ゲームのカギを握るトッド・ハワード氏が登壇

 2015年6月16日~18日(現地時間)、アメリカ・ロサンゼルスで開催されている
世界最大のゲーム見本市“E3(エレクトロニック・エンターテインメント・エキスポ)2015”。数々のタイトルが発表される中でも注目なのは、現地時間6月14日に開催されたベセスダ・ソフトワークス初のE3カンファレンス“Bethesda's E3 Showcase”で初公開された『フォールアウト4』だろう。
 ベセスダ・ソフトワークスのブースでは、トレーラーにも登場した“Mr Handy”型のロボットのモデル(動いたり軽口を叩いたりするので、つねに人だかりができていた)や、限定版に付属する情報デバイス“Pip-Boy”の実物大モデルなどの展示で盛り上げていたが、2015年6月16日にはブース内のステージに、本作の開発を手掛けるBethesda Game Studiosのトッド・ハワード氏が登壇。そこで語られた『フォールアウト4』の情報を紹介する。

『フォールアウト4』のさらなる詳細をトッド・ハワード氏が語った! トークイベントの模様をお届け【E3 2015】_02
『フォールアウト4』のさらなる詳細をトッド・ハワード氏が語った! トークイベントの模様をお届け【E3 2015】_03
▲ベセスダ・ソフトワークスのブース内では、あちこちに本作関連の展示が華を添えていた。
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▲トッド・ハワード氏の登壇に、多くの人が来場。イベント後もたくさんのファンに囲まれていた。

作り込まれていない部分はない

 満を持しての公開時に関しては「反応はとてもよく、このゲームが戻ってくることを望んでいた人たちにとっても、素晴らしいひとときを過ごせた。ようやく話ができるようになったのはうれしい」とのこと。
 非常にディテールにこだわっているという話の例としてコンピューターパネルの画面を挙げたことについては、「何かを描くときには、ディテールにこだわりたい。たとえば『The Elder Scrolls V: Skyrim』では、コンセプト・アーティストが時間をかけてディテールを築いた。内部でも“なぜ、こんなに時間をかけるのか”と話していた。ショウケースでコンピューターパネルを見せたのは、我々がどれだけディテールにこだわっているを伝えたかったからだ。もっとよくなる、もっと入れられるとこだわっているので、作り込まれていない部分はこのゲームにはない」と断言。さらにPS4とXbox Oneでの開発については「進化したグラフィックスには満足している。ディテールをよりダイナミックに表現できるメモリも必要で、広大なオープンワールドではローディングの速さが重要となる。自由に何かを動かすことで環境に何らかの作用を及ぼせるし、いろいろなものを集めて、自分だけのものを作れるようになった。これで、世界でひとり静かにたたずんでいると、実際にそこにいるかのような不思議な感覚を味わえるだろう」と語った。

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 本作のゲームエンジンには“Creation Engine”の新たなバージョンが採用されており、なかでも特徴的な“Dynamic Volumetric Light”については「壊れた家に太陽の光が落ちていて、その光が時間とともに徐々に動いていく。そんな環境を表現するためのもの」であり、青い空に見られるような生き生きとした色彩に関しては「気持ちをリセットするために『フォールアウト3』をプレイし直したが、そのクレイジーな環境はいま見ても悪くない。しかし、18時間連続でプレイしてみて、ちょっと落ち込んでしまった。すでに破壊された環境は、ほぼ茶色で埃だらけだったからだ。そこで、リードアーティストがあらゆるカラーを使ってバランスを取るようにした。天候も変わるし、『フォールアウト3』のような環境も残っている。多様性を持たせたかった」と、あえてカラフルな色彩を取り込んだことを解説。「ゲームをプレイしていて、こういった変化を経験できるのは、とても大事なことだ」と語った。さらに放射能汚染で放電現象が発生している“海”といったさまざまな変化を持つステージが用意されているとのことだ。

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MODのアイデアやツールをゲームに取り入れる

 ストーリーについて言及されると、「ゲームではいろいろな選択を通してストーリーが語られるわけだが、『The Elder Scrolls V: Skyrim』ではプレイヤーの自由とオープンワールドと引き換えに、ストーリーが犠牲になってしまった。この点を“修正する”と言うと正しくはないが、オープンワールドであることをより活用できるように変えている」と答えた。ゲームの世界で好きなようにプレイして、好きなキャラクターになれるという点はベセスダ・ソフトワークスのゲームに顕著な側面であり、本作に関しても「それが、ゲームを素晴らしいものにする。ゲームの世界でプレイヤーが“自分はそこで何をして、何になりたいのか”と考えた時点で、それが個人的な経験となる。プレイヤーにイエスと答えられることが増えれば増えるほど、いいゲームになるだろう」と、『フォールアウト4』の自由度に期待が高まる回答を述べてくれた。


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 進化したクラフティング要素については、「世界に落ちているものを使って、好きなものが作れる。これは『Minecraft』などから刺激を受けたものだが、『フォールアウト4』にぴったりのアイデアだと思う。MOD(改造)に関するアイデアやツールをゲーム内に取り入れられないかと考えた」結果、生まれたと解説。あちこちにあるクラップ(単体では意味を成さないジャンク)にはコンポーネント(構成要素)が設定されており、これらをテープや糊を使って組み合わせることで、価値のあるアイテムが作れるようになるという。この要素は武器にも採用されており、膨大な組み合わせが楽しめそうだ。
 また、ユーザー作成コンテンツについて、「来年の始めには、クリエーションキットを出す。PCが先行で、Xbox Oneでもリリースする」と明言。ただし、PS4版については「いまは開発中なので、はっきりといつ出せるかはまだ言えない」とのこと。PCゲームで盛んなMODが家庭用ハードで実装できる環境が整ったことで、ぜひ挑戦したくなったそうである。

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 最後に、前作でも犬の“DOGMEAT”が仲間となってくれたが、今回の犬は前作と同じく死んでしまうのかという問いに、「敵の攻撃でけがをしたり動けなくなったりすることはあるが、死ぬことはない」と明らかにし、観客は歓声と拍手で答えていた。ちなみに“Mr Handy”型のロボットも仲間になってくれるようだ。どこか軽妙な彼(?)との会話が、冒険にユーモアをもたらしてくれることは間違いない。
 当然ながら、まだまだ全貌が見えない『フォールアウト4』。とはいえ、国内での発売は今冬予定と、そこまで遠くない。いまはただ、続報を待つのみだ。

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