武器の耐久値にスキルポイント……ゲームシステムの軸が垣間見える新情報!

 2015年8月5日~9日(現地時間)ドイツ・ケルンにて、ヨーロッパ最大のゲームイベントgamescom 2015が開催中だ。会期中にマイクロソフトのXbox One用タイトル『Scalebound(スケイルバウンド)』のメディア向けセッションが行われたので、その模様をお届けしよう。
 
 『Scalebound(スケイルバウンド)』は、プラチナゲームズの神谷英樹氏がディレクターを務めるアクションRPG。すでに、gamescom 2015に先駆けて開催されたgamescom 2015 Xbox Briefingや、マイクロソフトブースでのプレゼンテーションなどで情報が公開されているので、そちらも確認してほしい。
 
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 メディアセッションは、上記記事のプレゼンテーションと同じくデモプレイを見ながら解説を受けるというスタイルで、主人公のドルーを操作し、相棒のドラゴン・トゥバンとともに敵を倒していく流れも同様(ついでに撮影禁止なのも同様)。そのあたりは割愛して、内容の解説をしてくれた神谷氏の言葉と、そこから見えてきた新情報を中心に話を進めていこう。

『Scalebound(スケイルバウンド)』システムの追加情報が公開  従来の神谷氏の作品とはひと味違ったアクションRPGに!【gamescom 2015】_01
▲神谷英樹氏。gamescom 2015 Xbox Briefing終了直後に撮影したもの。

 まずは、ドルーとトゥバンのストーリー的な位置づけについて。ドルーは、現実世界から本作の世界“ドラコニス”に紛れ込んでしまった、ごくふつうの青年。「トゥバンとは、生命を共有する関係になっています」という神谷氏の言葉通り、ふたりは一蓮托生の間柄で、どちらかが倒れてしまえば、そこでゲームオーバーとなってしまう。「現代から紛れ込んだ青年と、トゥバンというドラゴンの絆の物語が描かれます」(神谷氏)とのことで、ふたりの関係性が見どころになりそうだ。
 
 トゥバンと命を共有しているドルーは、片腕がドラゴンのような鱗に覆われており、ドラコニスのすべての生命の源である“パルス”というエネルギーを操ることができる。手のひらからエネルギーのショットを撃ち出せたり、“ドラゴンフォーム”への変身が可能なのはそのためだ。なお、ドラゴンフォームになると、ふだんとは異なるアクションが可能になり、戦術の幅が広がるという。

 ドルーの育成要素については、戦闘で敵を攻撃した際などに入手できる“スキルポイント”が鍵を握る。ドルー自身にもレベルはあるが、このスキルポイントを割り振ることで、能力のカスタマイズが可能だ。ただし、「ドルーというキャラクターを大切にし、ストーリーを描くにあたって、トゥバンのように大幅に外見が変わるようなカスタマイズ要素は実装していません」(神谷氏)。ドルーのカスタマイズは、武器の変更や能力面の強化が中心になる。

 カスタマイズや買い物に用いる“ジェム”は、倒した敵を結晶化することで入手できる。この結晶化というワンクッションがポイントで、たとえばトゥバンが強力なブレスで敵を一掃すると、敵を焼き尽くしてしまうため結晶化ができず、ジェムも手に入らない。トゥバンに頼ってサクサクと進めるか、自分で戦ってジェムを確実に入手していくか、そういった駆け引きも生まれる。
 
 それだけだと、「だったらジェム欲しいし、自分で戦おう」と思うかもしれないが、本作の武器には耐久値の概念があるため、戦って耐久値をすり減らしながらジェムを確保するか、武器の摩耗を避けるために戦闘をトゥバンに任せるかという選択がリアルに迫ってくる。なお、武器の耐久値のほかに、アイテムもある程度の所持制限がある。「それらをどう使うかが戦略になります」(神谷氏)。
 
 さらにメディアセッションでは、これまでに公開されていなかったステージも少しだけ見ることができた。そこは木々が生い茂り、巨大なキノコなども散見される薄暗くも美しい森。ただ、トゥバンがいっしょに進むには狭い……。「こうした狭い場所では、別行動を取ります」(神谷氏)とのことで、トゥバンは少し離れた足場のない場所を飛んでついてきた。指示をすれば、ドルーが戦っている敵へブレスを吐くといった行動でサポートしてくれる。
 
 「扉をふさぐ木の根をブレスで排除するなど、トゥバンとは戦闘以外でも力を合わせる場面があります」と、神谷氏はさまざまなシチュエーションでトゥバンが活躍し、協力できることも示唆。なお、戦闘時は攻撃させるだけでなく、ドルーを守るように指示したり、あるいは手出ししないようにもできるそうだ。……なんだか、映像を見たり話を聞いているうちに、トゥバンが愛おしく思えてくる。それもトゥバンが生物として、ドルーの相棒としてきちんと描かれているからこそだろう。
 
 「これまで僕が作ってきたアクションゲームは、プレイヤーが障害にぶつかったときにはテクニックを磨き、自力で乗り越えるというスタイルでした。でも、今回の主人公であるドルーはふつうの青年で、ヒーローではないから、ひとりでは戦えません。強大な敵が出てきたときは、トゥバンにどう攻撃させて、自分はそれをどうサポートし、あるいは攻撃に参加するかというところにゲーム性を持たせています」(神谷氏)。
 
 純粋なアクションゲームではなく、RPG要素を取り入れたことで、育成やトゥバンとの協力による難所の突破が可能になっている『Scalebound(スケイルバウンド)』。アクションが苦手な人は、自分の腕を理由に敬遠してしまうのではなく、神谷氏が言うように「ドラゴンが助けてくれるから大丈夫」だと考えてみてほしい。爽快なアクションとRPG要素によって、幅広い層のユーザーが楽しめる内容になっているはずだ。

『Scalebound(スケイルバウンド)』システムの追加情報が公開  従来の神谷氏の作品とはひと味違ったアクションRPGに!【gamescom 2015】_02
▲『Scalebound(スケイルバウンド)』の最新画面写真。ちなみに、今回のプレゼンの内容とは関係ありません。念のため。