バンダイナムコエンターテインメント『ONE PIECE』シリーズインタビュー

 1997年から週刊少年ジャンプで連載が始まり、1999年からテレビアニメが放映開始された。単行本の累計販売数もすさまじく、押しも押されぬ国民的人気作品となっている。ゲームの展開もハードやジャンルを問わず多岐に渡っているが、気になる今後の動きはいかに?

”ゲームス”から”エンターテインメント”へ…バンダイナムコエンターテインメントインタビュー5【ONE PIECEシリーズ】_01
”ゲームス”から”エンターテインメント”へ…バンダイナムコエンターテインメントインタビュー5【ONE PIECEシリーズ】_03
(左)
株式会社バンダイナムコエンターテインメント
プロデューサー
講元大輔(こうもと だいすけ)氏
(文中は講元)
バンダイネットワークスに入社し、 統合後いまにいたる。『ワンピーストレジャークルーズ』を担当。

(右)
株式会社バンダイナムコエンターテインメント
プロデューサー
中島光司(なかじま こうじ)氏
(文中は中島)
直近のタイトルは『ワンピース 海賊無双3』。『ドラゴンボール』のタイトルも手掛けたことがある。

国民的作品ゆえにファン層の広い『ONE PIECE』

―― 先日発売された『ワンピース 海賊無双3』は、シリーズ初のプレイステーション4も含めたマルチプラットフォームで発売されました。御社において、プレイステーション4でのタイトル展開が、2015年から本格的になってきていますよね。
中島 『海賊無双』に関しては、シリーズ3作目というところで、 集大成になっています。 プレイステーション4が加わったことで、いままでできなかった表現が可能になったり、 開発のし甲斐がありました。

――『ONE PIECE』は、ファンの年齢層が幅広いですが、 本作はおもにどういった客層が多いのでしょうか?
中島 『ONE PIECE』の家庭用ゲームは、出すタイトルによってユーザー層がけっこう変わってくるんです。『海賊無双』シリーズですと20代以上の人がたくさん遊ばれていますし、2014年12月にニンテンドー3DSで発売した『ワンピース 超グランドバトル!X』では、もう少し若いユーザーが多くなっています。

―― 発売するハードのユーザー層に合わせて、のターゲット層も変えているのですか?
中島 そうですね。 これまで多くの作品を出していますが、 この作品は大人向け、 この作品は子ども向けといった形で、 重点するターゲット層をある程度睨んだうえで、 ゲームを作っています。 大人のファンはストーリーや原作再現といった部分を重要視される方が多いですし、 キャラクターのデザインもやや大人向けにしています。逆に子ども向けですと、キャラクターのバラエティー感が求められる傾向にあるので、 ゲーム内容もキャラクターを魅せる方向に振っていたりするんです。

―― なるほど。 一方、『ONE PIECE』はスマーフォンのアプリの数も豊富で、 好調なタイトルも多いですよね。
講元 最初にリリースしていたスマートフォン用タイトルは、 売り切りの形でした。 その後、 無料でも遊べるものとして出したのが、『ワンピーストレジャークルーズ』です。 それまでにリリースしている、『ワンピース グランドコレクション』などよりも、さらに長く遊びやすいゲームにしようと思いました。

―― 運営型の新たなタイトルして、 満を持して登場したのが『ワンピーストレジャークルーズ』なんですね。
講元 『ONE PIECE』は、作品としてはオールターゲットなんです。 子どもから大人、 女性から男性まで。 そういった幅広い層の人に遊んでいただくために、"誰にでも遊びやすい"ことを重点において、 本作は生まれました。 戦闘シーンでも冒険でも、 タップしていくだけで進めるというところから、"タップするのが気持ちいい"作品を目指しました。結果、非常に多くのお客様に楽しんでいただいております。

―― ちなみに、『ワンピーストレジャークルーズ』の現在の累計ダウンロード数はどれくらいでしょう?
講元 先日、1000万ダウンロードの達成を発表させていただきました。。

―― 御社のスマートフォンのアプリの中でもトップクラスですね。売り上げランキングでも、上位の常連になっていますし。
講元 おかげさまで、iOSのトップセールスで1位を取ったこともあります。

―― まさに順調そのものだと。そのほかにも、『ONE PIECE』のゲームではダンスだったりアクションだったり、 ゲームの種類の幅が広いなと感じます。
講元 原作の人気が高く、 オールターゲットということもあるので、 ある意味多様性が認めていただけるのかなと。 これほど多種多様なゲームあるのは、『ONE PIECE』ならではだと思います。
中島 家庭用ゲームでも、 毎年タイトルを出していますので、 つねに原作再現を行うと差別化も難しくなる。 なので、 家庭用ゲームでは、 ゲームオリジナルストーリーを展開するといった流れもあります。
講元 パンが好きな人がいれば、 ご飯が好きな人もいると思います(笑)。

”ゲームス”から”エンターテインメント”へ…バンダイナムコエンターテインメントインタビュー5【ONE PIECEシリーズ】_04

中国向けのゲームを開発して大ヒットに

――『ONE PIECE』のゲームの海外での展開は、どのように行っているのでしょう?
中島 家庭用ゲームですと、けっこう前から海外展開をしています。おもに人気が高いのは欧州ですね。もともと日本のマンガやアニメに理解が深い、とくにフランスなどでは人気があります。近年ですと、アジアが大人気です。北米に関しては、『海賊無双』も含めて、これからキッチリと展開していきたいと考えています。
講元 スマートフォンに関しては、 中国向けのゲーム『ワンピース 航海王 啓航』というタイトルを配信させていただきました。 おかげさまで非常に多くのお客様に遊んでいただいていて、 ダウンロード数も順調ですね。 ゲーム内容は中国のユーザー向けで、 中国のやりかたで、 中国のインフラに沿って作っていて、完全に中国にターゲッティングしたタイトルとなっているんです。

―― 中国のマーケティングを調査したうえで作っていると。 そのほかの地域での展開についてはいかがでしょうか。
講元 現在、『ワンピーストレジャークルーズ』を北米、 欧州に出させていただきまして、 こちらもダウンロード数は好調で、100万を突破しまして、 プレイヤー数も順調に推移しております。

―― なるほど。 最後に、 今後の国内及び海外での展開について教えていただければと。
中島 家庭用に関しては、 世界を意識しています。プレイステーション4も世界各国で普及しているので、世界の『ONE PIECE』ファンに向けて作品を作っていきたいと思っています。これまで、 海外は北米市場、 アジア市場、 欧州市場、 あとは日本市場という大きなカテゴライズがありました。 それに加えて、 じつは南米や東欧、 アラビアにも『ONE PIECE』ファンがいたりするんです。 そうした各地域のファンに向けて、 ローカライズしてゲームを発売していきたいと思っています。これからも、新しい遊びをきちんとお客様に提案できるような、いいゲームを作っていきたいです。
講元 スマートフォンアプリも、 全世界で展開することが目標です。 先ほど
中島が言った通り、『ONE PIECE』のファンは世界中に広がっているのですが、 スマートフォンアプリなら地域に合わせた形で配信することもできる。その利点を活かして、 各国で遊んでいただけるようなゲームを作っていきたいです。

”ゲームス”から”エンターテインメント”へ…バンダイナムコエンターテインメントインタビュー5【ONE PIECEシリーズ】_02

(C)尾田栄一郎/集英社・フジテレビ・東映アニメーション
(C)BANDAI NAMCO Entertainment Inc.
(C)Eiichiro Oda/Shueisha, Toei Animation
(C)BANDAI NAMCO Entertainment Inc.

”ゲームス”から”エンターテインメント”へ…バンダイナムコエンターテインメントインタビュー5【ONE PIECEシリーズ】_05