日本のインディーシーンを代表するスピーカーによるセッションは一見の価値あり

 2015年5月8日~10日に、東京・秋葉原UDXにて開催予定の東京インディーフェス(TIF) 2015(8日はビジネスデイ)。東京発のインディーゲームのイベントとして注目を集めるTIFだが、イベントの大きな特徴のひとつに、豪華開発陣が登壇してのワークショップとパネルセッションが挙げられるだろう。日本のインディーシーンを代表するクリエイター陣によるトークは、インディーゲームでの開発を目指す開発者(とその候補生)にとって、大いに参考になるのではないかと思われる。

 いよいよTIFの開催を直前に控え、ここでは会期中に行われるパネルセッションにて登壇予定のトイディア 代表取締役 松田崇志氏へのインタビューをお届けしよう。トイディアといえば、2014年に配信を開始したスマートフォンアプリ向けRPG『ドラゴンファング』がAndroidとiOSで累計100万ダウンロードを突破した、注目の開発スタジオ。松田氏にTIFの意義などを聞いた。

トイディア松田崇志氏に聞く「東京インディーフェスはインディーシーン活性化の起点になる」【TIF 2015】_03

■トイディア
代表取締役社長 松田崇志氏

なぜ東京でインディーのイベントが開催されないのか、不思議だった

――まずは、松田さんがTIFと関わることになったきっかけを教えてください。
松田 TIFを主催するアレックスさんから、共通の知人であるピラミッドのジェームズさんを介して、「日本のインディーシーンで、元気がよくてゲームについて熱く語れる開発者を」ということで、スピーカーとしてのオファーがあったんですね。当社よりも成功している企業はたくさんあるかと思うのですが、「たとえ無手だったとしても、やる気しだいで誰でもゲーム作りができるんだよ」ということを、聴講者にかなり近い距離で話してくれるスピーカーを探していたようで、私にお声掛けいただいたようです。

――それですぐに、TIFの主旨に賛同したのですね?
松田 かねがね、関西にはBitSummitがあるのに、なぜ東京でBitSummitに相当するイベントがないのが、不思議なことだと思っていたんです。ですので、アレックスさんの「インディーゲームのイベントを東京で開催する」という主旨には共感しました。しかも、1回だけじゃなくて、これから毎年、秋葉原でインディーシーンの“いま”を日本全国および世界に伝えていくと言うんです。そう言われたら、断る理由がないです。

――東のTIF、西のBitSummitみたいな感覚で盛り上げていきたい?
松田 もちろん、京都は地理的には日本の中心に位置するので、九州方面の方も来やすかったりするでしょうが、東京にはインディーメーカーがいっぱいあるので、東京で開催されてもおかしくないはずです。別に競い合うという発想ではなくて、情報の発信源はひとつである必要はないんです。東京にはTIFがあるし、京都にはBitSummitがあるということで盛り上がっていければ、賑やかになっておもしろいのではないかと。

――相乗効果といったところでしょうか。
松田 はい。あと、そのときおもしろかったのが、アレックスさんは講演の内容を指示するわけではなくて、逆に私に対して「どうやってTIFを盛り上げたらいいのでしょうか?」と相談してきてくれたんですね。「今年をきっかけに、TIFをこれから毎年続けていくインディーの祭典を作るとした場合、どういうポイントをユーザーさんやゲーム作りに興味がある人たちに伝えていけば、種まきとして正しいのか?」ということを、真摯に問いかけてくれたんですよ。アレックスさんも、日本中から集めたクリエイターにどういうことをしゃべらせたらおもしろいイベントが作れるかということで、まだまだ悩んでいらっしゃったようで、ピラミッドのジェームズさんからも、「松田、何かアイデアがあるんなら出してくれないか?」と相談を受けまして。

――ゼロからイベントを作り上げるような、ある意味主催者側として関わるような立ち位置だったのですね?
松田 “主催者”というわけではないのですが、心情的には主催者側にグッと入っていった感じですね。「どうやってイベントを盛り上げていったらいいのか?」のアイデア出しは一切出し惜しみしていません。

――ちなみに、アレックスさんにはどのようなアドバイスを?
松田 そのときは、登壇者はある程度決まっているけれど、どういうスピーチをしていただいたらいいのかというのを、アレックスさんが皆さんに提示できていない状態でした。むしろ、お題を出すことが正しいことがどうかも決めかねている感じだったんです。

――ああ、まさに手探り状態だったのですね。
松田 いままで誰もやったことがないイベントなので、どういうカリキュラムだったり、どういうトーク内容が喜ばれるか、わからないのは無理のないところです。そんな中で私が思ったのは、せっかく登壇者の中に東江さんなど、インディーシーンの中では尖った方がいらっしゃるんだったら、こちらのほうから「こういう話がしてほしい」というガイドラインを設けるのではなくて、むしろみなさんのほうで、「いまのインディーシーンで必要なことは何か?」を考えてもらって、話したいことをまとめてもらうのはどうか、ということでした。それで重複したら調整すればいいわけですし。

――ああ、なるほど。語りたいことを語ってもらうのがいちばんですね。
松田 皆さんがどのようなテーマでお話になるのか、私は把握していないのですが、きっと刺激的な内容になるはずです。

――松田さんはどんな内容を伝えるつもりですか?
松田 それは、「乞うご期待!」のほうがおもしろいと思うのですが(笑)、ゲームクリエイターが、ゲームをゼロから作るための戦いかただったり、チームのマインドだったり、そのへんのお話をするつもりでいます。サラリーマン的なゲーム作りではなくても、ゲーム作りの腕前に関して自信さえあれば、少ない人数でも海外にゲームを届けられるといった内容をお伝えしたいですね。

トイディア松田崇志氏に聞く「東京インディーフェスはインディーシーン活性化の起点になる」【TIF 2015】_02