これまでにない形のハンティングアクションに懸ける思い

 週刊ファミ通2015年4月16日発売号では、『モンスターハンター スピリッツ』の最新情報を4ページにわたって紹介した。『モンスターハンター』シリーズプロデューサー・辻本良三氏とシリーズディレクター・藤岡要氏へのインタビューをお届け。両氏が語る『モンスターハンター スピリッツ』に懸ける思いとは……?

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▲『モンスターハンター』シリーズプロデューサー・辻本良三氏(写真右)とシリーズディレクター・藤岡要氏(写真左)。

モンスターにスポットを当てたかった

――本作のコンセプトをお聞かせください。

辻本良三氏(以下、辻本) シリーズ10周年を迎え、新たなものにチャレンジしたい気持ちが芽生えてきたとき、マーベラスさんからお話をいただき、『モンスターハンター スピリッツ』が始動したんです。このとき思っていたのが、モンスターにスポットを当てたいということです。『モンスターハンター』シリーズのモンスターは、つねに狩る対象として存在していましたが、もう少し身近に感じてもらいたいし、カードが出てきたときにうれしいのはモンスターだと思うんですよね。初期段階で、モンスターの収集と育成を融合したい、という話をしました。“複雑なことはしたくない”ということも踏まえて、現在の形に落ち着きました。

――東京ゲームショウ 2014で発表されたときには、もう筐体ができあがっていましたね。

藤岡要氏(以下、藤岡) プロジェクトが始動してから1年半くらい経ちましたが、マーベラスさんはアーケードゲームを作り慣れておられるので、企画書でのやり取りが落ち着くころには、現場も動き出していて(笑)。フットワークの軽さもアーケードならではですね。実物を見られたので、もっとああしたい、こうしたいということが言いやすかったです。『モンスターハンター』の主役はハンターですが、そこもうまく融合できたと思います。“アクションゲームは苦手だけど、『モンスターハンター』のモンスターは好き”という人にも気軽に触れてもらえればいいなと。少しでも多くの方に楽しんでいただけるものにしたいので、バランスや設計など、細部まで制作に関わっています。

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▲トモ(モンスター)の収集、育成、そして派手なアクションが楽しめる。

モンスターを育成する楽しさ

――モンスターが味方になるのは新鮮ですね。

藤岡 企画当初の時点で、ハンター対ハンターという構造にはしたくなかったんですよ。一方で、モンスターは人気があるのでユーザーの近くに置きたい。そこで、ともに協力してモンスターを討伐する楽しさ、うれしさを感じられるように、また、シンプルかつ長く遊べる仕組みということで、いまの形になりました。

――モンスターが成長する要素がありますが、成長要素の狙いについてお聞かせください。

辻本 やっぱりカードが出てくると、それがどのモンスターでも愛着が湧くんですよね。最初は幼体という状態で出てきますが、いっしょに狩りをしていくと、ステータスが上がっていって成体に近づいていく仕組みです。最初はマスコット的なキャラクターから、どんどん巨大化していき、そうして成長させていく過程で感情移入度が高まると思うんですよ。育てたドスランポスで、リオレウスを倒せるかな? みたいな。ゲームとしてかなり育てられるようになっているので、ドスランポスでもリオレウスを討伐できるバランスにはなっていますよ。プレイヤーごとのこだわりを活かした狩猟を楽しめるんです。

――ドスランポスもステータス的にはリオレウスとそれほど変化はない、ということになるんですか?

辻本 いえ、強い弱いで言えばリオレウスのほうが強いです(笑)。ですが、モンスターの特徴を活かした狩猟をすれば、どれも強くはなりますよ。

藤岡 ちなみに、モンスターカードには、ハンターの武器としてのパラメーターも設定されています。モンスターの特徴を活かした武器になっていて、たとえば、ネルスキュラの場合は睡眠が得意なので、睡眠属性のついた武器になる、といった具合です。

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▲モンスターの種類や成長に応じて、さまざまな種類のカードが手に入る。

アーケードならではの難しさ

――ロケテストでの印象はどうでしたか?

藤岡 5~10分くらいでゲームの仕様を理解していただく必要があって、アーケードならではの雰囲気というか仕組みを、久しぶりに感じました。

辻本 アーケードはゲーム以外に筐体も作らないといけませんが、そこが楽しかったですね。試作段階ではディスプレイ側のボタンが目立たなかったので、押すところを光らせよう、とか(笑)。

藤岡 やっぱりわかりやすさ、理解度が重要で、ロケテストを見ながらいろいろメモしたり、皆さんのご意見をうかがったりしました。ボタンが同じ色だから、どちらを押したらいいかわからない、とか。ちょっとしたことが重要だなと。

――ところで、このような『モンスターハンター』を作りたいという想いは、昔からあったのでしょうか?

辻本 『モンスターハンター3(トライ)』が終わったときに、やりたいなぁと言っていたうちのひとつがコレです。巡り合わせやタイミングもあり、4年近くかかりましたが、ついに実現しましたね。

藤岡 マーベラスさんとタッグを組ませていただけたことも心強かったですね。こういうジャンルを僕たちはあまり経験していないので、やりたい気持ちはあっても、どうスタートすればいいのかわからなかった。実績のあるマーベラスさんと作っていて、いろいろと勉強になりました。

辻本 僕らの出した意見をマーベラスさんには真剣に受け止めていただいて、お互いぶつかりあっています。ぜひ稼動を楽しみにしてください。

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モンスターハンター スピリッツ
メーカー カプコン/マーベラス
対応機種 ゲーセンアーケード
発売日 6月下旬稼動予定
価格 1プレイ100円~、カード1枚配出
ジャンル アクション / 狩り
備考 シリーズプロデューサー:辻本良三、シリーズディレクター:藤岡 要