さまざまな側面から“Steam”の可能性をフィーチャー

 2015年7月11日、12日の2日間、京都・みやこめっせにて開催された、インディーゲームの祭典“BitSummit 2015”。メディア向けに行われたValveのスポンサーセッションをリポート。
 そもそもこういったValveのセッション自体が非常に珍しいうえに、日本でもすっかり定着した“Steam”がテーマということで、早くから注目されていた。セッションには、Valveからリッキー・ウーイ氏とオーガスタ・バトリン氏が登壇し、“Steam”についての講演が行われた。

 まずは、“Steam”というプラットフォームの定義から。現在では全世界で1億2500万人のアクティブユーザーを持ち、配信されるソフトの56%がインディーズタイトルとのこと。マーケットの規模も順調に右肩上がりで伸びている。その“Steam”の特徴を、ゲーマー向け、デベロッパー向け、日本向け、テレビ向けなどの側面から魅力と特徴を説明してくれた。

可能性が広がる“Steamの再定義”を提案したValveのセッションをリポート【BitSummit 2015】_01
▲ウーイ氏(右)とバトリン氏(左)。
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◆ゲーマー向けのSteam
 UI(ユーザーインターフェース)をより個人向けにリニューアルしたストアでは、ユーザーとの関連性が高いタイトルを表示・通知したり、自動でつねに最新の状態に更新される。すべてのプレイヤーには永続的なSteam IDを所持し、世界中どこからでも自分のゲームやフレンド、実績などのデータを見ることができる。このストアはSteamの“氷山の一角”で、自作のコンテンツを提供できる“Steamワークショップ”や実績、集めればバッジを作ることも可能なトレーディングカード、最近公開された“Steam ブロードキャスト”(ゲームから直接ブロードキャスト可能)など、使える機能なども随時追加され、Steamを通じて、さまざまな体験が可能となっている。

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◆デベロッパー向けのSteam
 開発者向けという意味では、さまざまな販売・開発ツールが用意されており、また早期アクセスにより、実際にプレイした人から有益な情報をフィードバックできる。イベントやプロモーションも積極的に行われている。さらに、セルフパブリッシュの“Steam Greenlight”は、多くのユーザーにアイデアを提示し、その内容をテストしたり、審査に通れば、開発完了後、好きな値段で配信することができ、新たなパブリッシング契約も必要ないとのこと。デベロッパー向け機能には、ほかにもクラウド、マッチメイキング、ローカリゼーションなど、さまざまなものが用意されている。

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◆日本向けのSteam
 昨年8月、日本円での決済に対応したSteam。同時に、WebMoneyやコンビニ決済など、利用頻度の高い支払方法にも対応している。その結果、日本での収益が大幅に増加し、現在ではSteam購入は世界でもTOP10に入っているそうだ。ユーザーだけでなく、デベロッパーも健闘しており、Steam人気上位100タイトルのうち、日本デベロッパー作品が10%以上を占めているという。

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◆テレビ向けのSteam
 テレビに接続してのゲームプレイのために、Steam マシーンやSteam リンク、さらには古いゲームを遊ぶときでも困らない、Steam コントローラも発売する。PCを直接テレビにつなげたり、Steam マシーンやSteam リンクの仕様など、出力デバイスとしてテレビを活用する方法が用意されている。また、テレビとの接続を想定し、テレビ番組や映画をサポートするコンテンツも用意している。

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 最後に“Steamを再定義”。
「Steamには、さまざまな機能や側面がありますが、それを決めるのは皆さんです。Steamに参加して、今後をぜひ形作ってください」(バトリン氏)
 単にゲームを楽しむプラットフォームとして以外にも、さまざまな楽しみかた、利用方法があるSteam。スライドの最後には「一緒にSteamの形をつくりませんか。」という、なんとも可能性に満ち溢れた言葉で締めくくられていたのが印象的だった。

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