに、桝田さんが直接ディレクションされる理由は?
桝田 早いし、人を挟まないから間違った指示にならない。もともとはPCエンジンのCD-ROM2で、ゲームで初めて声がついたというころに、ゲームでどうやって声を収録するかっていう、この業界にアフレコのノウハウやスタイルがなかったころからやってるからね。

――そんなときから! では、『天外魔境』のころから音響のディレクションもされているんですね?
桝田 そうそう。広井王子がいきなり「君の席、ここね」って、音響監督の席を指して。「このふたつあるボタンって何?」(編注:押しながら話すことで声優に声を伝えるトークバックのボタンと、キューランプを点灯させるキューボタン)という状態からのスタートだったから。

――それだけ長年担当されているのであれば、人を挟むよりも直接指示を出されたほうが早いですね。
桝田 人を挟むと、スピードも正確さも落ちるからね。後藤くんはそこも言ってたよ。「桝田さんはとにかくテンポがいいので、リズムに乗ったまま行ける」って。あと、「桝田さんは、基本的に褒めてくれないけど、ときどきちょっと褒めてくれる」。
松井 アメムチだ!
五十嵐 でも、私たちわりと褒めてもらってる気がするなあ(笑)。

――女性陣にはやさしいと。
松井 やさしいです。桝田さん、紳士なんで(桝田さんを横目で見ながら)。ちょっと話ズレますけど、メリーアンのもともとのイラストが、インテリっぽい印象だったんですよね。
五十嵐 ああ、カッコいい感じだったよね。私も、それを見て「カッター(編注:松井恵理子さん)っぽいな」って思った。
松井 だから、正式なキャラクターイラストが来たときに、「こんな感じ? 私で大丈夫?」って思ったんです。今回のリメイク用のキャラクターデザインって、細かくオーダー出されたんですか?
桝田 いや、「ケータイ版のイメージを残しつつ、クロサワくんのテイストを乗せて……」とかかな。あと、セリフで“サラの胸が大きい”といった表現があるから、そのあたりは強調してもらって。

――サラの胸は、確かにすごいですよね……。
五十嵐 (うんうんと頷く)
松井 静かに頷いてる!
五十嵐 早くゲームで見たい。イベントで、いきなりふたりのシーンが公開されたときに、コメントで「太っ腹!」って言われてましたよ。
松井 確かに! あと、メリーアンはほとんど裸でしたね(笑)。
五十嵐 わりとロリ体型なのに、「おっぱい大きい!」って思った。下乳であんなにでかいのかって。

――コメントで“南半球”っていっぱい流れていましたね(笑)。
五十嵐 そうそう(笑)。あと、キャラクターって、イメージカラーが色分けされてるじゃないですか。私、前から青系のキャラクターがやりたかったんですよ。戦うとしてもブルー系がよくて。私、意外とピンク系が多いから、青はうれしかった(笑)。

――恋愛シミュレーションっぽいところもあるし、青もあるしで、五十嵐さんの念願叶いまくりですね。
五十嵐 しかも、ブルーでショートカットですよ! 「水色ショート、キタコレ!」って。
桝田 そういうもんなんだ(笑)。
五十嵐 “私の嫁キャラ”って公言してる、『ときめきメモリアル』の虹野沙希ちゃんが、水色ショートで。『ときメモ2』で好きなのは琴子(編注:水無月琴子)だし、ふたりとも水色キャラなんですよ。

――水色への想いが熱い! では、最後に『勇者死す。』を楽しみにしている読者にメッセージをいただけますか。
五十嵐 早くゲーム画面やシステム画面などを見たいところですが、これからファミ通さんがいろいろなレア情報を出してくれると思うので、皆さん、『勇者死す。』の情報が載っているファミ通を見たら、ぜひすべて読破してください! そして、2月に備えていただけたらなと思います。
松井 まだまだ発表されていない新キャラなどもいて、これからも情報が出てきますので、お見逃しなく。それと、私が演じたメリーアンは、演じていてひと一筋縄ではいかないなという印象のキャラクターだったのですが、知略をこらす皆さんならば、メリーアンといっしょの冒険を楽しめると思いますので、ぜひ発売を楽しみにしてください!

――桝田さんからのメッセージは?
桝田 僕はいいよ(笑)。
松井 じゃあ、今日の生前葬の感想を。
桝田 男ばっかりだったよな? あんな生前葬、イヤだよ(笑)。 
五十嵐 じゃあ、美男子ばっかりのゲームを出してからやりましょうよ。
桝田 自分たち、出られないじゃん。
五十嵐 主人公の友だち役とかどうですか?(笑)
松井 アドバイス役とかね(笑)。
五十嵐 少年役とか。
松井 マスコット的な動物とか。
桝田 何でもありだな。
五十嵐 なんにせよ、かいくぐってでも出ます!(笑)


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 『勇者死す。』のイベントで使った、勇者の遺影に桝田省治さん、五十嵐裕美さん、松井恵理子さんのサインを入れて、ファミ通.com読者1名にプレゼントします! 世界でひとつしかない一品物! 欲しい方は、下記プレゼントフォームに必要事項を記入してご応募ください。

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勇者死す。
メーカー 日本一ソフトウェア
対応機種 PSVPlayStation Vita
発売日 2016年2月25日
価格 5980円 [税抜]/6458円 [税込(8%)]
ジャンル RPG