今年のコミコンの最大のトピックは“『スター・ウォーズ』パネル”

 2015年7月9日~7月12日(現地時間)、アメリカ・サンディエゴのコンベンションセンターにて、エンターテイメントコンテンツの祭典、Comic-Con International 2015(通称:コミコン)が開催。ポップカルチャーの一大イベントであるコミコン。「今年のコミコンの注目は何だろう?」と考えたときに、大概の人の頭に浮かんだのが『スター・ウォーズ』ではなかろうか? シリーズ終了と思われていた『スター・ウォーズ』の最新作が始動。今年は『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』が公開される“『スター・ウォーズ』イヤー”とあって、「まあ、コミコンで盛り上がらないわけがない」というのは、ごくふつうの判断と言えるだろう。

 で、実際にコミコンの会場に足を運んでみると、『スター・ウォーズ』はさすがの人気ぶり。『スター・ウォーズ』関連のグッズメーカーが集結したルーカスアーツブースを筆頭に、会場のそこかしこで『スター・ウォーズ』関連グッズが展開。最新作である『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』の情報はあまり公開されていないので、すべてが既存作のグッズだったりするわけですが、さすがの人気と言えましょう(ちなみにその多くが、『エピソード4』~『エピソード6』だったりするところも、ファンの心情がうかがえておもしろい)。

 とはいえ、先述の通り『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』の情報はほとんど公開されていないので、グッズ展開のしようもない。初日の取材を終えて、「これは、コミコンで本格的な盛り上がりを見せるのは来年からかな……」と思った矢先に、聞き逃せない情報が入ってきた。開催2日めに『スター・ウォーズ』のパネルが実施されるというのだ。しかも、監督のJ・J・エイブラムスや脚本家のローレンス・カスダン、プロデューサーのキャサリン・ケネディのほかに、“スペシャルゲスト”も登壇するという。これは期待するなというほうが無理で、「絶対に行きたい!」と、記者が思ってしまったのも人情というもの。たしかにゲーム媒体としての本道とは少し外れるかもしれないが、“エンターテインメントコンテンツ”としては、世界で屈指の注目度の高さである。「これを取材しないで、今年コミコンに取材に来たと言えますか?」と、口角泡を飛ばす勢いで同僚を説得し、取材を敢行することにした。

 さりながら、『スター・ウォーズ』のパネルに入場するには相当な困難が予想される。相当前に並ばねばならないだろうことは間違いないが、通常の取材をないがしろにするわけにはいかない。ところがその日は記者は直前に取材があり……ということで、同僚を拝み倒して、対策を講じることに。午後いちで取材を終える同僚に列に並んでもらい、記者の取材が終わったら並ぶのをチェンジしてもらうことにしたのだ(ちなみに、コミコンでは取材陣に対する優遇はほとんどなく、パネルにも一般の方といっしょで、並ばなければならないのです。そんなコミコン流がけっして嫌いではない記者ですが)。これだと、パネルの開始4時間くらい前に並ぶことになるわけで、「これならば、何とか行けるのでは……」と思ったわけだが、これがじつに甘かった。

 記者が前の取材を終えて待機列に足を運んでみると、けっこうな数の人が並んでおり、なおかつ何となく膠着した雰囲気が……。2時間前から並んでいた記者とバトンタッチするときに聞いてみると、列は少しずつしか進んでいないという。「ああ!? なんてこった!」。『スター・ウォーズ』パネルはコミコン会場のいちばん大きな“ホールH”で実施されることになっているのだが、朝から順次別プログラムが組まれており、人がまったく出て行かないようなのだ。アメリカでは消防法か何かで、立ち見ができないことが厳密に定めらており、ひとつ席が空いたら、ひとり入場を許されるようになっている。これは想像になるが、おそらく朝から人の動きはあまりないのだ。ネットなどをつらつらチェックすると、熱心なファンは何日も前から並んで、この日に備えていたという。そして、無事“ホールH”には入るや、じっと『スター・ウォーズ』パネルを待ち続けるのだろう。

『スター・ウォーズ』は間違いなく今年のコミコンの主役だった! 『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』の詳細もお届け【SDCC 2015】_01
▲まんじりともしない列に並ぶ方々も諦めモード。

 「こ、これは……」。パネルの始まる午後5時30分が近づいていくにも関わらず、あまり動きのない列にじりじりと焦りは深まるばかり。「入れますかね?」と何度も問いかける記者に対して、同行してくれた通訳のMさんも黙って首をかしげるばかり。なんとなく無理目な雰囲気はありつつも、一縷の望みにすがりつつ待っていると、とうとう諦めたのか、待機列から離脱していく人たちも続々と現れ……。「諦めますか……」と、記者が口にしたのは、『スター・ウォーズ』パネルがとうに開始された午後6時くらいのころだった。「これが現実だ」と、自分を慰めるしかない状況ではあった。

 その夜、Mさんから「『スター・ウォーズ』パネルには、マーク・ハミルやキャリー・フィッシャー、ハリソン・フォードがスペシャルゲストとして登場したらしいですよ」という話を聞くにつけ、無念さは深まるばかり。「ハリソン・フォードまで来たのか! さぞや盛り上がっただろうなあ。その場に居合わせたかったなあ~」と、口にするも虚しいばかり。コミコンに合わせて公開された『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』特別メイキング映像を見ながら、せめて自分を慰めるのでした。