シリーズに変革をもたらした作品がさらに進化

 文明を発展させて科学や文化、外交、軍事など、さまざまな方法で勝利を目指すターン制のストラテジーゲーム、『Civilization』(以下、『Civ』)シリーズ。いままでとはガラッと方向性を変え、未知の惑星で人類が新たな文明を築いていく過程を描く最新シリーズ『Sid Meier's Civilization Beyond Earth』(以下、『Beyond Earth』)が2014年にPCでリリースされ、大きな話題を呼んだ。そして2015年秋、待望の拡張パックが登場する。それが、『Sid Meier's Civilization: Beyond Earth ?Rising Tide-』だ。その舞台は、なんと広大な“海”なのだ。

世界を夢中にさせるストラテジーゲームに衝撃の展開! 『Civilization: Beyond Earth -Rising Tide-』開発者インタビュー【E3 2015】_01

 惑星に移住した人々は浮遊都市を築き、異星の波間に隠れている天然資源を採取することになるのだが、海には特殊な能力を持つ異星生物も生息しており、これまでにない要素が発生する。
 プレイヤーはある勢力のリーダーとなり、技術や思想を発展させたり、外交や貿易、戦争で勝つなどのさまざまな勝利条件を満たすことが目的となる。これはいままでの『Civ』シリーズを踏襲しているのだが、本作では新たな勢力やゲームシステムが反映されており、いままでとはまた異なるストラテジーが楽しめるものになっている。そこで、本作の開発を手掛けるFiraxis Gamesから、リードデザイナーであるWill Miller氏とDavid McDonough氏にその“変革”を訊いてみた。

世界を夢中にさせるストラテジーゲームに衝撃の展開! 『Civilization: Beyond Earth -Rising Tide-』開発者インタビュー【E3 2015】_02
▲Will Miller氏(写真右、文中はWill)
David McDonough氏(写真左、文中はDavid)

海を舞台に描かれる新たな挑戦

――拡張パックの舞台に海を選んだ理由は?
David そもそも『Civ』シリーズは過去の偉人や文明をテーマにしてきたタイトルでしたが、『BEYOND EARTH』で舞台を宇宙に移すという新しいチャレンジを見せました。今回は、さらにその先へ行くために、海という新しい舞台を選んだのです。海を舞台にすることで、新しい生物や船、いままで挑戦したことのない要素を盛り込めるので、やるべき価値はあると思いました。

――『Beyond Earth』で膨大な未来世界を築き上げたにも関わらず、海洋生物や船などのデザインを新たに生み出すのは難しくありませんでしたか?
Will これもチャレンジでしたね。たとえば海洋生物の“ハイドロコーラル”は、いままでの作品にも出てきたことのない生物なので、いろいろ考えました。でも、楽しんでデザインできました。
David 私はもともと船が好きなので、船や海洋都市のデザインを考えるだけでも興奮しましたね(笑)。

――気になるのは、新しい勢力のひとつ“アル・ファラー”です。彼らはどのような派閥なのですか?
Will アル・ファーラーは、中東にあった国の末裔です。『BEYOND EARTH』には、地球に住めなくなったために、新天地を求めてほかの惑星に移住するという設定があります。その移住の第1陣となる人々を描いたのが『BEYOND EARTH』なんです。今回の『RIP TIDE』では、第2陣として4つの勢力が移住することになるのですが、そのうちのひとつがアル・ファラーとなります。ほかの勢力と違う点は、冷凍保存された状態で移住したのではなく、宇宙船の中で世代交代をくり返して移住した人々であることですね。だから、同じタイミングで地球を飛び出したのに、惑星に到着したときは、一方は当時のまま、アル・ファラーは何世代も重ねてきているというギャップがあるんです。それだけに、厳しい環境で生き抜いてきたアル・ファラーは、生き残りを懸けた生活をずっと過ごしてきたおかげで、非常に冷酷でシビアな考え方をする勢力になっています。彼らの存在がゲームをより深くしていますよ。

――新しいアーティファクトシステムは、どのようなものになるですか?
David アーティファクトを発見するためには発掘、征服、収集といった手段があり、アーティファクトを合成することで強力な効果を獲得できます。それだけではなく、地球、エイリアン、先人に起源を持つものなので、入手すれば彼らに隠されたストーリーを知ることもできます。

――ちなみに“先人”とはどのような存在なのでしょうか。
Will かつては惑星に住んでいたエイリアンですが、惑星を去った理由はわかりません。アーティファクトを集めて、彼らのストーリーを明らかにしてほしいですね。また、勝利条件のひとつとして、巨大なビーコンを建設し、起動して未知のエイリアンとのコンタクトを取ることがありますが、未知のエイリアンとコンタクトするためには、まず先人とのコンタクトが不可欠になります。先人は、重要な役割を果たす存在なのです。

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――テクノロジーの開発システムは前作を踏襲するのですか?
DaVid テクノロジーの開発については、基本的には『Beyond Earth』と同じです。ただ、大きく変わっている部分もあって、たとえばアフィニティーポイントの獲得手段などが大きく変わっています。本作では複数のアフィニティを扱えるようになり、これまでにないユニークなリワードやミリタリーユニットなどが獲得できますよ。

――新たな生態系も導入されますね。
Will ふたつの生態系を用意していますが、いま明らかにできるのは“プリモーディアル”のみです。簡単に言うと、出来立ての火山がある場所で、地形も定まらない状況になっています。地形に応じて出てくるエイリアン変わるので、探索も楽しいと思います。

――『Beyond Earth』を遊び続けているプレイヤーには、どのように楽しんでほしいですか?
Will 『Beyond Earth』のシステムを引き継いでいる部分はもちろんありますが、まったく変わっている部分もあります。そこを楽しんでほしいですね。

――本作をきっかけに『Civ』シリーズをプレイしてみようと思っている方には?
Will やっぱり『Civ』シリーズには、歴史に興味がない方はなかなか手を出せなかったと思います。でも、『Beyond Earth』から始まる新しい『Civ』シリーズは、いままでとはまったく違うアプローチというリスクにチャレンジした作品なので、SFファンの方々も楽しめると思います。
David とても興奮できるゲームになっているので、ぜひ楽しんでください。

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