真夏のビーチがゲーム音楽に染まった！
暑い夏には熱いゲーム音楽がよく似合う！ 2015年7月27日、由比ヶ浜にて開催された“音霊 OTODAMA SEA STUDIOビキニ＆トランクス～汗だく！ゲーム音楽ダンスナイト～”は、そんな勢いを感じさせてくれる新感覚のライブイベントとなった。ゲーム音楽専門の制作会社、ノイジークロークが主催したこのイベントは、目の前に海が見える“浜辺のライブハウス”で、ゲーム音楽を楽しもうという試み。第一線で活躍するゲーム音楽家たちと、ニコニコ動画などでおなじみの踊り手（ダンサー）たちによる熱いパフォーマンスがくり広げられた。その模様をリポートしていこう。
トップバッターとして登場したのは、ノイジークロークの社員バンド“TEKARU”。ふだんは自社で手がけた楽曲を演奏している彼らだが、この日一発目に選んだ曲は“メキシカンフライヤー”。セガのダンス＆リズムゲーム『スペースチャンネル5』のタイトル曲として知られる、グルーヴ感あふれるジャズナンバーで、来場者のテンションを一気にアップさせた。
続いての曲目は、なんとナムコ（現バンダイナムコゲームス）の名作シューティング『ゼビウス』。しかもゲームのBGMとSEを演奏で再現→ロックアレンジで披露するという飛び道具で、オールドゲーマーな筆者は大ウケであった。
TEKARU後半戦は、この日先行発売された3rdアルバム『TEKARU HECTOPASCAL』からの演奏。3曲目の“鬼討ツモノ”は、坂本氏が作曲を手がけた『討鬼伝』からの一曲。激しいビートに乗せて鳴きのギターがメロディを奏でる、温度の高いアレンジとなっていた。4曲目は、いとう氏作曲による『サウザンドメモリーズ』から、“Theme from THOUSAND MEMORIES～英雄の種子〈シード〉 ”。寂しげなギターリフが印象的なミドルテンポの一曲で、バラード調のアレンジが物語性を感じさせていた。
TEKARU最後の演奏は、『消滅都市』から“Eternity ～ Immortality”。テレビCMでおなじみのあのピアノソロから一転、メロディはそのままにハードな伴奏によるどロックが展開。ツインギターによる重厚な音色がビーチに轟いた。
ステージは転換してDJタイムに突入。一番手を務めたのは、バンダイナムコスタジオの大久保博氏。サウンド部署の部長サンにして、自身のテーマを“モテ”と語る氏だけに、おしゃれ感たっぷりの爽やかなサウンドをフロアに響かせた。『ニューラリーX』から『シンクロニカ』まで、新旧取り混ぜた楽曲がプレイされたが、中でも盛り上がったのは、『アイドルマスター』から“スタ→トスタ→”、そして“キラメキラリ”のテクノアレンジ。いずれもCD『The Remixes Collection THE IDOLM@STER TO D@NCE TO』に収録されているので、会場で聞いて気に入った人はチェックしてみよう。ていうか俺も買うよ！
続いて登場した佐野電磁氏は、なんと電磁グリーンのスーツ＋水中メガネ＋シュノーケル＋フィンという完全海仕様。しかもシュノーケルの先にマイクを向けてトークを始めるなど、DETUNE代表取締役であることをちっとも感じさせないシュールな行為で来場者の笑いを誘った。佐野氏のステージで行われたのは、自身が手がけるニンテンドー3DS用シンセ『KORG DSN-12』を使っての実演。DSN-12にその場で譜面を打ち込んで、『ニューラリーX』や『ディグダグ』を完成させていくという、独自性のありすぎるパフォーマンスに、来場者は目を白黒させながらも大沸き。さらには、大久保氏とのセッションで『ゼビウス』などのアーリーナムコ曲のプレイで喝采を浴びていた。
なお、『パックマン』や『ドルアーガの塔』『源平討魔伝』といったナムコの名作17タイトルの、キャラクターや音楽などの二次創作が可能となる“カタログIPオープン化プロジェクト”が現在進行中。公式サイトよりクリエイター登録することで、あの有名コンテンツを素材に自由な発想での作品を生み出せる機会なので、腕に自身のあるクリエイター諸氏は、ぜひともこのチャンスに乗ってみてはいかがだろうか。
DJパートのシメは、ノイジークロークの加藤氏と川越氏。この日初お披露目となる『消滅都市』のEDM（エレクトロ・ダンス・ミュージック）アレンジ楽曲をプレイ。ゲーム中で聴ける5曲が、プリミティブな電子音が飛び交うむき出しのテクノサウンドへとトランスレートされ、そのハードな音色も手伝ってフロアをさらに熱くさせた。
ライブのトリを務めたのは、セガの光吉猛修氏。セガの数々の楽曲でボーカルを務めてきた光吉氏だが、この日はなんと赤フン＋法被というハジけた姿で登場し有名ボカロ曲“千本桜”を熱唱。熱いシャウトも加わって、会場全体を“光吉祭り”のムードに染め上げていた。続いてのナンバーはアニメ『バーチャファイター』の主題歌の英語バージョン“愛がたりないぜ -No Brotherhood without Love!-”。CD『バーチャファイター ベストトラックス ＋ ワン』に収録された一曲で、原曲の熱さを残しつつもアーバンな雰囲気ただようコーラスが加わり、大人味といった仕上がりとなっていた。続いての“Ignite Infinity Feat.Takenobu Mitsuyoshi”は、『ファンタシースターポータブル2 インフィニティ』の主題歌を光吉氏が歌った一曲。
会場の温度が最高潮に達したところで、ゲストの田中真奈美さん、髙山ゆうこさん、もものはるなさんの“セガ・ハード・ガールズ”が登場。「セーハー！」のあいさつもかわいく自己紹介を終えると、歌うはもちろんアニメ『Hi☆sCoool! セハガール』のエンディング曲“若い力 -SEGA HARD GIRLS MIX-”。光吉氏のメインボーカルにセハガ3人のかわいらしいコーラス＆ラップが加わると、なんとも不思議なグルーヴ感が生まれ、来場者もノリノリで掛け声をあげるなど大きな盛り上がりをみせた。そして最後に披露されたのは、やっぱりこの曲『バーニングレンジャー』の主題歌“Burning Hearts ～炎のANGEL～”。ハイトーンボイスで歌い上げる光吉氏の姿にオーディエンスも拳を振り上げて応じ、熱狂のままにライブは幕を閉じた。
200人近くの来場者で大盛り上がりのうちに終了となった“ビキニ＆トランクス”だが、平日の郊外開催であること、またビーチというインドア派にとってアウェーな地であったことなどから、コアなファン以外はやや足が遠退き気味だったように思えるのが残念な点。次回以降の構想もあるのとのことなので、今回の盛り上がりを見て興味を持った人は、つぎのチャンスを見逃さないようにしよう！
【音霊 OTODAMA SEA STUDIOビキニ＆トランクス～汗だく！ゲーム音楽ダンスナイト～ セットリスト】
（カッコ内は出典ゲームタイトル）
■TEKARU feat.Kenji Nakajo
M01：Mexican Flyer
M02：スタートミュージック～インゲームミュージック（ゼビウス）
M03：鬼討ツモノ（討鬼伝）
M04：Theme from THOUSAND MEMORIES～英雄の種子〈シード〉（サウザンドメモリーズ）
M05：Eternity ～ Immortality（消滅都市）
■大久保博1
M06：Synchronicity（シンクロニカ）
M07：Hear Me Out（シンクロニカ）
M08：塊オンナムコ（塊魂ノ・ビ～タ）
M09：Distant Memories（XEVIOUS 30TH ANNIVERSARY TRIBUTE）
M10：That's RALLY-X (NEW RALLY-X REMIX)（EXTRA - OFFICIAL COMPILATION）
M11：Disco Ball (RIDGE RACER 20TH ANNIVERSARY REMIX)
M12：Sky High [Reborn] （maimai）
■佐野電磁
M13：RALLY-X
M14：DIG DUG
M15：XEVIOUS
■大久保博2
M16：RIDGE RACER USA MIX（RIDGE RACER）
M17：Eternal Paradise (Eternity)（Tekken Revolution）
M18：スタ→トスタ→ -AJURIKA Remix（The Remixes Collection THE IDOLM@STER TO D@NCE TO）
M19：キラメキラリ -おおくぼひろし Remix（The Remixes Collection THE IDOLM@STER TO D@NCE TO）
M20：Rotterdam Nation Remix（RIDGE RACERS)
M21：さいたま2000(太鼓の達人）
■加藤浩義＆川越康弘
M22：Eternity（消滅都市）
M23：Avalon（消滅都市）
M24：You and Me（消滅都市）
M25：Wizard（消滅都市）
M26：I miss you baby（消滅都市）
■光吉猛修＆セガ・ハード・ガールズ
M27：千本桜
M28：愛がたりないぜ -No Brotherhood without Love!-（アニメ版バーチャファイター）
M29：Ignite Infinity Feat.Takenobu Mitsuyoshi（ファンタシースターポータブル2 インフィニティ）
M30：若い力 -SEGA HARD GIRLS MIX-（セガ・ハード・ガールズ）
M31：Burning Hearts ～炎のANGEL～ （バーニングレンジャー）
