バンダイナムコエンターテインメント『ドラゴンボール』シリーズインタビュー
1984年から1995年まで『週刊少年ジャンプ』で連載された大人気マンガが原作のシリーズ。ゲームは1986年から、最新作の『ドラゴンボールゼノバース』に至るまで、数々の作品がコンスタントに発売されている。海外でも人気が高い本シリーズの、気になる先の展開を聞いた。
株式会社バンダイナムコエンターテインメント
プロデューサー
平野真之(ひらの まさゆき)氏
(文中はひらの)
『ドラゴンボール ゼノバース』のプロデューサー。過去シリーズではアシスタントプロデューサーを担当。
(右)
株式会社バンダイナムコエンターテインメント
プロデューサー
手塚晃司(てづか こうじ)氏
(文中は手塚)
『ドラゴンボールZ ドッカンバトル』プロデューサー。『ガンダムエリアウォーズ』ほか多数を手がける。
"いままでにないものを"がコンセプトの『ゼノバース』
――『ドラゴンボール ゼノバース』は、御社で初の新世代機対応のタイトルですよね。新しいハードでの開発はどうでしたか?
平野 いままで表現したかったけれどできなかった表現が可能になり、 開発の幅が広がりました。 当然、 苦労もありましたが、 楽しく開発ができたと思います。
―― 本タイトルは海外でも展開されていますが、評判はいかがでしたか?
平野 海外では2月末に発売して、好評をいただいています。 おかげさまで、 ワールドワイドで150万本の出荷を達成できました。
――『ドラゴンボール』のゲームは、 いつごろから海外で展開されているんですか?
平野 ヒットしたという確かな手応えが感じられたのは、2002年の『Z』シリーズです。これが、1作目が全世界で300万本以上いきまして。そこからは『ドラゴンボール』のゲームを、海外でも国内でもガッツリ展開しています。
――『ドラゴンボール』のゲームの歴史は長いので、 新作を作る際には、 かなり苦労されたと思うのですが。
平野 すごく苦労しました(笑)。どのキャラクター、どのシリーズにもファンの方がついていますし、この作品でやってはいけないこともあります。 その中で、 本作は開発当初から、"いままでにないものを"ということをコンセプトに開発を進めてきました。いままでは、原作再現という形で悟空やベジータなどを使って闘いを楽しむものでしたが、本作は自分自身のキャラクターを作って、『ドラゴンボール』の世界に入っていくという新しい切り口で差をつけています。この新しい試みがいちばん苦労した部分で、評価してもらえたのは、開発冥利に尽きるというか、ありがたいことだと思います。
―― 確かに、 これまでは原作キャラクターを操作するゲームがほとんどですよね。
平野 このゲームを作る当初に、 先輩プロデューサーから「キャラゲーを作るなら、お前に頼まない」という話をされまして(笑)。そのことを踏まえて、 志をずっと変えずにやってきました。 新しいものに挑戦するのは、 キャラクターゲームでは難しいことだったので、 関係各社に本当にお礼を言いたいですね。
―― 家庭用ハードでは、 ニンテンドー3DSの作品が発表されています。『ドラゴンボール』のシリーズは、 やはりアクション系、 格闘系が中心になるのでしょうか?
平野 作品自体が、 格闘やアクションと非常に相性がいいですからね。一方で、『ゼノバース』のように違った切り口や新しいキャラクターの表現のしかたもあると思いますので、 これからも新しいことを考えていきたいと思います。 ただ、『ドラゴンボール』は完成された作品ですから、 そこに新しい世界観やキャラクターなど、 違ったものを入れるところは、版権元様といっしょに慎重に考えながらやっていかなければと思っています。
――『ドラゴンボール』は、 家庭用ハードの作品は多いですが、 アプリは『ドッカンバトル』が初の作品になるのでしょうか?
手塚 これまで売り切りのタイプはありましたが、基本無料の形式は今回が初めてですね。
―― 本タイトルが生まれた舞台裏が、 気になるところです。
手塚 『ドラゴンボール』は皆様にとって大事な作品なので、 どう世界観を守ってお客様にお伝えするか、 長い時間をかけて調整をしていました。『ワンピース』などのゲームで、「こういう世界観の作りかたなら」と方向性が見え、ようやくできたという感じです。
―― 企画自体は以前からあったのですね。
手塚 いろいろなアイデアは何年も前からあって、それがなかなかはまらなかったのですが、ようやくここで形になりました。
―― 1月から配信が始まっていますが、手応えはいかがでしょうか?
手塚 お客様には喜んでいただいています。ただ『ドラゴンボール』ですから、 何度も変身し、進化していきたいと思います(笑)。
―― ダウンロード数はどれくらいですか?
手塚 配信開始から約1ヵ月で590万ダウンロードに達したときは、"ゴクウキャンペーン"をやらせていただきまして、現在は1000万ダウンロードを突破しました。 社内でもこの早さは異例ですね。ファンのご期待が高いだけに、運営面はかなり気合を入れて進めています。
幅広い層のユーザーとともに進化していく作品を目指す
――『ドラゴンボール』は、 原作自体は終わっているものの、 アニメや劇場版で新作が作られるなど、 新しい層も獲得しています。 歴史が長く、 幅広い年齢層のファンに向けて作るというのは難しいのでは?
平野 いろいろなファンのありかたが存在する作品ですからね。 多くの皆さんの希望や夢を叶えるためにさまざまな意見をいただき、組み上げていくというか、 自分たちのスパイスにしてやってきています。
―― 4月に新しい劇場版『復活の「F」』が公開されますが、 そこで何かゲーム内に落とし込んでいくことは考えていらっしゃいますか?
平野 もちろん『ドラゴンボール』ゲーム全体でのキャンペーンを、 社内一丸となって行うということで動いています。
手塚 『ドッカンバトル』でも、 いろいろと検討はしています。
―― ちなみに、 アプリは海外展開はされているのでしょうか?
手塚 これから全世界で展開していく予定で、発表はすでにさせていただいています。
―― 最後に、 今後の家庭用および、 アプリでの展開について展望をおうかがいできればと。
平野 もちろん『ドラゴンボール』は引き続きタイトルを出していきたいですね。ユーザーの皆様にご意見をいただきながら、 それをアイデアにして新しいものを作っていこうと思っています。そして、またちょっとした驚きをファンの皆様に提供できるようにしたいですね。
手塚 ほかのキャラクターゲームと比べて、『ドラゴンボール』は圧倒的なお客様の熱量を感じるんです。アプリのいいところはどんどんバージョンアップしていけるところですし、完成形は我々としてもあえて決めず、お客様といっしょに進化させていきたいなと思っています。そのお客様が、全世界にいらっしゃいますから。
(C)バードスタジオ/集英社・フジテレビ・東映アニメーション
(C)バードスタジオ/集英社
(C)「2013 ドラゴンボールZ」製作委員会
(C)BANDAI NAMCO Entertainment Inc.