ハイスペックパソコンの導入で、コミュニティーの場がより快適に

 とらのあなを運営する虎の穴を傘下に持つユメノソラホールディングスでは、アキバ・サブカル系に特化したマッチングプラットフォーム型サービス“AKIBAPOP:DOJO(アキバ・ポップ・ドウジョウ)”を展開。この4月からは、マウスコンピューターとセルシス各社の協賛を受け、“AKIBAPOP:DOJO”の秋葉原スタジオおよび八丁堀スタジオの2拠点に、クリエイター向けのハイスペックパソコン計30台のレンタル設置を開始した。

 “AKIBAPOP:DOJO”の狙いとは? そして三社による取り組みの意図とは? 関係者にその経緯などを聞いた。

オタク文化の交流の場“AKIBAPOP:DOJO” マウスコンピューターとセルシスが支援する理由とは?_05

■お話をうかがった方

ユメノソラホールディングス株式会社
ツクルノモリ AKIBAPOP:DOJO事業室
ディレクター 井藤光枝氏(中央)

株式会社マウスコンピューター
コンシューマ営業統括部 コンシューママーケティング室
室長 杉澤竜也氏(左)

株式会社セルシス
マーケティング部
部長 小林哲也氏(右)

クリエイターを支援する、“AKIBAPOP:DOJO”という場

――そもそも“AKIBAPOP:DOJO”ってなんでしょう? まずはそこからお教えください。

井藤 私どもユメノソラホールディングスは、とらのあなという同人誌を取り扱う書店から出発しているのですが、お取引きしているイラストレーターさんだったりマンガ家さんだったりといった方々が、いまでは50000人以上いらっしゃるんです。

――それはすごい規模ですね。

井藤 それが、2013年10月のホールディングス化を機に“クリエイターさんのバックアップや支援を行う”ということの一環として、新しい事業を展開することになったんです。そして当時私が所属していた新規事業部という部署で、新規事業をいくつか検討している中で、この“AKIBAPOP:DOJO”が、会社の方向性と一致しているということになり、スタートすることになりました。

――ああ、なるほど。

井藤 あと、私たちは秋葉原界隈で20年くらいサービスを展開しているのですが、マンガ家さんやイラストレーターさん以外の、いわゆるアキバ・サブカル系のクリエイターさんたちとのお付き合いはそれほどなかったんですよ。ということもあり、今回はアキバ・サブカル系のクリエイターさんたちを幅広く支援していきたいということで、“AKIBAPOP:DOJO”は、13のジャンルで展開しています。

――そんなにあるんですか?

井藤 イラストレーターさんやマンガ家さんだけでなく、たとえばコスプレイヤーさんや、あとは、最近だとVOCALOIDのPさんとか。ジオラマを作っている方や、コンセプト喫茶(メイドカフェなど)に詳しい方などの登録もありますね。

――コンセプト喫茶ですか? いったい何をするんだろう? “AKIBAPOP:DOJO”って、どんな場なんですか?

井藤 (笑)。“AKIBAPOP:DOJO”は、レッスンとコミュニティーの場としてスタートしたんですね。レッスンは、アキバ・サブカル系であれば、誰でも自由に何か技術やスキルを提供することができるんです。勉強会でもいいし、セミナーでもいいし、座談会でもいいんです。この前は、“オタクの老後を考える会”というのが企画されていましたね。(先生/町田メガネ氏

――何かを教えたい人がいれば、場を提供するということですね?

井藤 はい。またもうひとつは、コミュニティーを提供する場でもあります。何かひとつテーマがあればいい。たとえば、メイド喫茶好きな人が集まって、メイド喫茶に行こう!というのも、ひとつのコミュニティーだったりするんです。

――なるほど。それは興味深いですね。さきほどおっしゃっていたコスプレもレッスンがあったり?

井藤 そうなんです。コスプレでも初心者向けのレッスンというのがありまして、「コスプレしたいんだけど、どこから入っていいのかわからない」っていう方も、けっこういらっしゃるみたいで。“AKIBAPOP:DOJO”では、“世界一受けたいコスプレレッスン”(先生/海都~kaito~氏<世界コスプレサミット2012世界王者>)っていうのを月イチで展開しているんですけど、大人気ですよ。ポージングとか、衣装の着かたとか、化粧の仕方とか……いろいろあります。写真のカッコいい撮られかたとかもありますね。“イベントでカメラマンに声をかけてもらうにはどうしたらいいか?”とか(笑)。

――何か深いなあ(笑)。アキバ・サブカル系のたまり場みたいな感じですね。

井藤 レッスンでもコミュニティーでも自分がいちばん興味を感じるジャンルを探して自由に集まることができる。それが“AKIBAPOP:DOJO”なんです。印象的なのが、マンガに興味がある方は、マンガ関連のレッスンやコミュニティーばかりに興味が行くのかなと最初は思っていたのですが、意外にもまったくかけ離れたレッスンを受けていたりするんです。ご自身が興味を抱ける分野を探しているのかな……という感じです。

――もしかして、僕がライターのイロハを教えることも可能だったり?

井藤 もちろんです! たとえば、マンガでは、執筆のテクニックを教えるレッスンもあれば、片や編集さんへの営業の仕方をコミュニティーで共有するなんてこともしています。“AKIBAPOP:DOJO”には、すでに商業デビューされているマンガ家さんのレッスンもけっこう多いので。

――あの雑誌の編集はきびしいから心したほうがいいとか?

井藤 (笑)。雰囲気的には“私塾”みたいな感じですね。先生たちも個人でやっていらっしゃる方が多いです。企業に所属されている方もいらっしゃいますが、あくまで個人としてやっていらっしゃるんです。自分のアイデンティティーとか、スタイルを伝えているような感じです。松下村塾みたいな……というと、ちょっと言い過ぎかもしれませんが。

――なんか居心地はよさそうですね。

井藤 けっこうおもしろいと思いますよ。さらにもうひとつ例を挙げると、ゲームのコミュニティーもあったりします。主催されているのがゲームのプログラマーさんなのですが、“アプリをひと月に1本開発する”(先生/ナメプロ氏)というのを目標にしていて、そのうえで、“AKIBAPOP:DOJO”で開発者・イラストレーターさんまで募集したんですよ。

――なるほど。まさに人を募集するには最適のコミュニティーですね。

井藤 そうなんです。皆さん積極的に参加してくださるわけです。すでに何作か無料アプリとしてリリースしているのですが、先日は『俺の年末年始は修羅場過ぎる』を配信しました。略して『俺修羅』。ちなみに『俺修羅』は、ただいま第2弾を絶賛制作中です(※App Storeはこちら※Google Playはこちら)。

――おもしろいですね(笑)。ゆくゆくはアニメ化とかしてみたり?

井藤 正直、できたらいいなとは思っています。弊社には“トラゲー”というゲームプラットフォームもあるので、ゆくゆくは、“AKIBAPOP:DOJO”で制作したコンテンツを、弊社のグループネットワークを駆使して、何かしらの形で作品として世に出していくという方向に持っていけたらいいなと。“AKIBAPOP:DOJO”では、日々コンテンツが生まれているのですが、レッスンから生まれた作品の展示コーナーを作っていたりするので、ご興味をお持ちいただけたようでしたら、一度ご覧いただけるとうれしいです。