奥深い対戦ゲームとしての魅力がさらに進化

 2015年8月5日~9日(現地時間)ドイツ・ケルンメッセにて、欧州最大規模のゲームイベントgamescom2015が開催。同イベントにて、バンダイナムコエンターテインメントより2016年2月4日発売予定のプレイステーション4用ソフト『NARUTO-ナルト- 疾風伝 ナルティメットストーム4』がプレイアブル出展された。話題作のプレイアブル出展、しかも24台も試遊台が設置されているということで、対戦ゲーム好きの筆者は、いてもたってもいられず、まっさきにバンダイナムコエンターテインメントブースに足を運んでみた。

『NARUTO-ナルト- 疾風伝 ナルティメットストーム4』を最速プレイ! PS4でド派手に進化した忍者対戦アクションを体験【gamescom 2015】_01

 gamescomの会場では、シリーズおなじみの対戦モードで遊ぶことができたのだが、そこで本作からの新要素にいきなり驚かされることになった。最大3人のチームを組んでバトルが始まるまでは、これまでの『ナルティメット』シリーズ通りの流れだったが、本作ではなんと対戦中にサポートゲージを50%消費することで操作キャラクターを変更できるようになっていたのだ。これまでの『ナルティメット』シリーズではメインキャラクターを1人選んだ後、2人のサポートキャラクターを選択するというシステムだった。味方は援護や追撃などのサポートに徹してくれ、それはそれで仲間と協力して戦っている楽しさはあったのだが、このシステムの導入によってよりチームを組んで戦う楽しさがパワーアップしていた。

 『ナルティメット』シリーズといえば、やはりグラフィックや演出力の高さが注目のポイント。本作ではプラットフォームを新世代機のプレイステーション4(海外版はXbox One、Steamも展開)としたことで、映像表現がより豊かになっている。忍術や奥義などのエフェクトはもちろんのこと、例えば対戦開始時に、画面に登場した両者が交差しつつ打ち合い、流れるように試合開始のコールへと続いていく演出には、バトルを前にしたプレイヤーに臨場感を与えてくれる気持ちよさがある。日本のキャラクターゲームは、複数のプラットフォームで発売されることがほとんどだ。その中で最高峰の性能のハードに絞って作り上げてきたスタンスを、筆者は評価したい。

 3人のキャラクターを切り替える“リーダーチェンジ”をしながらのバトルと言っても、それだけでは想像できない人がいるかもしれないので、少し踏み込んだシステムの説明をしてみよう。キャラクターの交代は、右スティックを倒すだけで、そのスティックに対応したキャラクターとその場で入れ替わるというもので、その動作は忍者らしく一瞬のうちに行われるため、対戦のテンポがそこなわれることはない。実際、対戦している最中に忍術のエフェクトに隠れた瞬間など、気付かないうちに相手のキャラクターが変わっていて奇襲を受ける形になった場面もあったほどだ。また、サポートゲージを50%消費することでキャラクターを入れ替えられる新システムが搭載された。キャラクターの入れ換えはコンボ中でも可能で、チャクラゲージを消費せずに連続技のダメージ上昇を狙うことができるので、戦術の中に組み込めるのもうれしい。

 また、バトル面では “装備破壊”のシステムにも驚かされた。これは戦闘中に一定以上のダメージを受けたキャラクターの衣装が破損するというもので、激しいバトルがくり広げられる中でのリアルタイムなグラフィックの変化を楽しむことができる。見た目が面白いのももちろんだが、装備破壊されたキャラクターは防御力が低下する代わりに攻撃力が上昇するという特徴があり、前述のキャラクターチェンジと組み合わせることで、コンボ中に装備破壊されたキャラクターと入れ替えてより高ダメージを狙う、といった形でバトルに活かすこともできそうだった。

 さらに、マニアックな変更点を挙げておこう。本作では、攻撃手段が増えて相手を倒しやすくなった代わりに、2ラウンド先取制も取り入れられていた(従来の1ラウンド制も選択可能)。2ラウンド先取制時は、最初のラウンドで勝利したチームは残った体力がつぎのラウンドへ持ち越される。チャクラゲージやストームゲージは初期状態に戻ってしまうので、勝利側が有利に試合を運べることは間違いなさそうだ。つぎのラウンドまでのあいだには、キャラクターを移動させたり交代したりといった準備が行える。装備破壊もつぎのラウンドへ持ち越されるので、防御力の低下しているキャラクターをサポートに回し、新しいキャラクターでつぎのラウンドへ挑むこともできるだろう。格闘ゲームではおなじみのラウンド制だが、本作で追加されたシステムと組み合わせられたことで『ナルティメット』シリーズの新たな面白さを生み出すことに成功していた。

 前作にあたる『NARUTO-ナルト- 疾風伝 ナルティメットストームレボリューション』は、チームタイプが奥義、覚醒、ドライブの3つに分割され、相手の攻撃を受け止めて反撃する当身や、瞬間的な爆発力を上昇させる即時覚醒の導入など、対戦を意識したつくりになっていた。本作では3つあったチームタイプが再びひとつに統合され、強力な奥義、キャラクターがパワーアップする覚醒、味方と連係するドライブの、すべての要素を使ってバトルを楽しめるようになった。が、それによって対戦バランスが崩れているという印象はなく、むしろ新しいシステムの数々によってつぎの段階へと対戦面での進化を感じさせてくれた。

 本シリーズは、攻撃を受ける瞬間に相手の後ろに回り込む“変わり身”による、忍者らしさ溢れるスピーディーな駆け引きこそが最大の魅力だと筆者は思っている。使用回数に限りのある“変わり身”をいかに削り合うか、どのタイミングで使うか、といったプレイヤー間の読み合いこそが面白さであり、その攻防の中にアイテムやサポート、忍術が組み込まれ、原作の忍者らしい雰囲気との両立に成功している。その中には、これまで積み重ねられてきたシリーズの進化を感じられる。

 今回の体験版では、劇場版の『THE LAST -NARUTO THE MOVIE-』のナルト、サスケ、ヒナタ、サクラなど全13人のキャラクターが操作できた。出演キャラの多さも魅力の本シリーズ、製品版ではどれだけのキャラクターで遊べるのか。そして、シリーズもうひとつの目玉といえるストーリーモードでは、表現力の格段に上がったプレイステーション4でどのような内容を見せてくれるのか。体験版は、存分に期待させてくれる出来となっていた。