『スペランカー』は何度でもよみがえる‼

 1980年代に青春を謳歌したおっさんゲーマーなら、基礎教養というか、たしなみとして誰もが知っている『スペランカー』。ファミコン版が発売された1985年当時は、そのストイックなゲーム性をすんなり享受できるプレイヤーが少なく、以後、長らく“クソゲー”の代表格として扱われた不遇のタイトルです。やがて「こういう風に遊べば、ちゃんとおもしろい」という情報が口コミで少しずつ広まり、インターネットなどを通じて共有されることで、再評価の機運が徐々に上昇。21世紀には、まさかのシリーズ新作がリリースされ、待望の“完全復活”を遂げました。主人公の高脆弱性を逆手にとったプロモーション(?)も功を奏し、現在でも幅広い世代のアクションゲームファンが、さまざまなバージョンを楽しんでいます。

キミよ、かつての冒険者魂は残っているか!? 『みんなでスペランカーZ』インプレッション_01

 そして先日、配信された『みんなでスペランカーZ』は、2009年にリリースされたプレイステーション3用ソフト『みんなでスペランカー』(※開発:TOZAI GAMES・販売:アイレムソフトウェアエンジニアリング)の流れを汲む、プレイステーション4用ダウンロードソフト(しかも基本プレイ無料!)。とはいえ共通しているのは、ファミコン版『スペランカー』をベースにしたマルチプレイ対応アクションゲーム……という大枠のみ。実際のゲーム体験は、かなり異なります。

ひとりで遊ぶとストイックなアクションゲーム

 チュートリアル以降の序盤数ステージをプレイしての印象は、ゲームテンポが、往年のアーケードゲームっぽいということ。ギミックやサウンド、プレイヤーキャラの特徴&アクションは、ファミコン版をベースにしつつ、各テージの構成はコンパクトにまとまっていて、ディープな探索よりもアクション操作の小手先重視のため、ツボにはまれば実にスイスイと遊べます。

キミよ、かつての冒険者魂は残っているか!? 『みんなでスペランカーZ』インプレッション_02
▲ダイナマイト、エネルギー、ハデな色のカギ……など、ファミコン版『スペランカー』の面影がそこかしこに見受けられるゲーム画面。BGMも、能天気なメロディーが印象的なメインテーマのアレンジバージョンが複数用意されている。
キミよ、かつての冒険者魂は残っているか!? 『みんなでスペランカーZ』インプレッション_03
▲じわじわ迫る巨大食虫植物や、あからさまな敵意をむき出しにして襲ってくるライバル探検家など、インパクト大の新ギミックも多数登場。ちなみに、この画面のウネウネした足場は、歩いて通り抜け可能。たしかにファミコン版にも動く足場があったけど……印象違い過ぎて、しばらくの間通行不能と思いこんでいたよ!
キミよ、かつての冒険者魂は残っているか!? 『みんなでスペランカーZ』インプレッション_04
▲各ステージは複数のエリアに分かれていて、最終エリアのゴール地点までたどり着けばクリアー扱いとなる。獲得スコアはネットワークランキングに登録されるので、我こそはというプレイヤーは、やりこんで上位ランカーを目指してみよう。
キミよ、かつての冒険者魂は残っているか!? 『みんなでスペランカーZ』インプレッション_05
▲ステージ間移動を行うマップ画面。基本的には一本道で、クリアーするごとにひとつ先のステージに挑戦できるようになる。マップ上とは別に、期間限定配信されるイベントステージも、メニュー画面から選択・プレイ可能。

 もちろん、浅い落とし穴にはまったり、坂を下っている最中に不用意にジャンプすると即ミス。エネルギーを無駄に消費するアクションを乱発するとたちまちガス欠状態になるなど、オリジナル準拠の各種行動制限を受けますが、それがかえって、難所を突破した時の達成感を引き立てます。1ステージにつき3人という残機設定、コンティニューするたびにゲーム内通貨”ムーンストーン”を一定数消費、リタイア時はそれまでのプレイで獲得したアイテムが没収……といったやや厳しめな仕様も、1回1回のプレイにほどよい緊張感を与えています。