マーティ・マクフライが疾走した未来世界が現実のものになる!
映画『バック・トゥ・ザ・フューチャー PART2』で、デロリアンに乗ってマーティとドクが時間旅行した未来世界。そこで子供や若者たちがストリートを駆け抜ける乗り物として登場したホバーボードを、トヨタ自動車の高級ブランド“レクサス”が開発していると発表したのは、いまよりひと月半前。映画の舞台となった日時は2015年10月21日だったが、そのときが近づきつつある現在、ついに現実世界でホバーボードを完成させ、プロのスケートボーダーが特設コースを試走する模様を収めた動画を公開してくれた。
The Lexus Hoverboard: It's here
■不可能と思われることを可能にするため、手がけられた夢のプロジェクト
LEXUSホバーボードは低温保持装置をふたつ備えており、その中で超電導体が液体窒素によりマイナス197度に冷却されている。これが永久磁石のレールの上に置かれることで反発力が発生し、浮遊するというわけだ。これは現在JRが開発しているリニアモーターカーと同じ、電磁誘導技術を用いたものとなっている。
このように言葉にすると、予算面はさておき、比較的容易に作り出せそうにも思えるが、実際は世界でも最高峰のスタッフが集まり、開発には18ヵ月以上の時間を費やして何度もテストを積み重ね、ようやく完成に漕ぎ着けたという次第である。
その浮遊力は、上に人が乗るのはもちろんのこと、ボード上でジャンプしてもボードと地面のあいだに一定の距離が確保されるほどしっかりとしている。
ただし、その乗り味は、20年間スケートボードに乗ってきたテストライダーのロス・マクグラン氏の技術をもってして、「摩擦のない状態でホバーボードに乗るためには、特に姿勢やバランスについては一から技術を習得しなければならなかった」と言わせしめるほど、特殊なものだったようだ。
今のところ、このホバーボードは技術検証のためのプロトタイプのみの開発であり、市販化の予定はされていない。だが、プロトタイプとは言えこうして実物の浮遊ボードが登場したいま、誰でも気軽に乗れるスケボー感覚でホバーボードが町中を走り回っているという、誰もが夢に描いていた未来が現実になるのも、そう遠くないかもしれない。