いよいよ正式サービスが開始!

 カプコンが満を持して放つ骨太オンラインアクションゲーム『ドラゴンズドグマ オンライン』(以下、『DDON』)が、2015年8月31日12時からいよいよ正式サービスを迎える。週刊ファミ通2015年9月10日号(8月27日発売)では、本作のキーマンとなるプロデューサー・松川美苗氏とディレクター・木下研人氏へのインタビューを掲載した。その完全版をお届けしていこう。

『ドラゴンズドグマ オンライン』スペシャルインタビュー完全版 いよいよ正式サービスが開始!_01

『DDON』プロデューサー
松川美苗氏(写真右・文中では松川

『DDON』ディレクター
木下研人氏(写真左・文中では木下

“ちょっとだけオンライン”を作る!

──まず、『DDON』は、どのようなコンセプトで開発されたゲームなのかを教えてください。

木下 もとになった『ドラゴンズドグマ』というタイトルは、ハイファンタジーの世界観を舞台としたアクションRPGでした。 そのころにも世には数多くのオンラインゲームがありましたが、時間や相手に気を遣わず、自分の好きなときに自由に楽しめる“ちょっとだけオンライン感”をコンセプトにゲームシステムを組んだのが、2012年に発売した『ドラゴンズドグマ』なんです。コンセプトの遊びとなる“ポーンシステム”では、AI制御されたサポートキャラクターを最大3人まで召喚してパーティーが組めるようになっていました。本来、コミュニケーションというものはチャットによる会話などで成り立つのがふつうですが、このシステムならば自分が育てたポーンを貸した、または誰かのポーンを借りた、といった状況から副次的に会話が生まれるようにとも考えられていました。たとえば「君のポーンは○○○○というキャラクターにそっくりだね!」とか「お前のポーンが
強くて助かったよ!」といった感じで。

──2012年当時と言えば、 海外メーカーのオープンワールド作品が隆盛を誇っていましたね。

木下 はい、 そういった時流の中で、「世界でも国内でも勝負できるワールドRPGを作る!」という意気込みのもと、『ドラゴンズドグマ』が開発されました。オンラインではないものの、“疑似オンライン”とも言える楽しみかたができる、さらにハイファンタジーの世界を冒険できて、アクションを楽しめる、というコンセプトで、発売後はお客様から大きな反響をいただきました。そのとき寄せられたご意見の中でとくに多かったのが、「ポーンといっしょに戦う戦闘も楽しかったけれど、友だちどうしでも遊びたい」というものでした。そして、おかげさまで最新作を作れる状況になりまして、開発チーム内でどういったアプローチで作っていくかを検討した結果、もっとも多かった“お客様の声”に応えよう、ひとり用の『ドラゴンズドグマ』を遊んでくれた皆様に“その先の場所”を作ろう、ということになったんです。それがズバリ、『DDON』全体のコンセプトということになりますね。

松川 私も、知り合いなどからよく前作との違いを聞かれるのですが、「オープンワールドでアクションを楽しめるという部分はそのままに、オンライン化したもの」と答えています。オンライン化によって、前作で好評だった部分が損なわれないかという心配の声もありますが、それらは決して失うことなく、オンラインの楽しさを上乗せして遊べるように作りました。

──オープンワールドという特性から、勘違いされている読者もいると想定しての質問ですが、『DDON』はジャンルで言うと“MO”(複数人同時参加型オンライン)なのでしょうか? それとも“MMO”(多人数同時参加型オンライン)なのでしょうか?

松川 ロビーとなる“白竜神殿”ではMMOで、外の世界ではMOというイメージでしょうか。白竜神殿にはたくさんのプレイヤーがいて、チャットでみんなワイワイ盛り上がれる場所ですね。広大な世界に出るとそこではMOになって、パーティーメンバーやポーンと協力しつつ、多彩なアクションを駆使して敵と戦うことになります。外の世界と戦闘部分をMOにすることで、ビジュアルやアクションなどを豊かに表現することができました。

──「豊かに表現できた」とは、どういった意味でしょうか?

木下 フィールドに出た後もMMOっぽくした場合、何千人、何万人というプレイヤーが同時に自由な行動を取るわけですよね。少し技術的な話になりますが、サーバーの処理能力などを考えた場合、“大勢のプレイヤーが同じ世界で同時に冒険するMMO”と、“アクション性の高い戦闘”を両立させるのは、いま現在においてもまだ実現が困難なことなんです。もともとの『ドラゴンズドグマ』は、キャラクターのビジュアルやアクション、世界の情景といったデータがすべてオフラインゲーム用、つまり“豪華な作り”になっていて、オンラインゲーム化されることを前提として作られたものはありませんでした。そのような部分をオンラインゲーム化で損なうこと、たとえば、アクション性を抑えたり、フィールドの作り込みを甘くして「これが『ドラゴンズドグマ』の最新作だ!」と訴えたところで、 シリーズを応援してくれている皆様が納得してくれるとは到底思えません。そういった理由から、現在の形がベストだと判断しました。

松川 1作目の『ドラゴンズドグマ』の発売後、お客様から「このゲームのアクションは気持ちがいい。 だから続編を作るときもその部分は変えないでほしい」という熱量の高い声をたくさんいただいたんです。 ですので、 オンラインゲームの『DDON』を作るときも、「アクションの気持ちよさは最優先で守ろう」と決めていたんですよ。

木下 もちろんオンラインゲームですから、人どうしのコミュニケーションも楽しんでいただきたいと思っています。ですので、“白竜神殿”に大勢の人が集まるロビーとしての役割を持たせることにしました。

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クロスプラットフォームを採用した理由

──『DDON』はクロスプラットフォームを採用していますが、ハードによってユーザーインターフェースやサービスが異なる点はありませんか?

松川 プラットフォームによるサービスや操作などの違いはありません。オンラインゲームは、友だちといっしょに遊べるかどうかがいちばん大切ですよね? それを考えたとき、 ハードを揃えなくてもいっしょに遊べる環境を用意したかったんです。そこで多方面の方々にご協力いただき、何とかクロスプラットフォームを実現できました。

──プレイステーション Vitaを用いたリモートプレイも可能なのでしょうか?

木下 もちろん可能です。ただし、リモートプレイをすると画面のアスペクト比が変わってしまうため、文字が読みづらい部分もあるかもしれません。 戦闘面でのレスポンスや冒険に関しては快適に遊んでいただけると思います。

松川 プレイステーション Vitaだと、L2ボタンやR2ボタンの操作を背面スライドパッドで行うので、コントローラと比べると操作感が違うと感じるかもしれませんね。

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ゲームバランスとポーンの調整

──クローズドベータテスト(以下、CBT)など何度かのテストを経た中で、ゲームバランスや方向性など、当初の想定から変化した部分や、“あえて変えなかったもの”はあるのでしょうか?

木下 当初想定していた方向性を大きく変えたことはありません。お客様からは、ユーザーインターフェースや操作性、ゲーム序盤のプレイヤーの動線など、遊びやすさに関するご意見が非常に多かったので、そこは必要と感じて大きく変えた部分でしょうか。そのほかの大きな変更点と言えば、ゲーム序盤の難度ですかね。「序盤から敵が固すぎる」というご意見が多かったので、 かなり倒しやすくなるように調整しました。あとは、ポーンに関するご意見も多かったので、AIを強化したり。ただ、ポーンの強化については、 バランスを見つつ、 対応していきたいと思っています。ポーンがあまりにも強すぎたり便利すぎたりすると、 仲間と遊ぶ必要すらなくなってしまいます。オンラインゲームにするからには、やっぱり人どうしが集まり、コミュニケーションを培ってほしい、多人数で遊べるコンテンツでワイワイ楽しんでほしい、 という思いがあります。 とはいえ、ポーンが弱すぎても不便なので、今後もバランス調整をしていくつもりです。

──ポーンの調整はゲーム全体のバランスに関わってくる部分ですものね。

木下 そうなんですよ。 強すぎても弱すぎてもプレイに影響が出るので、 絶妙なバランスが必要になってくるんです。でも、じつは過去の『ドラゴンズドグマ』のポーンに比べると、『DDON』のポーンのほうが能力や反応速度は高いんですよ。

松川 これもいただいたご意見を反映していて、アルファテストのときよりもCBTのほうが賢くなっていますし、正式サービスに向けて調整を加えていきたいと思っています。

木下 もちろん、 自分が何もしなくてもポーンがすべての敵を倒してしまう……という状
態になるとオーバーバランスなので、プレイヤー4人が集まったときに“ベストなバランス”になるように調整をしています。

松川 「シールドセージのあの人、 超カッコイイ!」とか「今日メチャクチャ上手なファイターに会ったよ!」みたいな出会いを楽しんでほしいですね。

木下 「パーティーにあとひとり足りない」といったときに、ポーンを補充してほどよく遊べるようになるのが理想です。

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