神々は細部に宿る

 2015年6月16日~18日(現地時間)、アメリカ・ロサンゼルスにて世界最大のゲーム見本市、E3(エレクトロニック・エンターテインメント・エキスポ)2015が開催。なんでも、『Halo』、『Forza Motorsport』、『Gears of War』という、マイクロソフトの誇る3大フランチャイズがE3で同時に登場するのは、史上初なんだとか。中でも、とくに優等生ぶりを見せているのが『Forza Motorsport』シリーズ。Xbox Oneのローンチタイトルとして(海外では)2013年にリリースされた『Forza Motorsport 5』に続き、2年後の9月に最新作『Forza Motorsport 6』が発売されるのだ(日本発売は9月17日!)。

『Forza Motorsport 6』はシリーズ10周年を記念する重みを持つタイトル Forza Techエンジンの魔力とは?【E3 2015】_05
▲Turn 10 Studiosのクリエイティブ・ディレクター、ビル・ギーシ氏。

 シリーズとしてはXbox Oneで2作目となり、開発のノウハウも溜まってさらにグレードアップしたのでは……と思っていたところに、「『Forza Motorsport』シリーズのマイルストーン(節目)の作品になります」と、Turn 10 Studiosのクリエイティブ・ディレクター、ビル・ギーシ氏。続けてギーシ氏は、1080pで60fpsを実現し、450台の“フォルツアビスタカー”を収録し……と、『Forza Motorsport 6』の特徴を列記していった。さらに、何と本作では、『Forza Motorsport 5』や『Forza Horizon 2』で蓄積されたドライバターがAIに反映されているという。それだけ人間くさいAIをバトルできるというわけだ。

 で、そのうえで、前作からの違いとして今回ピックアップされたのが、“雨”と“夜”。何のことかというと、ウェットレースとナイトレースに取り組んだというのだ。

 クルマに対する思い入れを全面に押し出し、細部にまでこだわっている『Forza Motorsport』。シリーズを経るごとに「つぎはこれ!」という形で目標に着手しているわけだが、それが最新作ではウェットレースであり、ナイトレースだったというわけだ。今回のプレゼンで紹介されたのはウェットレース。実際のところ、クルマボディに付着する雨粒を見ると、口があんぐり開くほどのクオリティー。雨の描写にあたっては「20000以上の要素が絡んでいる」という。具体的にはどの点を指すのかはわからなかったが、描写の緻密さを実感させる数字だ。そして、路面はアスファルトや草、土など148パターンの状況を収録。それだけリアルティー溢れる濡れっぷりを再現しているというわけだ。ハイドロプレーニング現象などもしっかりと再現しており、実際にスタッフが何度もハイドロプレーニング現象を体験して、その感触をゲームに持ち込んでいるらしい(ハイドロプレーニング現象とは、水溜りなどを走行中に、タイヤと路面のあいだに水が入り込み、クルマが水の上を滑って、ハンドルやブレーキが利かなくなる現象です)。さらに驚くべきは、フロントグラスに叩きつける雨粒も物理計算で処理しているらしい。なんたる変態ぶり、もといこだわりぶり! レースゲームを遊ぶときは、基本後方視点を使うことが多い記者ではあるが、これほどのこだわりぶりならば、座席視点でプレイしてみたいと思わせるほどだ。

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 一方、時間の兼ね合いでナイトレースの詳細説明は行われなかったが、「夜なので、まわりはまったく見えず、閉塞感が感じられる」(ギーシ氏)と、こちらも、相当なこだわりを持って“夜の闇”を再現しているようだ。

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▲さまざまなモードが収録。ちなみに収録コースは『5』からのものをすべて引き継ぎつつ、新たにリオデジャネイロやブランズバッチなど、10コース追加されている。

 質疑応答で印象的だったのが、マルチプレイとXbox App。もちろん、『Forza Motorsport 6』ではオンライン要素も進化しているに違いないのだが、その一例として“リーグス”が導入されるという。明確な説明がなかったので、ある程度の推測になってしますが、こちらは“早さを求めるプレイヤーのためのリーグ”、“カジュアルに楽しむためのリーグ”といったように、プレイヤーの好みに応じて、マルチプレイのマッチングを決めてくれるもののようだ。

 Xbox Appでは、“ハブ”を用意しているという。こちらは、いままでの『Forza Motorsport』シリーズのプレイ履歴が網羅されるようになっているという。履歴があることでどのような効果がもたらされるかは明らかにされなかったが、シリーズユーザーのためのアプリと言えるだろう。

 さて、最後にシリーズファンなら気になるであろうトピックをお届けしよう。本作はForza Tech エンジンで開発されているというのだ。『Forza Motorsport』は、もともと自社エンジンを使って制作されており、“Forza Tech”の特許取得を機会に、晴れて名称の公開に踏み切ったものと思われる。Forza Tech エンジンという名称の公開は、いままでシリーズで脈々と培われてきた開発のノウハウがしっかりと『Forza Motorsport 6』に蓄積しているかを改めて実感させる。シリーズを重ねることにはこんな意義がある。という意味では、『Forza Motorsport 6』は、シリーズの重みを感じさせるタイトルと言える。ちなみに、『Forza Motorsport』は2005年に1作目が発売されてから今年で10周年。『Forza Motorsport 6』はシリーズ10年の集大成と言えるのだろう。

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