90年代中盤の『バーチャファイター』の熱狂を描く青春群像劇
2015年3月18日（水）より、東京都新宿区の“東京グローブ座”で公演が始った舞台『TOKYOHEAD～トウキョウヘッド～』。この舞台は、大塚ギチ氏著作によるノンフィクション小説『TOKYOHEAD：REMASTERED』を原作にした“前人未到のゲームセンターコメディ”。2015年3月18日（水）から3月23日（月）まで、東京都新宿区の東京グローブ座で上演される予定だ。
今回、同日夜に迎える初日公演に先駆けて、関係者に向けた公開ゲネプロが開催され、その現場を取材することができた。その様子をリポートする。
3D対戦格闘ゲームの先駆けとして登場して、90年代中盤に全国的なブームを起こしたセガの『バーチャファイター』。現在も実在する東京西新宿のゲームセンター“ゲームスポット21”は、そのブームの中心地のひとつとして知られ、強豪プレイヤーが集う聖地となっていた。原作ではこの地に集った伝説的プレイヤーを軸に、ひとつのゲームが創りだしたプレイヤーたちの情熱と熱狂のエピソードが描かれている。
このたび、劇団“ヨーロッパ企画”がこの小説を舞台化。同劇団の上田誠氏の脚本・演出によって上演されることになった。
物語は、原作でも大きくクローズアップされた伝説的プレイヤー“新宿ジャッキー”（菅原永二）、“ブンブン丸”（尾上寛之）、“池袋サラ”（石田 明）、“柏ジェフリー”（吉沢 亮）が物語の中心人物として登場。実際のエピソードや大会をもとに『バーチャファイター』を巡る青春群像劇としてドラマが展開していく。劇場版オリジナルの女性“トーコ”（村川絵梨）も当時の“バーチャブーム”の熱気と勢いを伝える重要な役どころとして活躍する。
※（）内はキャスト名。
ゲーセンの物語とあって、壇上に2組計4台の筐体“アストロシティ”に収まった『バーチャファイター』、『バーチャファイター2』や、ゲームセンターでおなじみの“セブンティーンアイス”自販機を設置して、1994年～1995年当時の“ゲームスポット21”が再現されていた。当時のゲームポスターや店舗のカウンターなど、細かい部分ではあるが制作陣のコダワリが伝わるセットには思わずニンマリ。
劇中では、キャストが実際にゲームをプレイするシーンもあり、舞台に設置された（筐体を模した）巨大スクリーンによって対戦がリアルタイムで展開する。その闘いは劇のハイライトシーンにもなっている。この舞台のために各キャストは実際に『バーチャファイター』の特訓を積んだとか。また、90年代のブーム当時の映像もふんだんにスクリーンに映しだされる。演劇という“虚”の世界に、ゲームプレイや当時の映像といった“実”が織り交ざることで生まれるおもしろさは舞台ならでは、という感じだ。
虚と実にちなんだことで言えば、キャストがみずからの身体でゲームキャラクターを操るという場面も大きな見どころだ。公演のホームページによると、これは“DL-EDGE(R)”というリアルタイムCG再生システムが可能にしたもの。人物のモーションをその場で取り込み、すぐさまCGで再現する技術なのだという。
“おなじみの、あのキャラクター”が、キャストの動きにぴったり一致して動くのは衝撃！ デジタルの中に究極の格闘リアリティーを求めた『バーチャファイター』にふさわしいシーンではないか！……と思わずアツくなってしまった。
『バーチャファイター』というひとつの対戦格闘ゲームが生み出した、プレイヤー主役のカルチャー。当時を知る人ベテランゲーマーにも、知らない若い世代にも、舞台から当時のプレイヤーたちの“熱量”がきっと伝わるはずだ。
公演は2015年3月23日（月）まで。開催概要やチケットなどの詳細は、公式ホームページからご覧いただきたい。
