小島秀夫監督の登場に台湾ゲームファンから“コジマ”コールが! 『メタルギア ソリッド V ファントムペイン』スペシャルステージ【台北ゲームショウ2015】

開催4日目の『メタルギア ソリッド V ファントムペイン』スペシャルステージの模様をお届けしよう。

●台湾のゲームファンが小島監督を熱烈歓迎

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 2015年1月28日(水)~2月1日(日)、台北世貿中心(台北ワールドトレードセンター)にて、台北ゲームショウ2015が開催された。根っからの浮草のような存在の記者は、ときに海外取材の機会もそこそこある。そんなとき、折に触れて実感するのがKONAMI小島秀夫監督の人気ぶり。E3でマイクロソフトのメディアブリーフィングでオープニングアクトとして登場してスタンディングオベーションを受けたり、Comic-Conでサイン会を実施するや長蛇の列ができたり……と、本当に世界中に熱狂的なファンを抱えている。そんな小島監督のことだから、ソニー・コンピュータエンタテインメント台湾(SCET)ブースにて、『メタルギア ソリッド V ファントムペイン』(以下、『MGSV:TPP』のスペシャルステージが行われると聞いたときも、それは台北ゲームショウでも大きな注目を集めるだろう……とある程度は想定していたのだが、そのあまりの熱気に驚いた。開幕前からSCETブースは立錐の余地のないほどの人で溢れ、小島監督が登場するや、とんでもない大歓声に包まれたのだ。そして、「コジマ!コジマ!」と小島監督コールが湧き上がったときには、正直言って、記者は少し鳥肌が立っておりました。同じ日本人の端くれとして、小島監督が世界に熱狂的に受け入れられていることが、とてもうれしくもあり、誇らしくもありということで……。


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 と、そんなわけで、登壇した小島監督は「台湾は4年ぶりになります。なかなか来ることができなかったのですが、こうして皆さんにお会いする機会に恵まれました。台湾は、子どものころの風景に似ているということもあり、食べ物もおいしいので大好きです!」とあいさつし、拍手喝采を浴びた。

 ステージイベントは、司会者の『メタルギア ソリッド V グラウンド・ゼロズ』(以下、『MGSV:GZ』)と『MGSV:TPP』の尋ねる質問から始まった。それに対して小島監督は、「2本で『メタルギア ソリッド V』です」と断言。『MGSV:GZ』は、『メタルギア ソリッド ピースウォーカー』(以下、『MGSPW』の1年後を舞台に、『MGSPW』で仲間を集めて大きくした基地を壊されるところに端を発し、『MGSV:TPP』は、その『MGSV:GZ』の9年後に、スネークが目覚めるところから始まる……と、物語の流れを説明。仲間を集めて基地を大きくし、復讐を果たすのが、本作『MGSV:TPP』の目的となる。


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▲軽く『メタルギア』シリーズのおさらないなども。

 『MGSV:TPP』の大きな特徴は、オープンワールド。“敵地に潜入してミッションをこなす”というのが『メタルギア』シリーズの根幹をなすが、従来作は物語の伝えやすさやコンピューターのスペックを考えて、“一本道”にしていたという。とはいえ、本当の潜入の醍醐味は自由に行動できること。オープンワールドを借りて、自由に潜入できるようにしているのだ。そういった意味では、オープンワールドと“潜入”は、きわめて相性がいいと言える。

 オープンワールドでカギを握るのが、“時間の流れ”と“天気”。「敵地に向かうまで、馬、ヘリコプター、車両と移動方法はさまざまです。昼に潜入すると敵がいっぱいいるのでみつかりやすい反面、目視もしやすい。一方、夜は敵が交代で寝ているので、守りは緩くなるが暗いので見えにくくなります。夜はライトを壊せば灯りが消えるので、潜入しやすくなるという一面もあります」(小島監督)と、“時間の流れ”がもたらすゲームプレイの変化を説明。さらには、夜は獰猛な夜行動物が跋扈して危険……といったこともあるらしい。

 “天気”に関して言えば、雨や砂嵐に襲われることもある。そうすると、視界が効かなかったり、物音が聞こえなくなったりする。「ときに、雨宿りする敵もいるので、天候によって潜入の手順も変わってきます」と小島監督。

 ちなみに、「夜は暗くて苦手」とか「雨ばかり降っていていやだ」というプレイヤーにオススメしたいのが“ファントムシガー”。これを吸うことで、プレイヤーは体感的な時間経過を早めることができるようになるのだ。


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 そんなオープンワールドだが、『MGSV:TPP』のマップは、『MGSV:GZ』の200倍(!)というから驚きだ。「それだけ広大だと、うまく遊べない人がいるのでは?」と司会者が疑問を呈するのももっともだが、そんなプレイヤーへの救済措置が、『MGSV:TPP』では講じられている。そのひとつが“バディシステム”だ。腕に自信のない人は、潜入にバディ(相棒)を連れていくこともできるのだ。現状明らかにされているバディは、クワイエットと犬のダイヤモンド・ドッグ(DD)。プレイヤーは、自分のプレイスタイルに応じて、どのバディを連れていけるか選べる。バディは、戦場にいっしょに行って戻ってくることで、仲よくなってバティとしての能力が上がっていくという。バディは連れて行っても行かなくても大丈夫なようだが、「バディを連れて行くことでゲームプレイが変わります。ひとりで遊びたいという人も、バディを連れて行くことで何回でも遊べるようになりますよ」と小島監督。なお、オープンワールドになったことに対する救済措置はほかにもあるようだ。


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 『MGSV:TPP』で見逃せないのがマザーベース。『MGSPW』では、自分のマザーベースを作れるがあくまで“データ”としてしか見ることができなかった。『MGSV:TPP』では、それがウォークスルーで実際に見られるようになるという。「『MGSV:TPP』では、ゼロからマザーベースを大きくしていきます。ミッションの合間に、マザーベースがどんどん大きくなることが実感できますよ」(小島監督)とのこと。一方で、『MGSV:TPP』では前線基地も作れる。前線基地はオンラインでも楽しめるようになっており、ときに友だちの前線基地に潜入したり、あるいは自分の前線基地が友だちに潜入されたり……といった状況が生じることになる。潜入してほしくない人は、監視カメラをつけることも可能とのことだ。

 これだけスケールの大きな作品ともなると、「制作もたいへんなのでは?」と司会役が水を向けると、「いままででいちばんたいへんです」と小島監督。“オープンワールドで自由潜入をする”というコンセプトを実現するために、制作にあたっては、いちからFOXエンジンを構築。ツールも作り、組織変更もして開発に臨んでいるという。「いままでのゲームエンジンをすべて捨てた」というから、過去の成功体験に縛られることなく、“いいモノ”を追い求める貪欲さは、凄まじいばかりというべきかもしれない。「楽しみにしていてください」との言葉にも重みがこもる。

 こうなると、発売日が気になるところだが、ただいまゲームの組み上げを行っていて、「発売日はもうしばらくかかる」と、率直なお返事。現時点では“2015年発売”となっているのだが……。「発売日の発表はもうそろそろしたい」(小島監督)とのことなので、心待ちにしたいところだ。


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 さて、2015年は未年。羊といえば、『MGSV:TPP』でもフルトン回収した空飛ぶ羊がおなじみだし……ということで、会場ではひと足早く旧正月(2月19日)を祝うべく、羊ガールズたち(?)が登場。会場が微妙な空気に包まれたところで(笑)、じつはそれにはとんでもない趣向が凝らされていることが判明。ステージ中央に立った彼女たちがくるりと背を向けるや、背中の覆いを剥がすとそこから出てきたのは、“賀中文化決定”の文字! そう、シリーズ初となる、『MGSV:TPP』の中文化が決定したのだ。これには、熱烈な小島監督ファンも大喜び。『メタルギア』シリーズに関しては、文章量が多くてとにかくローカライズがたいへん。日本語から他国言語へのローカライズだったらまだしも、日本語→英語→他国語とワンクッション置くと、難しさもひとしおなのだとか。今回の中文化に関しては、SCETの万全な協力体制のもとで可能になるとのことで、プレイステーション4とプレイステーション3エクスクルシブでのリリースとなる。さらに、『MGSV:GZ』も中文化されるというから、台湾のゲームユーザーは両作ともプレイしないわけにはいかないだろう。


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▲今回の台北ゲームショウでは、数多くのタイトルが“中文化”を発表しているが、ここまで派手な演出での発表は、『MGSV:TPP』ならでは。

 ステージイベントの締めでは、「4年ぶりの台北ゲームショウで、前回もアツかったですが、今回はそれをさらに上回っており、パワーをもらいました。来てよかったです」と小島監督。台湾のゲームファンからパワーをわけてもらって、『MGSV:TPP』の開発のさらなる後押しになったようだ。


●台湾でなぜこんなに小島監督は人気があるのか……その答えは?

 さて、ステージイベントの後に行われた合同インタビューでも、最初に飛び出したのは「中文化を決めた理由は?」との質問。こちらに対して小島監督は、「世界中の人に楽しんでもらおうと思ったが、ローカライズがうまく行っていなかったという現状があります。そんな悩みをSCETの方に相談したところ、“愛を持ってローカライズします”ということで、クオリティーも確約できるということでお願いしました」とのこと。さらに、「ローカライズのクオリティーに心配はしていないのか?」といった趣旨の質問に関しては、SCETとの作業に関しては、単に日本語を中国語に変えるというだけではなく、“いっしょに作る”という意気込みでいるので、「そこは心配していません」と小島氏。

 マザーベースに関する質問もあった。小島監督によると、マザーベースはオフラインでもオンラインでも遊べる。「オンラインにつないだまま、自分のシナリオモードを遊んでいても、友だちが襲ってくることもあるので、緊張感を持って遊べますよ(笑)」とのこと。マザーベース自体は『MGSPW』からの発展形であり、『MGSPW』は、『MGSV:GZ』や『MGSV:TPP』のある意味での実験の場だったという。「『MGSPW』が好評だったので、その進化形を作っています」と小島監督。

 「いままでの作品をプレイステーション4に移植するとしたら、何をやりたいか?」との興味深い質問もあった。こちらに対しては、「自分が作ると新作が作れなくなるので……」と前置きしつつ、「オープンワールドを使って、シャドーモセスで遊びたいので『1』がいいと思うのですが、誰も立候補してくれません(笑)。エンジンもツールも人もいるのに。皆さんも遊びたいと思うので、『1』ですね」とのこと。たしかに、プレイステーション4で『1』をプレイしたいという方は多いのでは?

 小島監督が好きな映画監督、タランティーノやギレルモ・デル・トロから、『MGSV:TPP』はどんな影響を受けているか、との質問も聞かれた。小島監督は、「タランティーンもデル・トロも大好きだが、“このシーンが影響を与えた”という具体的なことはありません。彼らの作品を見て、エネルギーをもらってゲーム作りをしていることは間違いないですが。そういった意味では、間接的には彼らのおかげでできているといってもいいかもしれません」とのことだ。

 さて、ステージイベント開催時には、「ステージに辿りつけないのでは?」(小島監督)と心配になるほど、熱気にあふれていた台湾のゲームファン。日本のメディアから、「台湾ファンの心をここまで強く掴んでいる理由は?」と聞かれた小島監督は、にっこりとしつつ、「まったくわかりません(笑)」とひと言。世界で同じような歓迎をされるが、ここまで評価される理由は、小島監督もわからないという。「皆さんの声援を聞くのは、幸せなひとときです。それ(なぜ熱烈に愛されているのか)がわかると作れなくなるような気がします。なんとなく“これかな”と思うところはありますが、わからないうちが華ということで、とにかく作り続けます」と率直なお答え。たしかに、世界中のファンは、小島監督の作品を待っていることだけは間違いない。


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▲合同インタビューの後はプリサイン会に。けっこうな数のメディア関係者がサインしてもらえるかも……ということで、ソフトを持ってきていたようで。「おまえら、もってきたんか!?」という感じだが、その気持は理解できる。そしてここでも小島監督人気はすさまじ。