剣と剣の“ガチンコ勝負”に魂が燃える!
ユービーアイソフト恒例のE3サプライズタイトル。E3 2015では2本のサプライズが発表されたが、ひとつは『Tom Clancy's Ghost Recon Wildlands』だった。そして、もうひとつのサプライズタイトルが、ここに紹介する『For Honor』だ。
ユービーアイソフト モントリオールスタジオがPS4/Xbox One/PC向けに開発している本作は、3人称視点で描かれる“Melee Combat”アクションゲームである。ちなみに“Melee”とは混戦を意味する言葉。そんな『For Honor』のマルチプレイデモを体験できたので、そのインプレッションをお届けしよう。感想を先に言ってしまうと、重厚な剣士が大軍を相手にした大乱闘をくり広げる、まさに重量級のアクションゲームとなっていた。
西洋甲冑に身を包んだ騎士、荒々しさ全開のバイキング、どこか神秘的な雰囲気を漂わせるサムライの3勢力がしのぎを削る世界で、プレイヤーは好きな勢力を選んで、戦いに参加することになる。
今回体験できたデモは、騎士とサムライに分かれて戦う、4対4のチーム戦。勝敗のカギを握るのは、それぞれのチームに設定されたポイントだ。敵プレイヤーを倒すか、相手チームの陣地を奪うと、自チームに1000ポイントが加算される。1000ポイントを取られたチームのメンバーは、ポイントが1000を下回らない限りはリスポーン(復活)できなくなってしまう。敵のリスポーンをすべて阻止(最後のひとりを倒す)できたら勝利となる。しかし、敵に自チームの陣地を取られると、今度は1000ポイントが奪われる。この1000ポイントのラインをお互いがどれだけ維持できるのかが、重要なようだ。今回のチーム分けはスタート位置が異なるだけの意味合いだったが、ほかのゲームモードでは、ディフェンスとオフェンスに分かれることで役割の異なる戦闘も楽しめるそうだ。
チーム分けでは重量感ある見た目と大剣に心を奪われて、騎士サイドを選択。城門が破られるデモとともに、ときの声を挙げる大勢の自軍兵士(NPCと仲間のキャラクターで構成されている)が登場し、そのまま一気に塊となって敵集団の中に突っ込む。向こうからも同じように大量のサムライが突っ込んできて、あっという間に大乱戦。NPCどうしも斬り合うなか、敵のプレイヤーキャラクターに近づいていき、いざ勝負を申し込む! 本作の戦闘システムがじつに独特で、上段、右、左と剣を構える位置が右スティックと連動しており、敵が上から斬りかかってきたときにこちらも上段を構えるとガードできる。強攻撃が当たればガードをはじき返せることがあり、相手がひるんだ隙に斬撃をたたき込むことも可能だ。ちなみに、騎士の強攻撃はサムライのガードをはじきやすい印象を受けたが、サムライの攻撃はスピードが速くて一撃のダメージが大きかったので、各キャラクターによって固有の能力があるのだろう。バランスはしっかりと調整されているようだ。
ひとりの敵に対して複数で襲いかかることもできるが、あまりひとりに固執していると、ほかのプレイヤーに陣地を奪われかねない。そこで、こっそりと集団から離れて敵の陣地に向かってみたところ、相手も同じことを考えていたようで、ふたりのサムライが待ち構えていた。あっという間になます斬りにされて終了。
今度はおとなしく『無双』気分でNPCをめった斬りにしていたら、意外としつこいうえに数も多くて、徐々に苦戦を強いられる。あわてて自陣に戻ろうとしたところを敵プレイヤーキャラクターの追撃に合い、終了……。という流れで、単純なアクションゲームかと思いきや、戦場の全体的な流れや状況を把握していないと1000ポイント以下を維持するのは難しい。今回のフィールドはシンプルな構造の城だったが、より入り組んでいたり高低差があるフィールドだった場合は、味方どうしで役割を分担するなどの戦略を立てないと、勝利は難しいだろう。
やはり特筆すべきは前述の通り、シンプルながら読み合いが重要になる剣戟アクションだ。大勢の兵士の剣と剣がぶつかり合う音と怒号が響く中、敵と1対1で対峙したとき、向こうがどこを攻撃してくるのか考えながらじりじりと間合いを縮めていく時間は、スリリングでもあり、うっとりするような時間でもある。FPSで言うと、狙撃兵どうしがお互いの位置を探しあっている感覚に近いかもしれない。
とにかく、映画『ロード・オブ・ザ・リング』や『グラディエーター』の合戦シーンに身震いしてしまうような方は、同じ感覚が味わえることは確実。機会があれば、ぜひプレイしていただきたい。シングルプレイも可能とのことだが、詳細はまだ明らかになっていない。まずは日本での発売を願うとしよう。サムライが出るんだし!