いよいよID@Xboxのタイトルが充実してきました!

 2015年3月2日~6日(現地時間)、サンフランシスコ・モスコーニセンターにて、ゲームクリエイターを対象とした世界最大規模のカンファレンス、GDC(ゲーム・デベロッパーズ・カンファレンス)2015が開催。GDCの会場となるモスコー二センターからほど近い場所で、マイクロソフト主催による“ID@Xbox ショーケース”が開催されていたので足を運んでみた。取材陣を始めとする、世界中のゲーム関係者が集まるGDCにおいて、会期中に近くの会場を借りて催しを行うのは珍しいことではないが、「ID@Xbox関連のタイトルがお披露目される」と聞いて、現地に着いてみて驚いた。20本以上のID@Xbox関連のタイトルが出展されていたのだ。「いずれ劣らぬ力作揃いですよ」とは担当者のお言葉。今回出展されていたのは以下のタイトル。

ID@Xboxが花盛り! 『Mighty No. 9』稲船敬二氏へのインタビューや盲目の少女を描く『Beyond Eyes』など、気になるタイトルをピックアップ【GDC 2015】_06

・Aritana and the Happy's Feathter(Duaik Entretenimento Ltda)
・Bedlam (RedBedlam)
・Beyond Eyes (Team17)
・ClusterPuck 99 (PHL Collective)
・Cuphead (Studio MDHR)
・Earthlock: Festival of Magic (Snowcastle Games)
・The Flame in the Flood (The Molasses Flood)
・Fortified (Clapfoot Games)
・Game 4 (The Behemoth)
・Goat Simulator (Double Eleven)
・LA Cops (Team 17)
・Magic Duels: Origins (Wizards of the Coast)
・Mighty No. 9 (comcept)
・Pixel Galaxy (Serenity Forge)
・R.B.I. Baseball 15 (MLB.com)
・Rivals of Aether (Dan Fornace)
・Shadow Blade: Reload (Dead Mage)
・Shovel Knight (Yacht Club Games)
・SMITE (Hi-Rez Studios)
・Submerged (Uppercut Games)
・Super Dungeon Bros (React! Games)
・SWORDY (Frogshark)
・The Sun and Moon (Digerati Distribution and Marketing)
・ZHEROS (Rimlight Studios)

 何から取材したらいいのかしら……というくらいの充実ぶりだが、とりあえず会場をふらりと回ってみて、気になるタイトルをピックアップしてみた。まあ、一期一会とも言いますし……。ちなみに、今回紹介したタイトルは、『Mighty No. 9』以外は日本での発売はアナウンスされていない。ぜひとも期待したいところであります。

『Mighty No. 9』 「俺の挑戦を受けてみろ、というゲームです」(稲船氏)

 まず外せないのが、comcept稲船敬二氏による2Dアクションゲーム『Mighty No. 9』。会場では、稲船氏にお話を伺うことができたので、以下にご紹介しよう。

ID@Xboxが花盛り! 『Mighty No. 9』稲船敬二氏へのインタビューや盲目の少女を描く『Beyond Eyes』など、気になるタイトルをピックアップ【GDC 2015】_05

――『Mighty No. 9』の進捗を教えてください。
稲船 PC版の基本みたいなものはすべて終わって、あとはXbox Oneとか、Xbox 360とか、プレイステーション4に移植中です。まだ移植の途中なのですが、できあがったものを展示している感じです。

――いま、開発状況はどれくらいですか?
稲船 ゲームの開発状況は99%なんですよ。ただし、8プラットフォームなので、それを考えるとまだ完成しているのは8分の1ですね。

――8プラットフォームとは壮観ですね。
稲船 現状あるハードの全部です。

――ほぼ同時展開?
稲船 それを狙っていますが、移植状況によっては難しいハードもあるので……。

――もしかして、リリースのタイミングが前後する?
稲船 可能性もないことはないですね。でもできる限りいっしょにしたいなと思っています。

――Xbox Oneの開発はどうですか?
稲船 Xbox Oneは、すごく開発しやすいです。(移植の開発状況では)各ハードをリードしていますね。やっぱりPCとの親和性が高いですね。移植に際してはハードの特性に合わせたチューニングをしないといけないんですよ。PC版を基本としつつ、移植をするわけですが、細かいところは各ハードのクセみたいなものがあるんですね。そこはこれからです。

――どのハードで触っても、プレイの感触はいっしょになるように?
稲船 それをチューニングで合わせるのですが、単純に移植しても多少癖があって、それを直しやすいハードと直しにくいハードがあるんですね。ハンドヘルドは、いっしょの感触にするのは難しいかもしれないですが、コンソール機は、ほぼ遊んだ感じはいっしょにできると思います。

――そのへんのチューニングはデリケートで時間がかかる?
稲船 そうですね。ひとつひとつやっていかないといけないので。手作りみたいにやっていくので。オートによって移植できるのは、そのハードによって割合が変わります。8割できるものもあれば、5割しかできないものもある。

――そんなこんなも含めて、だいたいいつくらいにリリースする予定なのですか?
稲船 春を狙っているので……。春と言っても、初春ではなくて、4月、5月、6月……そのあたりですね。

――すぐですね。
稲船 そうですね。デジタルなので、まだギリギリ作れるので。この1、2ヵ月が勝負ですかね。ゲームチューニング自体は終わっているので、「これでいく」という原型はできあがっていますね。それに全部合わせていく感じになります。

――リリースに向けての手応えを教えてください。
稲船 そうですね。手応えというか、もののデキみたいなところで言うと、かなり満足しています。相当難しく作ったのですが、「到底僕の腕ではできない」というところにしたんですね。でも、難しくても、いくら倒れても、「悔しい」という感じを残すようにしています。昔のゲームってそういうところがあるじゃないですか。いまのゲームって、「倒さないように」というふうになっていますが、昔のゲームは、「いかに倒してやろうか」みたいなところがあって、それでも立ち向かうユーザーみたいな感じにはなっているのかなと。

――なぜそこまで難度を上げたのです?
稲船 このゲーム自体はノスタルジックじゃないけれど、昔の横スクロールアクションを規範としているんですね。僕らが20年前に作っていたような、あの感覚で考えたときに、やっぱり親切にやったものじゃなくて、よりきびしく作って、クリエイターサイドとクリエイターサイドが闘う。「俺の挑戦を受けてみろ!」という、そういうゲームにしたかったんですね。

――稲船さんからの挑戦状みたいなところがあるんですね。
稲船 そうですね。僕の挑戦状は僕がクリアーできないですけど(笑)。スタッフが僕のチェックを受けるときに、僕がボコボコにやられているのを見て、「もうちょっと直しましょうか?」と聞いてくるのですが、「ダメだ、これでいい」と答えています。

――悔しくなって、何回もトライしたくなるというのは、どういうふうに?
稲船 「自分のせいだ」と思えるかどうかなんですよ、この手のゲームは。けっきょく、「おいおい、それはないよね」って、ゲームに言ったらダメなんです。自分が、「このタイミングに飛んだからダメだったのか」と思えるようじゃないと。自分のせいだから、責めるのは自分自身であって、「俺下手くそだ、悔しい。もう1回やろう!」という気になれるんですね。ゲームの基本といえば、基本ですよね。けっきょく、“クソゲー”と言われるやつは、「俺のせいじゃないよ?」となってしまうんです。いいゲームというのは、ちょっと勝てそうに思えるんです。

――そのへんのバランス調整が絶妙なんですね?
稲船 そうですね。僕はいろいろなアクションゲームを作ってきたのですが、チューニングはだいたいそこなんですよ。それをよりきびしく、“自分のせい”というのをよりきびしい方向に向けたいです。

――最後に、日本のファンに向けてひと言お願いします。
稲船 インディーゲームのこういう展示なのですが、日本タイトルの展示はこれだけなんです。全部外国の方の作ったゲームで。ちょっとさびしいんですよ。日本のゲームが大作もなかなか受け入れられていないなか、インディーも受け入れられていないので、少し悲しいのですが、その中でも、「戦っていきたい」と思ってやっているゲームなので、ぜひ日本のユーザーの方も、日本のゲームを応援してほしいなと思うので、ぜひこの『Mighty No. 9』を遊んでほしいです。

ID@Xboxが花盛り! 『Mighty No. 9』稲船敬二氏へのインタビューや盲目の少女を描く『Beyond Eyes』など、気になるタイトルをピックアップ【GDC 2015】_02
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