4月10日に発表されたさまざまな要素について、さらに掘り下げる!
既報の通り、スクウェア・エニックスとコーエーテクモゲームスがタッグを組んで制作中のアーケード版『ディシディア ファイナルファンタジー』(以下、『ディシディアFF』)。本記事では、開発の中軸を担うお三方にお話をうかがう。
※本インタビューは、週刊ファミ通2015年4月30日号に掲載したものに加筆・編集を行った完全版です。
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なぜアーケード用に? なぜTeam NINJAが開発?
――『ディシディアFF』の新作がアーケードで出ると発表されたときは、本当に驚きました。なぜ、アーケードで出そうと?
鯨岡 2012年末ごろに、前作のディレクターの高橋(光則氏)と、「『ディシディアFF』の続編を作りたいね」という話をしていて。そのときは、アーケードで出すことは想定していなかったのですが、その後タイトーさんから「アーケードで『FF』をやりませんか?」という話がきたんです。とはいえ、僕はいまのアーケードゲームの状況がわからない。そこで、実際にゲームセンターへ遊びに行ってみたら……IDカードにデータのセーブができたり、オンラインマッチングができたりと、想像以上に盛り上がっていたんですよ。そうした状況を見て、「『ディシディアFF』はアーケードと相性がいいんじゃないかな」と考えるようになりました。
――アーケードの現場を見て決めたのですね。
鯨岡 はい。パッケージ版を出したとしても、続編ということでユーザーさんは減ってしまう可能性が高いですし、後から有料でキャラクターを配信する形態だったりすると、プレイヤー間で差ができたりもします。それなら、小銭を握りしめていけばすぐに遊べて、キャラクターも揃っていて、という環境はアリだなと。
――サブタイトルなどはつけず、オリジナル版のタイトルのままなのは、何か意図があるのですか?
鯨岡 いろいろな案が出たんですが、僕らがこのアーケード版を本気でやっていることを示すんだったら、タイトルに何も足さずにリブートしたほうがいいんじゃないか、という結論になりました。
――アーケードへの決意の表れなんですね。その開発をTeam NINJAが担当することになったのには、どういった経緯があったのでしょうか。
早矢仕 2013年の年末に『デッド オア アライブ 5 アルティメット アーケード』をリリースした後、タイトーさんから「アーケードでゲームを作ってほしい」というお話をいただきました。それに対して、私は「『FF』のキャラを貸してほしい」とお願いしてみたんです。そうしたら、すぐに「いいですよ」と(笑)。我々は1対1の対戦ゲームはすでに作っているので、複数対複数のゲームを作りたいと提案したところ、「『ディシディアFF』でどうですか」と、逆にご提案をいただきました。
――あれ、これはスクウェア・エニックスさんの関連会社である、タイトーさんが取り持った縁ということになりますね(笑)。
間 言われてみれば……踊らされてる?(笑)
――(笑)。制作は、どういう体制で行っているのでしょうか。
早矢仕 スクウェア・エニックスさん側で鯨岡さんにディレクターとして立っていただいて、制作全般はTeam NINJAが行っています。デザインに関しては、野村哲也さんを始めとする方々に監修をいただいて。ちなみに鯨岡さんは、ずっとうちのオフィスにいますね(笑)。
鯨岡 今日もTeam NINJAさんのオフィスからこのインタビューに来ました(笑)。Team NINJAさんとの仕事は、感覚としては社内チームとほとんど変わりません。僕がお願いしたことを実現しようと、全力で動いてくれます。
――一体となって開発されていると。グラフィックは、野村さんが監修されているということで、相当なこだわりが感じられます。
間 そうですね。野村のほうで相当細かく、きびしく見ています。いま公開されているキャラクターも、最終的なクオリティーではなく、さらにブラッシュアップをかけていきます。
早矢仕 『ディシディアFF』はアーケードタイトルではありますが、PS4世代のクオリティーで『FF』オールスターが見られる初のタイトルになります。期待に応えられるクオリティーでなくてはならないという、いい意味でのプレッシャーがすごくあって(苦笑)。もちろん、うちで作るのであれば、女の子はかわいくしつつ、60fpsで遊べるものをしっかり作らなくてはなりませんが、そのあたりについての手応えはかなり感じています。
――……Team NINJAの女性キャラといえば、“やわらかエンジン”ですが!?
早矢仕 絶対言われると思いました(笑)。我々からは、「入れられますよ」というご提案はさせていただいています。
間 いまは実装されていないのですが、一部のお客様から強い要望をいただくであろうことは間違いないですよね……どうしよう(笑)。
――そのあたりは、追い追いですね(笑)。ロケテスト版をプレイさせていただきましたが、これだけ美麗なビジュアルが60fpsでヌルヌル動くというのは、相当な工夫や苦労があったのだろうと察せられました。
間 早矢仕さんが、「そこは譲らない」と、最初からおっしゃってくださって。
早矢仕 60fpsかどうかは、長く付き合っていくアクション系のゲームでは非常に大事です。最初は“ビジュアルが綺麗”という点で注目されたとしても、毎日遊びたいと思ってもらうには、ストレスのないシンプルな快感が何よりも必要になります。スタッフが、「60fpsじゃなくていいですか?」と聞きにくるんですけど、「ダメ」と言い続けていて(笑)。現場は本当にがんばってくれていますね。ユーザーの方は、先日体験版が配信された『FFXV』など、すばらしい映像技術を盛り込んだゲームも目にされるわけです。『ディシディアFF』は、そことは違う“凄さ”を実現しなければいけない。コーエーテクモゲームスには、技術支援部という応援部門もあり、そのスタッフも総力を結集して磨きあげています。弊社の作品としても、新しい領域に踏み込む、一歩抜けた絵作りができていると思いますよ。