「胸を張って最高傑作と呼べる内容」

 2015年3月12日、東京都内のビッグカメラ池袋本店および、ヤマダ電機 LABI 新宿東口館にて、『龍が如く0 誓いの場所』発売記念サイン会が開催された。当日イベントには、シリーズ総合監督の名越稔洋氏と、『龍が如く0 誓いの場所』チーフプロデューサーの横山昌義氏が出席し、サインや握手などで大勢のファンと交流。ここではビッグカメラ池袋本店でのイベントの模様を、インタビューでの両氏のコメントをメインにお届けしよう。

 発売日当日ということもあり、サイン会のスタート時には、すでに長蛇の列ができる人気ぶり。名越氏、横山氏とも、サインのあとは握手、また記念撮影に応じるなど、サービスあふれる対応で、サイン会はつつがなく終了。また会場では『龍が如く0 誓いの場所』関連グッズが当たる抽選会も開かれ、こちらも多くのファンが参加していた。

『龍が如く0 誓いの場所』発売記念サイン会に名越総合監督&横山Pが登場、「『0』の次回作は『-1』かも」!?_01
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▲サイン会開始を待つ、多くのファンたち。
▲サインとともに、ひとりひとりとしっかり握手。
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▲係員に携帯電話を手渡し、記念撮影してもらう人も多かった。
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▲ソフト購入者を対象としたグッズ抽選会も同時に開催。

 サイン会直前には、ミニインタビューの場が設けられ、両氏から発売に向けてのコメントが語られた。その内容を以下に紹介しよう。
 
――まずは発売日を迎えての感想をお願いします。
名越稔洋氏(以下、名越) 無事に発売日を迎えられたことが嬉しいです。『龍が如く OF THE END』のときに、東日本大震災の影響で発売が遅れたことがあったのですが、基本的には告知してきた発売日をずらしたことがないシリーズタイトルで、それを今回も守れたのは、開発チームがよくがんばってくれたおかげだなと思います。
横山昌義氏(以下、横山) 徐々に自分の中でも気持ちが盛り上がってきて、昨日は4時くらいまで寝られなかったんです。それで、起きられないかなと思ったら、体は正直なもので、興奮してすごい早起きしてしまったという……。ちゃんといいものを作った自信はあるので、皆さんに評価していただけるかなと冷静に思う反面、体はすごく興奮しているという状態です。

――ずばり、出来栄えについてはいかがでしょうか?
名越 これまででいちばんいい作品になったと僕は思っていますし、胸を張って最高傑作だと言えるので、ぜひたくさんの人に触れてほしいと思います。
横山 個人的には、『龍が如く』のナンバリングタイトルで、いちばんデキがいいんじゃないかと思います。ストーリーもそうですけど、遊びの精度や街の作りも含めて、いちばん好きなタイトルに仕上がりました。実際にそう思って開発していた人間も多く、かなりのスタッフが「いままででいちばんおもしろいんじゃない?」と、自分たちで言っていますから(笑)。そんな作品を堂々と胸を張って、今日出せるということを、すごく嬉しく思います。とにかくすぐに、皆さんに手に取って遊んでほしくて、ワクワクしています。

――今回、プレイステーション4で初めて“歓楽街”を表現していますが、その点に関してはいかがですか?
名越 PS3とPS4のマルチで作ってますが、PS4は単純にパフォーマンスが高いので、絵もリッチになっていますし、処理も早いです。どちらを基準に考えるかですけど、まだ基準はPS3だと思いますので、そういう意味では、ノーマル版としてPS3があって、その快適版がPS4と思えば、それがいちばん正しい解釈だと思います。もちろんどちらでも、ストレスなく楽しく遊べますから、ハードまわりを含めてお財布が許す中で楽しんでもらえればと思います。
横山 いままで何本も出してきたPS3版のなかでも、テクスチャーレベルや解像度を含めて向上しているので、いちばん高性能なPS3の『龍が如く』になっていると思います。十二分に、ハイスペックなものを楽しんでもらえると思います。

――今回の“街”で、ここを見てほしいという部分は?
横山 まずは外観ですね。1988年という時代の、たとえばネオン看板とかです。ただ光っていればいいものでもなく、電球が流れたりと、動きがそれぞれあるんです。いままではそれをただの絵的な、アニメーションで作っていたんですけど、今回はちゃんと電球を1個1個光らせては消して、というのを処理でやっています。なので、看板1個でも、いかにネオン看板らしく映るか、ということにこだわって作っています。そうしたことが合わさって、複合的に見ると、見たこともないようなものすごい歓楽街が目の前に広がっていると思いますので、まずはそこを味わってほしいですね。つぎは扉を開けて中に入ると、また88年の、当時っぽい楽しい遊びがたくさん入っているので、外側も奥側も、街を楽しんでもらえればいいのではないかと思います。

――1988年という設定で、ここは譲れなかったというような表現はありますか?
名越 『龍が如く』は、ほかのゲームにくらべて、この世代層のユーザーが多いと思うので、その人たちに「ちょっと違うな」と言われないように、そこだけは苦労しました。1988年当時は僕も若かったので、自分の目線というものが標準的に正しいだろうなという自信のもと、当時の雰囲気という部分は再現できたかなと思います。人間ドラマに関しては、時代とともに変化もするのでしょうけれど、『龍が如く』のテーマはわりと普遍的なものなので、そこはちゃんと『龍が如く』らしいドラマをうまく乗っけて、マッチングできたのではと思います。

――『龍が如く』も10年目です。シリーズの成長という部分に関してはどうですか?
名越 成長というか、継続がやっぱりテーマです。発売してはその反応を見て、これはいらないよねとか、ここはつぎもやりたいなだとか、反省と改善のくり返しを1年ごとにやってきましたので。そのサイクルはしんどいんですけど、それを乗り越えてここまできましたので、これから先もまたあるとしても、同じそのしんどいサイクルに耐えながら、作っていくことになるのかなという気はしています。10年で身についたノウハウも、あるにはありますけど、けっきょくそこに楽な方法論はないんだなと、いまは結果的に思います。

――横山さんは今回、各地でもサイン会を行ってきたと思いますが、ファンの反応はいかがでしたか?
横山 今回は広島や、また東北のほうも初めて行かせてもらったのですが、若くて強い男を好きそうな、若い男性ファンがけっこう多い印象でした。やっぱりこういう人たちに、カッコいい大人を見せ続けてきたタイトルだし、桐生一馬や真島吾郎たちをカッコよく描くことによって、こういう人たちがついてきてくれているのかなと思います。今回もカッコいい男を描き切ったつもりなので、すごくよかったなと思っています。ゲームの中のキャラクターではありますが、背中を見せられるというか……。やっぱりカッコいい大人を描かないと、若い子たちはついてきてくれないと思いますので。なんだかんだ言って、そういった男性ファンに支えられているんだなと、今回はすごく感じました。

――最後に、ファンにメッセージをひと言お願いします。
横山 シリーズを楽しんできていただいた方には、もちろん楽しく、最高のものになっていると思います。またナンバリングでは『0』なので、数字的にこれ以上の下はないです。要するに、シリーズ初参戦でもオーケーというか……。シリーズもので10年も続いてきていると、どこから遊んでいいのかって、ハードルが高いと思うんですよね。その点『0』は最初の一歩として選んでいただきやすい作品に仕上がっていると思いますので、映像を見るなり友だちから話を聞くなりして興味を持った方は、ぜひ遊んでいただきたいですし、プレイして楽しかったら友だちにも勧めていただけると、すごく嬉しいです。よろしくお願いします!
名越 今回はゼロですが、つぎのナンバリングは、わからないですよ? 『-1(マイナス1)』ってつくかもしれないし(笑)。今回は、ずっと回を積み上げるごとに、どこかのタイミングでやりたかった時代の物語なので、出せたことは幸せです。またこのつぎにどうしていくか、我々も参考にしたいので、もしもご購入いただけたら、素直に感じたことを、ご意見として届けていただければと思います。どうぞよろしくお願いします。

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