アメリカのカリフォルニア州ロサンゼルスで開催中のE3。エレクトロニック・アーツブースで大きな存在感を示しているのが、傘下スタジオのDICEが関わっている一人称視点アクション『ミラーズエッジ カタリスト』とマルチプレイシューター『Star Wars バトルフロント』だ。いずれもプラットフォームはPS4/Xbox One/PCで、前者は2016年春、後者は2015年11月に日本でも発売予定。
今回、E3に合わせてDICEのゼネラルマネージャーを務めるPatrick Bach氏にインタビューを行う機会を得たので、両作品についてコンセプトから個人的に気になる部分まで、話を聞いてきた。
オープンワールドゲームとしてミラーズエッジが帰ってきた
――初代『ミラーズエッジ』は僕も好きでしたし、周りの友達も好きでした。でも残念ながらベストセラーにはならなかった。初代のトレイラー(下参照)は今でも燃えるのに、ちょっと過小評価されたゲームだとさえ思います。そんな中で、二作目を作るのは難しかったのでは?
Patrick Bach そんなに大変ではなかったんだけど、確かにオリジナルは素晴らしいゲームでありながら、いくつか欠陥があった。難度が高いとか、アクションに失敗した時の痛手が大きいとかね。チュートリアルすらクリアーできない人もいた。それに約束したものとはちょっと違う世界で、思ったような探索、自由な移動はできなかった。
Bach でも、ベストセラーでこそないものの、人気は結構高かったし、実際のセールスも悪くなかった。優れたゲームだ。そして自分たちでもこのゲームが好きだったんで、一回「ミラーズエッジとは何なのか」を考え直して、真の核を取り出そうと思ったんだ。そうすることで、欠陥をなくした上でリブートできる。そこで出てきたのが3種類の柱だ。
1.Faithというキャラクターとストーリーを深く知れること。そして彼女がヒロインになれるようプレイヤーが助ける。
2.気持ちよく移動してプレイできること。誰でもプレイできるようにアクセスを良くする。
3.フリー・ランニング。シティを自由に動き、自分の進め方を見つけられること。それにはシティ自体の情報もスッと入ってこないといけない。どんな所で、それぞれどんな性格の場所があるか?
そしてゲームを作り直していくにあたって新しい世代のコンソールを検討して、このゲームの開発にゴーサインが出た。作りたいゲームを作れるところまで来たわけだ。一度要素を整理したので、とっつきやすさやオープンワールドならではのデザイン、自由な動きを体験してもらえると思うよ。
――そう、前作がミッションベースだったのに対して、今回はオープンワールドゲームになっているのも大きな違いですね。前作ではそのミッションで進むべきルートを見失ってしまうとどうにもならなくなって、Faithが途端に弱く見えだしてしまうということがありました。オープンワールドだとさらに道を見失いやすくなりますが、どのようにプレイヤーを助けますか?
Bach そこは努力した部分だね。前作のようにどこだったら行けるのか試行錯誤を強いるのではなく、行きたいところ・行けるはずだと思うところには容易に行けるようにした。
前作ではナビゲーションシステムとしてランナーズビジョン(通るべき場所が赤く見える)があったけど、今回はそれをGPSスタイルのシステムにした。クルマのナビみたいに、途中でルートを変えればオススメの通過ポイントを再計算して表示してくれる。完全にワールドに統合してあるよ。
――一人称視点のアクションは、酔いとの戦いでもあります。たとえば『グランド・セフト・オートV』の新世代/PC版では、ローリングするような場合は一時的に三人称視点にするようなオプションもありました。
Bach DICEは一人称視点を長いこと手掛けてきたから、酔わないように努力しているよ。プレイできない人もいるとは思うんだけど、それは仕方ないこと。一人称視点でキャラクターに没入して、自分がFaith自身だと感じて欲しいゲームだから、そこを変えてしまうと経験が違ったものになって、ユニークな部分がなくなってしまうからね。
――なんでこんな質問をしたかと言うと、これを聞きたかったからなんです。VRモードはサポートするんでしょうか? というのは、VRだと酔いは大きな問題になるので。
Bach 面白いとは思うんだ。我々が使っているFrostbiteはVRをサポートできるしね。でも今それについて話せることはないな。
――ところでリニアなゲームからオープンワールドのゲームに変わって、プレイ時間はどれぐらい変わるんでしょうか?
Bach それもまだ言えないけど、選択肢が増えたからプレイヤーによって大きく変わるということはお伝えしておくよ。みんな同じようにプレイするわけじゃないからね。
――新しいアクションは増えていますか?
Bach スイングして回り込むようなムーブが出来るようになったし、戦闘も違う。機敏に動けるように全体的にシステムをやり直したよ。ゲームエンジンも変わったので、仕込めることも増えた。よりオープンでダイナミックに、Faithが優れたランナーであることを感じられるようになっていると思う。
イウォークにはなれないけど……
――『Star Wars バトルフロント』についても少し聞かせてください。世界で最も有名なIPです。ビジュアル的には非常にリアルになりました。みんなルークやベイダーになりたいですが、彼らが複数いるわけにはいかないし、リアルなだけにヒーローの扱いは難しいですよね。どう設計しているんですか?
Bach 詳細には触れられないけど、基本的にはゲームモードによってヒーローのバランスや扱い方を変えている。例えばE3で見せているモードでは、1人のルークとベイダーしか同時に登場することはない。でもゲームには他のヒーローもいるわけだ。出来るだけスターウォーズとしておかしくならないような努力をしているとは言えるかな。
――ちなみにウィケットとか、イウォークとしてプレイできることは……。
Bach うーん、ノーだね。使いたい?
――彼らは勇敢な戦士ですよ! できればプレイしたいです! では戦闘機から『バトルフィールド』みたいに飛び降りることはできるんでしょうか?
Bach それもできないね。
――それはできないほうがいいと思ってたんで良かったです! ところでFPS/TPSでは、発売日に買って最初はプレイしたけど、忙しくてなかなか触れない間に追いつけなくなって、遊ぶのをやめちゃうことがあります。スターウォーズファンには年齢的に忙しい人も多いと思いますが、こういった点はどうでしょうか?
Bach 同レベルのプレイヤー同士のマッチメーキングができるだけうまく行くように、いろいろ研究調査をして努力しているよ。
――こんなに早く発売できるとは思わなかったんですが、早く開発できた理由は?
Bach ちっとも早いとは思ってないんだ。
――でもディズニーとの契約が発表されてから2年ぐらいですよね?
Bach 大体そんなところだけど、まぁゲームを作るのは得意だからね。
――DLCやフリーアップデートは期待していいんでしょうか?
Bach イエス。ローンチ後にも「ジャクーの戦い」をフリーアップデートとして提供するからね(予約した場合は先行プレイが可能)。新作映画の「スター・ウォーズ/フォースの覚醒」へと繋がるもので、映画より先にバトルフロントでジャクーに降り立てるってわけさ。
――このグラフィックならたまらんことになりそうですね! ところで開発する上で、ディズニーとルーカスフィルムとの関係はどうですか?
Bach うまく行っているよ。ライトセイバーにしてもTIEファイターにしても、ルーカスフィルムにはオリジナルの映画で使ったものをスキャンさせてもらっている。それそのものを取り込んでるから、ライトセイバーはちゃんとライトセイバーだし、TIEファイターは……TIEファイターだ。
――ところで本当にライトセイバーで近接戦闘できるんですか? トレイラー用の演出とかじゃないですよね?
Bach 見てもらったとおり、ちゃんとできるよ!