“生活”と“ゲーム”が一体に
2015年4月29日、TSUTAYAなどでおなじみのCCCグループに所属するT-MEDIAホールディングスが都内にて、“オンラインゲーム領域の新サービス記者説明会”を実施。リアルとネットが連動した新ゲームプラットフォーム“TSUTAYA オンラインゲーム”のサービスを開始することを明らかにした。ベータ版のサービスは本日(4月29日)よりスタートしている。
[関連記事]
※【リリース追記】ゲームプラットフォーム“TSUTAYA オンラインゲーム”が本格スタート
最初に登壇したのは、T-MEDIAホールディングス 執行役員 山内智裕氏。山内氏は、「なぜTSUTAYAがオンラインゲーム事業を始めるに至ったのか?」の経緯を説明してくれた。まず山内氏は、T会員登録者数5304万人、全国にTSUTAYAが約1450店舗と、TSUTAYAが圧倒的なユーザー数などを持つことを説明。その戦略の要は、“エンターテインメント”、“Tポイント”、“インターネット”の3本柱にあるとした。今回展開する“TSUTAYA オンラインゲーム”は、その“インターネット”の柱の事業として期待されるもので、ベースになっているのは、同社が2011年より展開している“T-SITE”だ。
“ライフスタイル提案の場を作る”ことを目的に複合商業施設としてスタートした“T-SITE”は、インターネットコンテンツとして展開。“エンターテインメント領域での顧客接点強化”や“ライフスタイル領域のサービス拡大”などを戦略として掲げることになる。集客の中核になるのがゲーム事業だという。
ここで山内氏は、TSUTAYAのビジネス展開のキーワードとして、“One STOP”、“O2O(オーツーオー)”、そして“クリエイター支援”の3つを挙げてみせる。“One STOP”とは、ひとつのお店で本やDVD、CD、ゲームなど、さまざまなコンテンツを購入できるようにしたことを指す。「リアル店舗で成功した要因は、この“One STOP”が大きい」と山内氏。ネットサービスの“T-SITE”でも、この“One STOP”を推し進めているという。
ふたつめの“O2O”を説明するうえで試金石となるのが、3年前に始まった“T-SITE GAME”。そこで展開されたゲーム『Tの世界』は、全国のTポイント提携店舗でTカードを提示して買い物をすることで、ゲーム内で育成している街がどんどん大きくなっていくという、リアルとネットが融合した新しい形のオンラインゲームだったという。この『Tの世界』の効果で、実際の店舗への集客力が2倍以上になったというから驚きだ。利用者増よりもうれしかったのは、「“ゲーム”を起点として生活を楽しむユーザーの姿が見えたことです」と山内氏。そこで、“視覚”や“聴覚”だけでなく、“触覚”や“味覚”、“嗅覚”など、“五感”で楽しむゲームプラットフォームを目指すというTSUTAYAが求めるゲームの方向性が見えたというのだ。言ってみれば、“生活”と“ゲーム”が一体となったスタイルだ。
プレゼンターを、プラットフォーム&マーケティングプロデューサー 立山聡瑠氏にバトンタッチして説明されたのは、具体的な新規サービスの内容。立山氏は、先述の『Tの世界』を“TSUTAYA オンラインゲーム”で展開することや、“O2O”タイトルだけではなく、“ミドルゲーマー向けエンターテインメント系タイトル”として、コーエーテクモゲームスの『100万人のウイニングポスト』やコアエッジの『バハムートクライシス ゼロ』、ライオンズフィルムの『MazeMyth(メイズミス)』などを投入予定であることを明らかにした。あわせて、2015年4月28日~5月31日にかけてオープニングキャンペーンが実施されることもアナウンスされている。こちらは、登録するだけで、もれなく最大10万ポイントがプレゼントされるという、豪華キャンペーンとなっている。
“O2O”ということでは、立山氏の口よりリアル店舗と“O2O”連動のイメージが提示された。一例として提示されたのは、リアル店舗で買い物をするとレアカードをゲットできたり、ショッピングや食事をするとゲーム内で経験値を獲得できたり……といった連動例。端的に言えば、「日常のお買い物をするだけで、ゲームでお得なことがいっぱい起こる」(立山氏)というわけだ。
おつぎに登壇したのが、ゲームプロデューサーの平岡功臣氏。平岡氏は、“TSUTAYA オンラインゲーム”のオリジナルタイトル3本を紹介した。まず1本目はファイブスターズゲームとのコラボによる『PROJECT-TO』(PC/スマートフォン)。こちらは提携した店舗の利用履歴と組み合わせることで、ゲーム内に作ったお店を育てられるというシミュレーション。記者説明会では、ファイブスターズゲームの代表取締役社長 渡邉幹雄氏が登壇。「“TSUTAYA オンラインゲーム”は、生活がゲームになり、ゲームが生活になる唯一のオンラインプラットフォームです」と、その魅力を説明したうえで、“クルマのガソリンを満タンにしたらゲーム中のプレイヤーの体力がMAXになる”や、“TSUTAYAで借りた映画のキャラクターがゲームに出てくる”といった連携例を紹介。「生活の中からいろいろな行動を思い浮かべるだけで、おもしろそうなアイデアはいくらでも浮かんできます」と、大いにクリエイティビティを刺激されているふうであることを示した。
おつぎに紹介されたのが、モバイルファクトリーとの共同運営による『にゃんこプレジデンッ!』(スマートフォン)。同作は縄張りを争奪する位置情報ゲームとのことで、なんと、本日(4月28日)からサービスが開始されたという。
3本目は、クリーク・アンド・リバー社とのコラボによる『メモリア・ナイツ』(PC/スマートフォン)。本作は、“魔王エニシ”に支配された並行セカイのニホンを舞台に、特殊能力を駆使する主人公たちが、“メモリア”と呼ばれる人々の記憶にある英雄を武器に変え“騎士(ナイト)”として世界を守るというタワーディフェンス型のRPG。“O2O”要素としては、利用履歴連携で、特別な“メモリア”が手に入るかもしれないという。こちらは夏配信予定だ。
そして最後にエンターテインメント系のタイトルとして紹介されたのが、レッド・エンタテインメントとのコラボによるPC用ソフト『東京ハーレム』。当日は、レッド・エンタテインメントの代表取締役社長 名越康晃氏が登場。キャラクターデザインをゆーげん氏が手掛けることなどを明らかにしてくれた。そのほかのゲームの詳細は一切明かされなかったが、ただいまゆーげん氏がもりもりとイラストを上げているとのことだ。名越氏は、“TSUTAYA オンラインゲーム”に関しては、T会員登録者数が5304万人というスケールメリットに触れつつ、「Tポイントをゲームで使えるのは大きい」と、その可能性に言及した。なお、『東京ハーレム』は夏配信予定。ただし、夏は夏でも「この手のゲームはしっかり作らないといけないから」(名越氏)とのことで、「遅めの夏になる」とのことだ。
最後にふたたび山内氏が登壇し、「今日を皮切りに“TSUTAYA オンラインゲーム”を楽しんでください」とコメントし、記者説明会は終了となった。“リアルとネットの連動”により、“TSUTAYA オンラインゲーム”がゲームプラットフォームの事業にどのような新風を吹き込むか、今後に期待したい。
最後に、記者説明会にあわせて公開された画面写真をお届けする。