Oculus VRが、サンフランシスコでPC用VRヘッドマウントディスプレイ“Oculus Rift”のプレスカンファレンスを開催。来年第1四半期の市販版発売に向けて、最新情報を発表した。

視覚だけじゃなく手もVR世界にダイブ!

 カンファレンスでは、気になるOculus Rift本体の価格は発表されなかったが、E3に向けた最大のサプライズとして、専用コントローラー“Oculus Touch”が発表された。両手に持つ小型ワイアレスコントローラーで、Oculus Rift本体と同様にセンサーで位置を検出し、プレイヤーの両手をVR世界の中に反映したり、VR世界の中のものをあたかも自分の手で掴んだり操作するような表現が可能となる。
 Oculus Touchは2016年前半に発売予定で、Oculus Rift製品版と同時に予約を開始するという。E3ではこのコントローラーのインタラクティブ性を体験できる“Toybox”デモを公開予定となっている。

Oculus Riftの製品版デザインが正式公開。専用コントローラーやXbox Oneとの連携、スクウェア・エニックス参加なども判明_05
▲片手それぞれに1アナログスティック2ボタン1トリガーの構成。
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▲プレイヤーの手の位置を検出するので、実際の手の位置をキャラクターモデルに反映させ、VR世界に自分の手が入ったかのような表現も可能にする。

XB1コントローラーを同梱予定。VR空間でHalo可能!

 またコントローラーでは、Oculus Rift製品版にXbox Oneコントローラー(Windows 10対応)が同梱されることが発表。従来型の操作を行うようなゲームではこちらを使い、将来的なVR特化型の体験を模索するゲームやアプリにはOculus Touchを用意したという形だ。

 そしてXboxとのコラボレーションはこれだけではない。Xbox部門を統括するフィル・スペンサー氏が登壇して見せたのは、Xbox Oneからゲーム映像をストリーミングして、VR空間の部屋でゲームを遊ぶというユニークなデモ映像。Xbox OneからWindows 10にゲーム映像をストリーミングしてプレイできる機能はすでに発表されているが、それをWindows 10+Oculus RiftのVR空間に持ち込めるというわけだ。いわば、VR空間のシアターで映画を見るOculus Cinemaのゲーム版といったところか。

 これによってゲーム内容自体が何か新しくなるわけではないのだが、Oculus VRとサムスンが共同開発した“Gear VR”のOculus Cinemaで映画を見た経験から言うと、これはこれでちょっと気分転換に面白い体験になるハズ。ホームシアターや自分専用映画館はもちろん、現実では不可能な月面のシアターや虚無空間でHalo5を遊んだりできるのだ。

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▲ホームシアターでXbox Oneのゲームを遊んでいるかのような体験。

センサーや取り外し可能なヘッドフォンなど、新たな本体仕様も判明

 さらに、製品版の正式なデザインも公開。驚いたのは、Rift本体の位置を検出するセンサーがこれまでの開発機やプロトタイプで使っていたWebカメラ風の物から、小型のスタンド付きのシンプルでスタイリッシュなものになっていたこと。

 座りプレイから立ってのプレイまで幅広く対応し、センサーをマウントする場所をあれこれ考えずとも、ディスプレイの横あたりにスッと置いて角度を調整すれば済む構成になっていて、過去に座りプレイを公式推奨していたことを思い返すと興味深い。

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 本体そのものは登壇者の取り扱いを見ても非常に軽そうで、プロトタイプ“Crescent Bay”同様にオープンエアー型のヘッドフォン機能も同梱。これは取り外し可能で、代わりに自分のヘッドフォンを使うこともできる。

 幅広いユーザーが快適に利用するための調節性も重視しており、メガネ使用者の装着を考慮したスペーサーがあるほか、顔との設置部分のフォームは2種類用意。個人的には鼻が低いアジア人対応を期待したい。さらに人によって異なる瞳孔間距離は、本体底部のダイアルで調整できる(これを使用者に最適化するのとしないのでは快適さや没入感が大きく異なる)。

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 一方、数日前にリークされた画像(正体は過去のプロトタイプ)にあった前面カメラは確認できず。Gear VRでは前面カメラを使って、「VR体験を一時停止して、ヘッドマウントディスプレイを脱がずにそのまま外部を見られる」というユニークな機能が搭載されていたが、モバイルVRであるGear VRと部屋でプレイするOculus Riftの違いを考慮して、選択と集中を行ったのかもしれない。

スクウェア・エニックスも参戦予定! 大手スタジオの新作も発表

 コンテンツ面では、早くから対応を表明しているアイスランドCCP Gamesなど、さまざまなスタジオがOculus Rift向けにコンテンツを開発中であることが発表された。その中にはスクウェア・エニックスの名前もあり、傘下のアイドス系のコンテンツなのか、あるいは日本のチームによるものなのか気になるところ。

 そのほか名前が挙がっているスタジオでは、『The Order:1886』のReady at Dawn、『Metro: Last Light』などの4a Games、『ロックバンド』シリーズのHarmonixなども対応を表明。『The Order:1886』のロンドンは難しいにしても、メトロシリーズの廃墟を歩いたり、Oculus Touchを使って大観衆の前で演奏するだけでも楽しそうだが……。

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 また『ラチェット&クランク』や『Resistance』シリーズ、近作では『Sunset Overdrive』などを手掛けてきたスタジオInsomniac Gamesは、Oculus Rift専用タイトルとして三人称視点のVRアクションアドベンチャーゲーム『Edge of Nowhere』を発表。

 同じくGunfire Gamesが発表した『Chronos』も三人称視点のアクションアドベンチャーとなっており、VRゲームと聞いてイメージしやすい一人称視点ではなく、どちらも三人称視点を選択しているのが興味深い。
 E3では『Edge of Nowhere』や『Chronos』、CCP Gamesのスペースフライトシューティングゲーム『EVE Valkyrie』、そしてスポーツゲーム『VR Sports Challenge』などのタイトルが体験できるそうで、本日から専用アプリを通じたデモの予約が行われる。

 またコンテンツプラットフォームとして、Gear VR同様にストア機能とライブラリー機能を統合した“Oculus Home”を投入する。Gear VR版Oculus Homeとは異なりフレンド機能なども搭載しており、ステージでのデモではフレンドリストから友達が遊んでいる『EVE Valkyrie』に参戦するという機能も紹介された。
 マルチプレイVRはさまざまなあり方が模索されている分野で、例えば互いにアバターで参加するVRチャットやVR散歩、VR麻雀、VRカードゲーム/ボードゲームなんかがあっても面白そう(Oculus Touchがあればコマを動かしたりダイスを振ったりもできるわけだ)。ここから親会社のFacebookが期待する新たなソーシャル空間を生み出せるか注目したい。

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