仙台、徳島、新潟と、勢いに乗りながら全国を包み込む『PSO2』のエナジー
“境界を超えるRPG”というコンセプトのもと、『ファンタシースターオンライン2』シリーズの一環としてiOSとAndroidでリリースされたオンラインRPG『ファンタシースターオンライン2 es』(以下、『PSO2es』)が、サービスインから1周年を迎える(iOSが5月14日、Androidが4月8日)。これに合わせて、2015年4月8日にセガゲームス酒井智史シリーズプロデューサーと陳智政ディレクターに話を伺う機会を得た。念願のマイショップ機能の公開も間近となった『PSO2es』については、ディレクターの陳智政氏に『PSO2』と歩む今後の展開を尋ね、同席した『PSO2』シリーズプロデューサーの酒井智史氏には、アークスキャラバン仙台の感想や『PSO2』のことなどを語ってもらった。
『PSO2』シリーズプロデューサー 酒井智史氏(右)
『PSO2es』ディレクター 陳智政氏(左)
『PSO2es』の誕生時を振り返る
──『PSO2es』サービスイン1周年おめでとうございます。発表から1周年に至るまでにはいろいろなことがあったと思いますが、率直な感想などをお聞かせください。
酒井智史氏(以下、酒井) 『PSO2』サービスインの前から『PSO2es』のサービス自体は想定されていたものだったのですが、そのサービスに至るまではそれなりに紆余曲折ありました。今回、マイショップ連動が実装されることによって、目指していたうちの“連動”部分というものが、だいぶ達成されてきたと思います。ひとつのいい区切りになるので非常にうれしく思います。
陳智政氏(以下、陳) “境界を超えるRPG”のひとつとして『PSO2es』がスタートしたわけですが、セガゲームスでも挑んだことのない、違うプラットフォームで同じデータを使って遊ぶという点に関してはチャレンジし甲斐のあった1年だったと思います。ここまで支えていただいている皆様のおかげです。アークスキャラバン仙台では直接いただきましたが、ユーザーの皆様からのご声援をいただいてここまで来られました。今後もよりよいものを作りたいと思っています。
──『PSO2es』は、どのように陳さんに託されていったのでしょうか?
酒井 『PSO2es』は、最初に発表したときから製作の体制が何度か変わってきました。そういうなかで、新しいチップシステムを考案してきたのが陳だったんです。新しいものを作ろうというところにすごく情熱もありますし、『PSO2』の開発にもずっと携わっていたので、相当な知識もあります。連動するときにそこが有利に働くこともあると思い、彼に託してみました。
陳 僕自身、スマートフォンのタイトルを扱うのも初めてですし、『PSO2』と連動するコンテンツというところで、いろいろ責任重大かなと思っていました。酒井の考案した“境界を超えるRPG”というフレーズに僕もすごく共感していて、こういうすごいチャレンジができるものを、ぜひとも世に出したいという一心で『PSO2es』を引き受けました。
──チップシステムは陳さんのアイデアだったんですね。おふたりはプロデューサーとディレクターと役職は違いますが、『PSO2es』の開発、あるいは仕事そのものをするうえでどこを重要視されていますか?
酒井 プロデューサーとしては、ゲームが大事にしているコンセプトというものをシリーズすべてのなかで守っていくというところが、やはりいちばんだと考えています。あとは、ファンの皆様にとって「何がいちばん大事なのか」というところをなるべく外さないように心がけています。開発自体の向きが「こっちの方向じゃないな」と感じたら、しっかり軌道修正していくということも大切ですね。
陳 楽しく遊べるものをご提供するというのは当たり前で、それだけでなく、ちょっとした遊び心やサプライズをけっこう大事にしています。たとえば、『PSO2es』だとチップ研究室という図鑑があるのですが、そこに関しても図鑑だけではなく、チェックを進めていくと、じつはセラフィノートというチップのTIPSが見られます。チップシステムに関しても、当初はフォトンアーツ(PA)をそのまま移植するだけの案もあったのですが、そうではなく、『PSO2es』だけでも楽しめ、『PSO2』のプレイヤーならどういった楽しみが得られるかというところを考え、提案させていただいてます。そのまま落とし込むのではなく、「僕なりに工夫できるところや、より楽しませられるところはどこだろう」と考えることを大事にしていますね。
──4月22日のメンテナンス開始まで、『PSO2』にセラフィが登場する連動イベントが開催されていますが、今後はどんなのコラボを考えていますか?
酒井 近々の予定はまだないのですが、今回の連動による期間限定のクライアントオーダーを実装したことによって、『PSO2es』と連動させた方が、いままでの倍くらいに増えました。そういう意味では、『PSO2』のプレイヤーの皆さんのなかでまだまだ『PSO2es』という存在が浸透していない、知られていない部分がけっこうあるとわかりました。もう少しいろいろなところで『PSO2es』を意識するような機会を設けていければと思います。
──何周年みたいな区切りでなくても、積極的に連動イベントがあるということでしょうか?
酒井 そうですね、そういう機会を増やしていきたいなと思っています。
陳 今回のイベントですと“チップのかけら”という『PSO2』と『PSO2es』の共通のアイテムを手に入れることができました。そういった仕掛けを今後も継続的にやっていき、これこそ“境界を超えるRPG”というコンテンツを提供していきたいと思っています。
──現状、具体的な話になっているものは?
陳 そこは『PSO2』側のスケジュールなどもあるので、いま僕が「どういったものを」というのはなかなか言えませんけれども(笑)。
酒井 じつは、あります! 『PSO2』の3周年に向けて少し考えています。
──その発表のタイミングはいつごろでしょうか?
酒井 そんなに遠くはないと思いますよ。『PSO2』の3周年もそんなに遠くないので、アークスキャラバンのどこかの会場で発表すると思います。
アークスキャラバン仙台でふたりは……?
──アークスキャラバン仙台のチャレンジコーナーで、急遽『PSO2es』でリコピンチャレンジが発生していました。あれは事前に決まっていたのでしょうか?
陳 当日に『PSO2』シリーズディレクターの木村と話をして、『PSO2es』側でも「何かやったらいいんじゃない?」という程度の話はありました。ただ、ああいった形ですぐに実施するとは思っていなかったので驚いたのですけれども(笑)。『PSO2es』としても、『PSO2』と連動して「いっしょにやっている」という一体感を出せたので、よかったと思います。
──ラッピーメダルをプレゼントする流れになっていましたが怒られませんでしたか?
陳 怒られていません! 大丈夫です。
──オレが決める! みたいな感じで?
陳 いえ、そういう感じではないです(笑)。あちこちに「こういうことになりました」と報告しました。
酒井 ダメだったら止めるからね(笑)。
──アークスキャラバン仙台で集まったアークスたちは、ノリのいい感じでした。会場による違いなど感じたことはありますか?
酒井 会場がけっこう大きかったのと、今回は事前登録制だったので、来場された方には全員入っていただけました。1100~1200人ぐらい来ていただけたので活気がある会場だったと思います。また、「東北に来てほしい」という意見がこれまでもとても多かったので、熱気もすごかったと思います。「よくぞ東北に来てくれました。ありがとうございます」という声をすごくいただいたので、行って本当によかったと思いました。
陳 なかなか東北には行く機会がなかったのですが、じつは『PSO2es』をいっしょに開発している会社も東北にあるんです。思い入れのあるところだったので、行けてうれしかったです。
──記憶に残ったできごとなどありますか?
酒井 東北と言っても広いので、「5、6時間かけて来ました」という方も多かったですね。それは、すごくありがたかったです。「こういうイベントに初めて来た」という方も多かったので、そういう方に思い出を作っていただけたのはすごくよかったかなと。「楽しかったです」、「また来ます」と言ってもらえたりするのがありがたかったです。
陳 『PSO2es』も遊んでいますよ! という声もけっこうたくさんいただいて、ものすごく元気をもらいましたね。
──ファンの声援は元気の源ですね。
酒井・陳 源です!
──仙台では、どんなところへ行きましたか?
酒井 牛たんを食べまくりました(笑)。
陳 食べまくりましたね(笑)。
──やっぱり本場のものはぜんぜん違いますか?
酒井 そうですね。味もお店ごとにけっこう違いました。PSO2放送局用に市内でちょっとロケをしたのですが、楽しかったです。萩の月も食べましたし、郷土料理みたいなものもいくつか食べましたね。腹いっぱい食べました(笑)。
陳 笹かまも美味しかったですね。
──アークスキャラバンならではの楽しみのひとつですね。
酒井 準備などもあって、前日に現地入りすることが多いので、その夜に食べたり。帰りの新幹線でも、牛たん弁当を食べたりしました(笑)。3食のうち2食、牛たんを食べましたよ(笑)。
陳 そしてお土産でも牛たんを買ってまた食べるみたいな(笑)。今週は、ずっと牛たんを食べているかもしれません。
──アークスキャラバン仙台ではオリジナルソングの製作が発表になりましたが、先行き、カラオケの鉄人でその楽曲が配信されたりなどは?
酒井 配信されるといいですね。
──アークスキャラバン仙台のラストで、『PSO』15周年記念企画に関連して、懐かしいムービーが公開されていましたね。
酒井 見た目は懐かしいのですが、映像としてはすべて新しいものなんです。完全に作り直しているんですよ。
──『PSO2』のなかで『PSO』15周年記念で戦えるボスがガル・グリフォンということですか?
酒井 そうですね。ガル・グリフォンのモデルを元にしていますが、作り直しています。挙動なども、まったく同じではないです。よりアグレッシブな感じになっていると思ってください。